忘れるは努力でできない はちみつを高く垂らして 途切れちゃうまで
扇風機の羽根が景色を濁らせて また私から首を逸らした
遠のくは鳥の鳴き声 トーノクトーノクトーノク きっと南米で寝る
ちくわぶのような形の吹き出しで 叫んだ 夏の木陰を過ぎて
湿り気のある陰の方へいそいそと カナヘビは行く 逃げてはいない
白波を引き抜けばティッシュ ぞっ、ぞっ、と ついてこないで渦の果てまで
ポスターに使われている方言が ちょっぴり変な無人の駅で
インベーダーゲームのもうすぐ 死ぬころの数の夜景の光数える
試し書く用紙の中に筆ペンで 描かれた棒人間走ってる
これからは魚の街になるんだ、 と沈む沈むよクジラの躰
ハイチュウのにおいの折り鶴 手の甲にのせてあげれば ああ 滑り落ちた
メントスの深く深くに指を入れ 斜めになって出てくるメントス
点鼻薬すごく固くてするときに 銃殺刑の私になった
入浴剤と一緒に風呂に入っては いけないらしい うるさいよ ほんと
高架下 音量UPUPして ドラムの音がやっと聞こえる
古本のラベルみりみりと剥がして どんな時でも動いてる雲
体重がいくら増えても蓮の葉に 乗れるのかもと見るたび思う
炭酸は開いた時がいつもピーク そんな感じで今日は走ろう
部屋中の電気をつけて あっかるいな 何処へ逃げても本当は良い
院に行くけど就活をする君と してない私が分け合うポテト
口だけであなたと分かる 消灯を通り過ぎてからの常夜灯
カゲロウのため消灯中の陸橋 思い出だけを頼りに歩く
真夏日の冷感シートくすぐったい 背中の上で混ざる液たち
もしも私が月だったなら新月の 時は悲しい 月はすごいな
行楽の最後に残るふにゃふにゃの 紙コップなみに眠りかけてる
ぎゃはははと電車で笑う人たちが 夕日すげえ としばし黙った
歩いたら見つけた 軍手 その後に三歩歩いた先にまた 軍手
ルマンドをこぼしてしまう バームロールもこぼしてしまう 仏壇のある部屋
炭酸はすっかり抜けてしまったが ソーダは死んだと思っていない
天かすをスプーンで掬う音こそが ほんとの雪を掘る音なのです
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