虫溺れるふちに歯列の花むしろ
柚子湯出て人面瘡にオロナイン
しきたへの袖引きちぎり 体育帽 あの頃戻りゃ まだタロがいる
しゃくなげな子のてのひらに雨蛙
春愁とネトフリ交互に見る親子
赤子抱く 余分なものがしみぬよう
交配種の子にもやさしい新教師
バイト後釈迦らしく寝て春の雪
空のベビーカー滑る店に春の夕
星の王子さまは 電気羊の夢を見るか
ガス室の下着と いちょうを掃く道具
白息の歌 ストレイシープの口
眼を擦って富士フイルムの秋渚
乾電池いっぽんで点く秋の月
恋をした人はだいたい死んでいる
寂しかろ 浅く深く鳴く踏切の 老けたかんかん ひぐらしは無く
影走る地べたのまだら 鳥の群れ 何かを奪い去っていく音
燃焼するブルーライト 秋の宿
チェロの弓立てかけたまま滅ぶ星
百均の柄杓を恥じて照紅葉
稲の波 うたた寝の窓 色閉じる
線香の前は静かに飛ぶ小蝿
電車待つ 版画の線の秋しぐれ
白亜紀を縮小したらうちの鳥
解脱して豆腐屋の笛聞く小春
骨壷の底にありそう粉薬
蚊を打ってやけに響いて夏の暮れ
殺虫灯 足元献花のなずな咲く
タワレコの袋を提げた都会の子 「でか太」という花火の私
クレーンが神の手のよう 首都の空
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