月光の中に溶け出すくるしみを 鳥に例えて飛ばしてみる
霧雨の夢で毎回思い出す 星を見たら眩しがる人
プリズムに光を全部預けたら 天使が編んだ糸が出てくる
淡すぎて消えて しまいたいことあるよ (例えば雪のような理由で)
複雑な光のほつれた所から 天使の姿を見つける方法
酸欠の世界であなたと暮らしたい 光があればもっと純情
窓ガラスなぞれば景色の一部に 血液みたいなしずくが垂れる
戦争の展示に立てば徐々に来る 見たい光と見れない光
柔らかく白い光の演技する 蝶々は図鑑みたいな匂い
きらきらの本の帯が天の川 みたいに文字の海に向かって
薔薇 きみがここまで来るのに 来た道は光がないかもしれない 絶唱
濡れた傘の番号札を握れば 雨の中の囚人番号
逃げ場所を教えるように水の束 を掬い込んで顔に押し付ける
泣き顔を泡のように例えたら 星の中では自由に泳げる
死の模倣 顕微鏡で見る花が 朝霧みたいにはっきりしていく
病院の潔癖な色と匂いが 天使に連れられ琥珀のように
不揃いな幸福たちをつなげたら 現世で言うと真珠の首輪
詩の中で息を続けるきみの声 ゆきをつかむみたいにやさしい
天窓を開ければ月の光たち が隔絶されてバニラの香り
公園の遊具が若さを飲み込んで 宝石みたいに輝き続ける
愛想で出来たベッドタウンにも 孤独に生きる電波塔がいて
信仰のようで静かな電球が 線香花火の牡丹のひかり
舌の上で踊るのど飴は君の 階段降りる時みたいな音
蝉のない冬の木々にも心臓を つけてあげたら材質めいて
お気に入りの毛布みたいに 無花果のぬるくなった 切り口撫でる
潮騒がイルカの背中に青を乗せ 走馬灯に初めての色
球根を息を殺して握って 春をたしかめる (息、死なないで)
桜には心臓の色があって 脈打つたびに散れる花びら
ビデオ屋の一番奥の棚でしか 見ないフォント たましいを纏う
雪のことが書かれている手紙は 雪を知らない 白の抒情で
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