すぐ愛に引きつけて読むきみの その眼差しに説得力がある
コートの内に きみが着ているものはなに 地上まで階段で上がった
新婦のキスを見守っている友人の 表情を見つめてはいけないね
率直に教えてほしいと 今きみに言えば 偶然のように目が合う
飛び立った鷺の波紋が届きくる 心の奥の石庭にまで
ロマンスに今でも夢を見てしまう 口に広がる緑茶のあまみ
パーキングエリアの風に ないはずの 旧姓を思い出しそうになる
腰かけて 午後の琵琶湖のいったいを こころに写し取る、丹念に
水仙と睡蓮を言い間違える ひとり暮らしをしたいと思う
感情の火照り、と思いつつ顔に 当てている風だけのドライヤー
アールグレイが 胸に満ちゆく感覚を 憧憬と混ぜていてはだめだ
ふいに収斂する表情、 というものを 窓を降り過ぐ雨に見ていた
消し忘れていた スピーカーの電源に その周辺が照らされている
自転車の車輪を抜けて 飛んでゆく紋白蝶よ 秋の終わりの
夜の部屋に組み立てて書く文章に 関係がないこの音楽は
数年前までは喫煙室だった 空間が自動ドアの向こうに
〈月の光〉を 眠る間際に聞いている わたしの二十歳のこころよ
秋の窓 ピアノ弾けないわたくしは ピアノ弾く夢を見ることがない
生活は主観と思うのはベタで、 ベタは混泳できない魚
ハッピーデーの幟が 風に揺れている きみはどうしてるかなと思う
いつもなら昼過ぎにする水換えを 今やっている八月の夜
見始めたところまで見る、 画家がながく 過ごした街並みの映像を
カーナビが話し出すとき 奥へ引くボーカルのこえ 霧雨の夜の
八月のはじめ 何度も聞いてきた 歌詞の一節にこころが留まる
パンフレットで前髪を かき分けるのは 少しわざとらしいのがいいね
カーソルを水平線にあわせては 上下左右に四角をつくる
座布団に眠れる猫の彫像は 猫にとっては何なのだろう
イヤホンを外して降りてゆく人の はやい手つきをいいと思った
窓に雪ふる頃ともに好きだった 歌手とあなたが微妙に混ざる
観覧車に急いで乗った夏の夜の 写真が一枚もないことも
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