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落ちてる春
十個拾って
隣にも見せた人から
帰っていいよ

桜吹雪に攫われるかのように
という意味を持つ音楽用語

旧形態飽きました
救急隊来ました
休憩いただきました

あの山の瘡蓋は何だ
と聞くと
それを桜と呼ぶのだという

じゃんけんで勝てる方法
聞いたけど
君とはずっとあいこがよくて

寂れた公園の
ブランコの下に
水たまりができていてうれしい

ご覧ください
街灯に擬態した
巨大ポピーが開花しました

真鍮の栞
窓から射し込んで
わたし
わたしの続きのわたし

木蓮の枝　冬のかぎかっこ閉じ

本を買う。
レシート*¹を貰う。

*¹：ほんとうのうそを
信じる権利の切符。

消しゴムを欠く
ｂａｃｋｓｐａｃｅ↓離す
痛覚のない文字の葬式

２月２９日（木曜日）
深夜２８時まで営業　　の張り紙

思い出の証人みたいに思えてきて
切るにしてもここまで
がいいです

鏡越しに目があっている時
とても
私たちって人だとおもう

鯨骨の中で始発を待っている

ほんとうの龍も明日も来年も
しらないからしんじてる
ひと、ひと

傘立ての［〇一九］の鍵あける
そうね
地球が丸いといいね

区役所へいってきました

カワウソが
カワセミになったりもしました

朝
画家は
庭の木すべての葉に
白の
色鉛筆の光をのせて

アンコウと
タコと
ウツボを抱きながら
沈没船の内見に行く

ちょっとだけ
のけぞっている看板の
矢印が指す
いっかくじゅう座

凍らせたアクエリ飲めなくて
かつて
アリクイだったような気もする

ぱる
　　ぼる
と迷いが房を成してゆく
葡萄の真ん中で目を瞑る

アラビアに
帰りたいよと泣いている
シロクマのジュンコの背をさする

遠のいていく鉄塔のてっぺんで
今やっと手を振るナマケモノ

そうだよね
ぼくらなんども
あったよね
どうやらこのまちはるうぷしてい

七月だ！
絶滅したって聞いたけど
居るとこにはまだ
居るもんだなあ

雨の日の蜘蛛の巣だけが覚えてる
星座早見に残らない星

たいていのことは
どうにかしてくれる
居間の箪笥の上のファービー

雷じゃないよ
お空のあちこちで
慌てて雨戸閉める音だよ