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花林糖あかるくくだく口元を
ときおりあふれ出てくる舌よ

八重咲に憎悪はひらきゆくことを
花とは花の裂けゆく過程

さ
え
ず
り
のサーカステントみな縦縞

身の丈の高さの桜だけを撮る

ニューロン発火
鳳仙花種子しゅぱぱ

椿落ちるたびに地動説は狂う

白鳥の翼に蛇腹カルデラ湖

鬼灯をゆびでっぽうで狙いけり

くびすじは世界樹に似て桜まじ

彗星を浴びた向日葵から枯れる

描かれて永遠のくちづけ冬三日月

重力に抗わないで垂れる藤
みな禁色の花を咲かせて

ひと春のひとびとが歯に隠しもつ
金のあるいは銀の王冠

声、そしてあなたの息の
しまわれるのどぼとけ
根のように撫でたし

あらゆる風が
名を持つわけではないことの
うれしさにシロフォンをたたいて

塩と嘘かがやく夜半に蓄音機
百合のかたちの口をかがけて

川べりに腕をひろげて立っている
あなたはだれへ開かれた檻

心が庭であるなら見える限りまで
アイスバーグと呼ばれる薔薇を

ゆめの泉に
ゆめの鵞鳥をなげいれて
金・銀・鉄の鵞鳥をもらう

こんなにも秋の回転木馬たち
眼をしめらせて風葬のなか

あかねさす小さき虹を架けるため
あなたが浪費しつづける水

瓶詰めにされた檸檬が
はちみつや氷砂糖に侵されるまで

火を見ればまばたきのたび
眼のなかに
濡れながら火が像をなすこと

枝先にかけて何度も
裂けてゆく枝よ
年ごと葉を手放して

舟は湖岸にひきとめられる
櫂という対のつばさを
やすませながら