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事実に意味はない
歴史に意味はない
現実に意味はない

風から消えた色
哲学と二月
窓辺の日の暖かさはけれど
変わらなかった気がする

完成したパズル、明かされた怪談
相互理解の結末は無関心なのか

カーテンの隙間に天使の輪郭
あの子の速度が僕らを縛るのだ

神は世界である
世界は私である
私は貴方である

私はどんな奴だ
断言してくれ
病名を教えるみたいに

蕎麦すする
夜の始まり
おおみそか

死んでないなら生きなきゃ

名前なんて要らない
目の前の貴方は貴方でしかない

貴方は何も知らない
私の気持ちも
今夜の献立も

鋭い水晶のように
色づいた枝の隙間を
貫いて地に広がる昼

山並みを
燃えてると言う君が正しい
錆びてるなんて言う僕よりも

タイピングカタカタ

おっと冬日和

ボウフラ湧く墓苑
握り飯をまた一口

回送列車の暗闇の中
きっと話も弾むはず

音もなくささくれ剥けた昼に死す

ビルから見下ろす中央線
曲がってるのが気持ち悪く
無限遠に投げ飛ばす目の玉

自己嫌悪と自己愛のケンカップル
自信と不信は互いの顔も知らない

国語なんて出来なくて良かった
預言者よりも神になりたかった

雨止んで
雲の姿はカブトガニ
アジの開きか
僕の最期か

車の肌を雨が滴る
血管のように、系統樹のように

『真実』
しんと声あげず
じっと佇んでる
皆の目の前の私を
皆見向きもしない

グレープの苦み
くらくら九月九日

残暑の日
半周遅れの入社式

電柱に触れんと伸びる街路樹の
葉を引き裂いた月は真っ白

道端に置かれた警備員の荷物
ふと蹴飛ばしてみたいと思う

絶え間なく電波飛び交う
その隙間埋める
僕らの空気は重い

パッと裾のそれを払って
はっとそれが花と気づいて
落ち込む私の現金さが嫌

サイコロの目は出る
口に出せば終わる
私も貴方もきっと
偶然で必然だ

明日出かけてくると爪を
切りながら言う友人を見て
少し気まずい