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雨止んで
雲の姿はカブトガニ
アジの開きか
僕の最期か

車の肌を雨が滴る
血管のように、系統樹のように

『真実』
しんと声あげず
じっと佇んでる
皆の目の前の私を
皆見向きもしない

グレープの苦み
くらくら九月九日

残暑の日
半周遅れの入社式

電柱に触れんと伸びる街路樹の
葉を引き裂いた月は真っ白

道端に置かれた警備員の荷物
ふと蹴飛ばしてみたいと思う

絶え間なく電波飛び交う
その隙間埋める
僕らの空気は重い

パッと裾のそれを払って
はっとそれが花と気づいて
落ち込む私の現金さが嫌

サイコロの目は出る
口に出せば終わる
私も貴方もきっと
偶然で必然だ

明日出かけてくると爪を
切りながら言う友人を見て
少し気まずい

駐車場で懐かしい顔と
少し話したけど
雨が煩くて、すぐ別れてしまった

鱗のようなうなじ焼けてく
見つめてるのは道か影か

自至一年半未満の
共同住宅建設計画
長いのか短いのか
俺の人生はどうだ

作業長のヘッドライト
都市計画を映し出す
その中に私はいない

掲示板「人身事故」と
事も無げ

服の山
明日、明後日
曇り、雨

曇り空
彼方、灯台
霧の中
俺は今どこ
足跡はどこ

私の指は這う、貴方の
鎖骨からおとがいへ
しっとりと
包丁の水滴を拭うように

窓広き特快
山はまだ笑わぬ

約束が記号を機能させるから
忘れ物みたく言葉を探す

昼飯屋静か
めくるかビッグコミック

ゆっくりと踏切過ぎる
停止信号は曖昧だが確かで
心臓の鼓動は克明に透明だ

一人聞く雨の孤独と
友と聞く雨の安息
気まずさ少し

針の穴に糸を通すような
奇跡、あるいは苦しみ

暖房車
僕が鈍いのはいつも通り

ランドセル褪せ二月尽
くしゃみひとつ。

窓ごとに違う色味の冬青空

らしさにしぐさ、さ青のさ
君の優しさのさりげなさ

テーブルの水滴と一瞬の倫理
箱ティッシュの一枚目裂けた