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カサついた社交
あかぎれする前に
湿度をください
ここは日本

一級遮光の隙間を縫って
昼過ぎが滑り込む
適合せよと
照らすつもりで

メサコン以外の愛し方知らない

ほらみて脱ぎ散らかした靴
私ちっとも変わってないよ
母さん

愛想笑いくらい力んだ指先で
母の薬を仕分ける月末

集合住宅のエレベーターでも
言っていいんだ
おやすみなさい

引っ込まない
椎間板と一緒に
はみ出てしまった弱さが

半分こしよ
って言った君を
嘘つき呼ばわりできずにいる
賞味期限が切れなくて

「母」の絵だと思った

髪一本まで艷やかな女性の
手指に刻まれた皺の深さに

眺めてしまう

視線に研がれたルッキズムの刃を
君が自身に突き立てるのを

ここは生き狂いの街だね、と
青いまま落ちた
君の中身が染みついた
ワンルーム

知らなかった
あなたがこんなにも
私を知らないなんて

平常を乱反射する
心療内科の磨りガラス

待合室に注がれる昼間

心肺停止
生きづらさの既成事実化

羨望が纏わりついてゆく度に
ますます君は潔癖になる

吸い込んだ自由の苦さに噎せ返り
それでも君は息を止めない

自我を溶かした残り湯で洗濯を

夜が呼ぶと
君は窓をすこし開け
その日はじめての呼吸をする

高速バス
ねむりに引きずられる君の
頬にゆれる
五歳のままの睫毛の影

夜の帳に包まって
世間からはみ出した部分を
抱き締めあう

表現した途端
官能評価に曝される
愛の形状

「あなたがいるから幸せ。」
「私も（幸せになりたい）。」

心の孔は自力で埋めてきた
ピアッサーで可視化して

皮膚の内側の方がタトゥーだらけ
十六のとき吐いた嘘とか

条件付きの愛情に目が眩み
趣味も努力も脱げない鎧

怒号への脊髄反射
爪の痕

塞いだ

虚無感に臥せたとき
あの人の名を零した口を

他己紹介欲しさに通う占い館

明日死ぬための準備も面倒で
生き延びて百度目の洗濯

臨機応変に友達を着替える君の
一張羅になろうとした