えらぶときあなたは瞑る まなうらの 銀の什器にならんだ嘘を
こわかった? 無数の過去をふりむけば 枯れ野の焼けたあとのさみどり
うわのそら まふゆの波は爪先に くりかえしくりかえし会いたい
約束は夜ごとふくれて千年後 喉をはじけるクラフトコーラ
宿怨は砂鉄のように しゃらしゃらと 雨のにおいに引き寄せられる
散歩する ようにあなたの過去を聞く 雨傘ひとつ右手に持って
水中にうすく瞼をひらくとき 世界は夜のように重たい
切り裂いた 紙片をひとつずつ燃やす ように寡黙なひとの言葉は
「想像のなかのあなたは 青だった。」 直訳をして詩を置いてゆく
奪うならぜんぶだろうが 目的のないキスなんて回送列車
大寒の夜にうまれてだれよりも 抱きしめられた身体とおもう
立体の夢が怖くて 歯をあてた手首の跡を星に喩える
過去はいつ燃やしてもいい 瓶詰めの アプリコットの蓋にあてる火
眼裏の暗がりへ火を呼び寄せて 夢を灯している冬の午後
それぞれに過ごす日曜日の朝に 透きとおるまで冬瓜を煮る
とじてゆく 夜をあなたがこじ開けて いま国境を跨いだ機体
花束を消極的な比喩として となりでねむる夜にほどいた
ここに死はあるかもしれず あなたからもらった鍵が ずっと冷たい
うまれつき、 とこぼれる声のやわらかく あなたの受胎以前にふれる
追熟のゆきすぎた実を放置する そういうふうに傷つけていた
寄り合った房をはなれたひと粒の 葡萄 あなたは早熟だった
書くことは火を渡すこと心には わたしのための蝋燭がある
眠たさとたたかわないで眠る日の ナイフを離すようにひらく手
真昼間に目を閉じるとき 透きとおる夜の布だとおもう瞼は
ひとつだけ 明かりをつけたまま眠る ふれたい、という意訳はしずか
裏切りをゆるす路程に蝋燭を、 あるいはながい夏休みを
この頬をよせる身体をうしなって わたしは海へ放たれた蝶
線だったぼくらは点に戻るから 結ばずにおく北斗七星
いもうとになったことしかない 星は風が吹いてもゆれたりしない
つなぎたいと言って繋ぐ手 未来ではなくて来世の ことを話して
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類
完全一致