見ていてほしい 上弦は月のまばたきの 長い過程の終わりの方に
火に寄れば燠に安定してからの あなたへ一度敬語が混ざる
開閉はくりかえされていて 蓮の花 聴診器かしてください
紫陽花の ここで泣けない愚かさを 満開 愛して、愚か 半壊
霧雨の仄かあかるい欲望に 窓は内側からひらかれる
乗り降りのたびホームとの間隙を 季節のそれのように跨いだよ
なぎさ通りの 渚は かなにひらかれて バスのおっとりしたニーリング
梢からひとの子として老いてゆき 雨のギャルリに待ち合いましょう
白色の嘘丁寧に重ねつつ 重ねつつソリティアは後半へ
長かった黄金期 あなたのことが 好き 薄明の海を泳いで
浅く頷いて あなたは地球儀の傾くように やや上を見る
小舟押し出す 秋風も先生も このてざわりを感じたろうか
旅先でひらいた文庫本は今 ひらけば旅をひろげてみせる
落下する数秒間に目を閉じて 硝子の鳥は結末へとぶ
風の街 路面電車の線路には ヴィオラの弦の素質があった
瞬目のたびにモデルは目を濡らし 私が最後には置く絵筆
春までは 想像の湖(うみ)、想像の櫂 ゆっくりとミルクを混ぜる
掌にじっと留めて 鈴が血の巡る幽かな振動に 鳴る
春陽にサイアノタイプ像をなし 彼らの青い、花時のあお
絶滅がこの先ずっとあるだろう それでも辞書に語彙、隣り合う
手をとってまた手をはなす/ はなされた手がまた手をとる 渚と呼んだ
会いたさが凪ぐしばらくの、 洗う、干す、畳む、重ねる、 そうして積もる
湿るほど路地裏になる路地裏の 水溜まりに沈んで羽根たちは
祖父の訛りに訛る ああ、 ナナカマドが 淡い葉裏を見せてそよいだ
飛べる者には離別は易く その羽根が 陶器の片の散らかるように
泥濘にとられた若い鹿を抱く ようにあなたが抱くぼくの声
歳月は一隻の船 泡沫の 花と呼ばれる水脈を引きつつ
午後の街に水は身体を横たえて そのまぶしさは川と呼ばれる
夏鳥が渡洋をし切れない予感は 冬、現像をすれば再び
行くあてのない自転車の そのままを海へ漕ぎ どうして月がある
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