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薔薇窓がたらりたらりと濡らす鼻

通すとき肌着は実は嫌だった

「溶岩」と声はようやく声になる

火事と言うときに
線路はちゃかしたい

おかざりの煙突やめるほど画鋲

若白髪きれいためらう胡麻団子

脱力で説き伏せにくるフライパン

血圧に降る雪に鬼ねむる回

湖に不備ありあなたにも蕾

おにぎりを食べる観光バス消える

校正を知らないコアラ干からびる

谺に首輪を嵌めて六本木

チョコレートかみ砕く歯に古い秋

ヤバい奴認定からが速い川

みずがめに善意ささやく節約家

あなたより良い人が
見つかったなら
ためらわず崩すミルフィーユ

フラットに頭に豚を放つこと　
彼女から太陽を奪いたい

いちじくのパフェに
ざらりと笑みふたつ

吹奏楽に馴染んだバター

くつ底に埋めこむ星を認めない

先生の悪気のなさに落とす羽

破られて皿のまっさらつづく日々

白鍵と黒鍵ゆびを組むおとこ

キセルして駅員室に天使たち

口蓋に海苔は古びた曇り空

かいた絵も手紙も飾られる死後を
彼の体はおそらく痛む

たいらげて夜中の汽笛だけ残る

地下鉄はぶつかり稽古し放題

どら焼きと
シーソーゲーム
僕が勝つ

点滴のリズムに黙す僕の影