窓に雪ふる頃ともに好きだった 歌手とあなたが微妙に混ざる
観覧車に急いで乗った夏の夜の 写真が一枚もないことも
夕映えのさなかのカウンター席で 食べている桜のドーナッツ
うっとりと 過ごす真昼のドトールの ひかりのほとんどが自然光
うつくしい字を書いている きみの髪が 烏の羽に見えてくるまで
川の面に遅速のあるを見せながら 花は流れる真鯉の上を
干しているシーツの上に 手をおいて 空の遠くの方を見ていた
春の終わりを 極まりながら咲く花の 満開という鏡面世界
去年の秋僕がなくした Surfaceのマウスを 使っているひとがいる?
一枚のアルバムを聞きながらゆく 桜並木のけぶれるなかを
前髪が視界に揺れていた日々を 遠くわたしは珈琲を飲む
きりぎりす 小雨のかかるメニュー表
冬晴の塔を貫く心柱
オルガンへ斜めに光今朝の冬
山の端の枝くっきりと神の留守
封筒の窓しゃかしゃかと春きざす
菊展の菊の繰り返されている
食べ終わる葡萄 ゆびさきのみ濡れて
青鷺のいて振り向けば山の方
はらはらと錯視のように秋の雨
額縁の白銀濁る冬館
軽鴨のまだいるような夜の池
円卓の花瓶の薔薇に手が届く
歩く蝦同士ぶつかる春の水
秋の夜の カーディガンから冷えてくる
初夏の時計に十二羽の野鳥
青天の奥行きを来るつばくらめ
デミグラスソースを選ぶ秋の夜
連写する集合写真銀杏散る
紋白蝶エラーのように雨のなかを
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