ねじしぼりつつ、 なお五月雨止まず
おそろいの寝相で 椅子の背(せ)傘の柄(え)
ケント紙を透かしてみても五月闇
月、高すぎて遠い嘘をつく
せっけんの泡拾い集めて 立方体の初夏
公園を丸洗いして花卯木
三日月低くてアポロ五個食べる
チョコミントを好きになって たんぽぽの綿毛吹く
ピザピザピザピザピザピザに わけるたのしさ
レジ袋を前世として白鷺の気高さ
風光る日傘も正六角形の影
またねって言う前の いちごタルトのような音
ボサノヴァのリズムで踊る ランドセル
花冷えの日には街じゅうのねじを 右に回す仕事をしています
桜を喜べない春も蓄えてコインラ ンドリー
缶入りのドロップくらいには きっとひとは皆ひとり
幸せがかたちをもつなら きっと風船ガムに似て
ハチミツ色の街に紛れて羽をもつ
かぎ針でたぐった春を手にまとう
陽が長くなる ショートケーキの 苺をあげたいひとがいる
レム睡眠きみが羽化するペガサス
雪解けの水没林にあこがれて 愛をまねした恋だった
ふたりから「ずっと」はきえて なごり雪
母親の肩を揉むように春を待つ
魔法瓶くちびるで散る牡丹雪
春めいて眼医者の気球も浮遊して
各駅停車見逃し三振チェンジ
チョコレートドーナツを 分けて風の日 埋まることのない喪失感
奥底がざりざりするし それならば 透明になって生きてみたい
天国が鏡の中にうつるから 泣きぼくろさえとくべつにして
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