院に行くけど就活をする君と してない私が分け合うポテト
口だけであなたと分かる 消灯を通り過ぎてからの常夜灯
カゲロウのため消灯中の陸橋 思い出だけを頼りに歩く
真夏日の冷感シートくすぐったい 背中の上で混ざる液たち
もしも私が月だったなら新月の 時は悲しい 月はすごいな
行楽の最後に残るふにゃふにゃの 紙コップなみに眠りかけてる
ぎゃはははと電車で笑う人たちが 夕日すげえ としばし黙った
歩いたら見つけた 軍手 その後に三歩歩いた先にまた 軍手
ルマンドをこぼしてしまう バームロールもこぼしてしまう 仏壇のある部屋
炭酸はすっかり抜けてしまったが ソーダは死んだと思っていない
天かすをスプーンで掬う音こそが ほんとの雪を掘る音なのです
濡れている指で髪の毛つまんだら 指にくっつくみたいな恋だ
乾いてて開きたくない目の端で 琥珀に変わるべたべたの涙
靴下を脱ぎ散らかした足裏で フローリングを歩くぺたつき
科学実験始めるように 投げつけるちびた蝋石あの青空に
埋められた人の気持ちで真っ暗な 部屋を動いて飲みに行く水
室内に入る光のほとんどは 曲線の無く伸びやかなもの
ごめんなさい 今は命や戦争のことを思わず パンを焼きたい
おろし金で少し中指を傷つけた 大根おろしはただの真っ白
角笛の溝に詰まった砂粒を 針でのぞいた 眠らぬように
魂と同じなんだよ桜はさあ 湿ってるしさあ 重くないしさあ
殺虫剤吹きかけた後のつやつやの ゴキブリと床の冷たいにおい
薬物の防止ビデオの幻覚が 美しかった を消しゴムで消す
町中の非常時に使うものを使い サイレンの中でなら眠れそう
セブンティーンアイスの棒の 信号機みたいな穴から あなたをのぞく
終幕の後におまけがあることを 信じて座る尻の確かさ
手のひらを陽で温める 幻の鳥の卵は孵せるほどに
クーピーの白の長さで雨は降る ホームルームの不審者情報
息を止めて走った土手の遠くから あっという間に夏が近づく
鉄琴のペダルを踏んで響かせない みたいにゆっくり唇を閉ざす
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