風船に 秋の空気を吹き込んで 同窓会の欠席に〇
砂浜に 炭酸水の波寄せて 色の褪せたる流木ひとつ
鉛筆を噛めば九月の骨の味
進路白紙の秋を背に すれ違う父の自転車
万緑の 方程式を見渡せば いずれ消えゆく 心臓の歌
かつて空は涼しかった 背中の汗は蝶のかたち
濁音の 消えた世界を探してる 誰にも触れない 僕の生き方
八方不美人 ストローは非常口を指す
窓越しの空は 昨日より秋色めいて のど飴のためいき
残照を仰ぐ向日葵 泣けない日の「ただいま」を
虫の音が 雑音から音楽に変わる 国境線
陽だまりの サンダル履いて街に出る 親孝行はまだ間に合うか
ワイシャツは扇風機に揺れて さよならは優しい人
四面楚歌 父の麦茶が恋しい
「たわらまち」を 「田原町」と変換するPCで 短歌を調べる 八月の朝
新月は スマホの電源OFFにして 裸眼で見たい 推しの直筆
全ての病は消え去って 信号も大魔王も寝る時間
ひとくちの 酸素で夜を巡回す 水銀灯に褒められたくて
地球は 平面ではなく 球体でもなく 一本の紐であった 僕は今日も綱渡り
「ふれてください」 少し寂しい夜の信号
サイコロを 6が出るまで振るような 日曜だけが私に還る
大切な人の 寿命のタイマーを 渾身で打つ 梅雨寒の夜
自転車を 走って追い抜く 流星群
くるくると 歌作捗る 盃の 新政冴える 六月の夜は
クチナシの 風は茅の輪をくぐりゆく 欲深き吾の目を覚ましつつ
紫陽花は語る カタツムリの偏差値
虹を見た伝書鳩 紫陽花に生まれ変わる
ごみ箱を抱き枕として梅雨に入る
蕎麦殻の枕に顔をうずめてる 東京の血を拒みたい夜
痴話げんか どちらが勝っても一人きり ずっとあいこを 貫く覚悟
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