封筒の窓しゃかしゃかと春きざす
菊展の菊の繰り返されている
食べ終わる葡萄 ゆびさきのみ濡れて
青鷺のいて振り向けば山の方
はらはらと錯視のように秋の雨
額縁の白銀濁る冬館
軽鴨のまだいるような夜の池
円卓の花瓶の薔薇に手が届く
歩く蝦同士ぶつかる春の水
秋の夜の カーディガンから冷えてくる
初夏の時計に十二羽の野鳥
青天の奥行きを来るつばくらめ
デミグラスソースを選ぶ秋の夜
連写する集合写真銀杏散る
紋白蝶エラーのように雨のなかを
葉桜のうしろから日の差してくる
蜜蜂の羽の雄蕊と絡む音
百日紅の円錐花序が夢の形
つややかな詩碑のはだえへ 木の実ふる
目薬の二本立つ夜の冷蔵庫
乗り出せば船体見える涼しさよ
実石榴をもぎる半回転させて
釉薬の白の冷たさ花曇
夕立は音に遅れて島の森
蘆刈の夕日が横に広がって
田螺にて悠久を逆さまに這う
私だけ躑躅を吸ったことがない
ブラインドの隙間に細く緑さす
白樺はねじれて湖の熱帯夜
中庭の霧の永遠めいている
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