五月病 という病に侵されて 操り人形 の糸が切れる
さみしさに こころふるわせつづけては 鳴く 次の世は鈴虫になる
話してはならないときに ぼくの眼は 勝手に意見を主張し始める
先生の右向け右を聴きながら ぼくは空を飛ぶ鳥をみていた
よそゆきの皮を剥いだらズルい人 ばかりで今日もよそゆきの顔
きがつけば傷つけあって罵って そうしなければ生きていけない
空いた穴を埋めるようにと 胃にものを詰め込んでいく のに埋まらない
断捨離の名のもと 名もないぼくたちは いともたやすく捨てられてゆく
不幸にも 分け合って食べる幸せを 忘れた人を蝕む孤独
主食さえ手に入らないこの国を しょって僕らは国を求める
公園でチヨコレイトを追い抜いて パイナツプルに追われて逃げて
老いるたび迷子となって平等に ラストシーンのネタバレはない
嫌いです男も女も嫌いです 非相溶性な君が好きです
天秤の片側に乗り目を閉じて いのちの価値の計量を待つ
温暖化している星の片隅で 舞っているのは紙吹雪です
泣き方を忘れて貝を抱きよせて 胎児のように眠る夜もある
純粋な心持つ母に育てられ 僕らはカモとして生きている
薄紙を貼り合わせていく関係に カッターナイフを突き立てた闇
壁の染みが 景色となって過ぎ去って ぼくはあなたを赦せるだろうか
公園でお昼寝してる猫が見る なんだお前かみたいな顔で
すみません それ牛さんのタグでした 人間用に付け替えますね
残される側の行方に見ぬふりを して置いていく祖母の残骨
社会から はみだしたまま生きている 私が私でいられるように
水槽の中は藻藻藻藻藻藻の家 光ばかりが許されていて
いま祖母のための最期の蝋燭の 火を灯す僕に雪が寄り添う
午後四時に 胃をしあわせで満たすとき こころにぽっかり空洞がある
冬が馴染んでから食べる ご褒美としてのアイスクリーム
見える目で悪を 見えない目で善を 見るから大丈夫だよ、先生
真実を鏡は映すというのなら 不幸は僕の顔をしている
寸胴の中を泳がされる麺と 僕らは同じなのかもしれない
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