「誰でも自由に読めます」は 風凪ぐ午後のポプラの木 辿る旅路
END1「それなり」に着く冬隣
何者でもない が悪口になる頃
意地悪と ごめんなさいと バイバイは 八分休符とスタッカートで
モクレンが咲かなくなって三年目 カップ麺を啜る祖母の背
雨の降る夜のカフェラテ 水死体
毒林檎 ここなら食べてもいいかしら
「嫌いじゃないけど」のけどに 刺さるとげ
坊は九月が黄緑だって言う 地面の音は何色だろう
10に1 天使が通るワンルーム 夏が終わるまで青い瞳で
「換気扇回して」「いいよ」 あ 生きてる
人工の水面繚乱 鼻をつけ 冬に恋する7の角部屋
蓮の花 枯れずに落ちずにただ閉じる
19らしいでしょ メロンソーダとくまのぬいぐるみ 夢見てないよ
肺胞のことを考え呼吸する ピーターパンはそう酷い奴
病院の匂いが嫌い 死の匂い たまごボーロ グミ コンロ カステラ
幸せな死に方だけを考えて コーヒーはカラン。 そして、融解
君はトリリンガル もしくはそれ以上 泣きながら黒のマスカラを買う
オレンジの雑踏揺らぐ歎異抄
ポケットに手を突っ込んで 己を知覚する その間
柔らかな感性を手放した オルゴールの蓋を閉めるように
昨日まで ひとりじゃ降りられなかったね 黒い子犬が跳んで飛んで夏
ハイティーン 微熱を帯びた爪の色
夕暮れのコンセントに見た夢花火
朝餐の木香薔薇と白い皿
春踊る コンクリートと編みブーツ 私はここで生きていきます
何も無い冷蔵庫だけが暖かい
風の通り道は猫の通り道 春は気化した君の優しさ
輪を描くツバメも前とは違うもの
ごんぎつね 液晶越しの 火花散り
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類
完全一致