うっかり氷を作りすぎちゃった 夏も君も、もういないのに
秋が降ってきたので衣替え
中秋の月に見られる私たち
夏が悪者になりませんように
お月様の電気が点いたね
いつだって真ん中が我慢する
せっかく素麺なのに 夜空が騒がしい
富士山の太陽に近い神様の避暑地
桃は隠れていても桃 口の中で見つける芳醇
涼しさの色を辿って凌ぐ夏
夕焼けの隙間に降る雨は 薄桃色の絵の具のように
扇風機に張り付く宇宙人 西瓜でもてなす
夜は海 波にのまれて眠りたい けれど取り残されて 水面に浮かぶ海月のように
寄り添うなんて 他人行儀な距離感で 装ってないで ぎゅーってしたい
小さく、ゆっくり、になっていく 母は母のまま スヌーピーの杖をついて
紫陽花が泣く暇もなく梅雨が明け
問い合わせメールの返事 待ちくたびれてあずきバー
祈るのが恥ずかしくて 代わりに床を磨いています
傘の中の雨音は心音みたい 胎児の余韻
換気扇を回すまでが入浴です
スタートの音 青空に揺れて 翔んでいく 走るように
クリームソーダは偶然 恋は突然
多数決が恐くって レタスのふりをする キャベツ
アイデンティティを問われても 新じゃがの皮みたいな どっちでもいいような
横取りされた蜜蜂の 呪いのような濃厚な蜜 甘くてごめん
洗濯機の音鳴りやんでから 蓋開ける ちゃんと話を聴くみたいに
ひらきたてのプールの水が つめたい 夏がまだ小さい
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