眠っている間に真空になった冬 あえて奇数のおにぎり握る
シンクに訪れた 漏斗のような百合を切るひと
撫でている撫でられている犬 使徒が来るなら私から
ぷーるさいどに人魚の手形 君の住む島で雪は降ったかい
朝がくる 傷つきたくて湖畔に白光り ここは他所の家
握り返した後悔を種にして またひとつ星が燃えてる
陽だまりはお別れから伸びてくる ただ二人抱き合う
小雨の向こうから 花火のはじける走り方 君だ
桜貝の裏側を辿るように 帰路はおうぎ形
ため息の母音の明日は隕石になれ
君の眼差しが外れるところで 警鐘のような金木犀の匂い
愛として 路面に光沢を残す ひとは寒くなくなるはず
管理室の前通るたび 億劫になる 花束買うこと
会いたいと呟いて 海が鳴らすコントラバスになる
ふらふらの字はすこし君の薫る 旅客機がおよぐ秋の空
いつか火葬場で会えば 絵画のように何でも言って
人見知りだった夢を見ました 憐憫のように寄ってくる 犬の甘噛み
風車 固まるあいだ こそばゆい麦が 新しい季節を連れてきて
あの人を好いていたいの 部屋をくりぬくポラロイド
記念碑に初雪として名前降らせる
余波の如く スコーン焼く昼の私の 後ろ姿を思い出せばいい
直線のような朝に居て 天使は掴みやすい背中を見つける
カヌーは傾いて なぜか涼しく軋むから 貴方がこちらに来たとわかる
白い引っかき傷を浮かべ 入江の空には猫が住んでる
本に押し当てたスミレのように 永遠の井戸を彷徨う兎足
レジ袋と交互に揺れる先生が 泳ぎの下手な西日を抱える
干からびた蝉退けて 夏の部品のような ラムネ瓶を運ぶ
ぽっかりと 無人の夕方で息をする 雨のグラウンド
祖母の家で 麦茶の水滴が雲になる なつやすみの骨は真っ直ぐ
胎動の一音を聴く母となるひと 駅の屋根にまるい光が落ちる
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