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梅雨の月と
四十二回目の挫折

朝焼けと齧り付いた林檎の涙

言の葉に乗せきらなかった感傷が
瞳の奥から押し出されるだけ

ダンボールいっぱいの
レトルトカレーという名の愛

あの夏が青すぎるから
これからのすべてがきっと
色褪せて見える

一夏の花火のように
ただ君に
大事に抱え込まれていたい

陸は良い
涙が正しく落ちるから
海じゃあそうはいかないものな

黎明に負けない夜があってもいい

茜差す君と真綿はよく似ているね

いつもより街灯がひとつ多い夜

ノーベル賞くらい
簡単に取ってやる
笑ったな、オマエ今に見てろよ

いつかしら西瓜が胎を破る日は

みをつくし　立ち尽くしても
また流れ着いてしまうのは
あなたのせいよ

パライソが東の果てにあるのなら
僕たちはずっと西に向かおう

この街も
前ほどよくなくなりました

青が滲み出てきたような清和の夕

君と踏み締めてまわった初霜を
殺したアスファルトの憎いこと

白波に抱かれて星が眠るから
あの海を母と呼ぶのでしょうよ

波浚い続ける君を攫いさえすれば
私を見てくれますか

春惜しみ祖父を惜しんだ三回忌

痛いのは私が弱いだけだから

来世でもまた友として巡り会おう
きっと前世もそう言ったんだ

君の手を取って意識が醒めた朝
ああ悪夢かと顔を覆った

あと何度夜を
越えればいいのだろう
行く春は何も言いやしないが

くるくるり
もひとつおまけに
くるくるり
今は昔でまだ夢の中

花いかだ
掻き分ける君の背を追って
進んでいるのか
沈んでいるのか

ひたむきに
ただ新芽摘む日々でした
あなたのために焼いた荻野で

「ただ愛を知ってみたくて」
それだけでいいじゃないかと
踏んだ薄氷

甘くなりきれぬ想いの売れ残り
バレンタインの三日後に会う

ささくれと
ハンドクリームと手の温み
あなたは愛をご存知ですか