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朝起きて庭先に茣蓙を敷き
愛の唄を熱唱していたら
道行く人々の注目を浴びた

サンフラワー号は
出航してしまったので
泳ぐしか手はないのだが
泳げない

どうしても行進
したいのなら
安全を確保して
時報を聴いてからに
してほしいの

老舗洋食店でオムライスの
玉子・肉・野菜・ケチャップ
ご飯抜きを注文したよ

オリーブの花は
咲き始めたのに
僕の鼻は
蓄膿症のままだ

昆虫採集する為
南太平洋の島へ
行くことにした
自分に
途方に暮れている

顔が大きい事を
たまたま電車に居合わせた
人達に揶揄されるいわれは
全くない

自分を探すのは困難だから
宝物を探す事にする

暑いとアイスか美味しい
などナンセンス
アイスは一年
三六五日美味しいのです

本日も
スマホもカメラも
向けられなかったし
サインを求められる
事もなかった

三十五年前の
記憶は薄れてるが
三十五秒前の
記憶は鮮明なので
大丈夫だと思う

貴種流離譚を語る
老人に会いたくて
故郷を遠く離れて
見知らぬ土地を流離った

妻は秋茄子より
ボケ茄子が美味しいと言う
でも母はおたんこ茄子が
旨いと言う

齢七十にして
お嬢さんと声を
かけられた儂は
生まれた時から
男子です

晴天に恵まれた日だから、
家の中でグジグジしていたい。

ひたすらに
遠ざかって行く
光りを追って
懸命に砂浜を
走り抜けた

元気な土偶に
遭遇出来ない
憂鬱な一日が
始まると思うと
憂鬱になる朝

頭の中に
坂の町の高台にある
友の家の二階の
屋根の上から眺めた
街並みがある

自らが生み出した
ルーティンに
支配される毎日が
しんどい

真っ赤な虹　真っ青な雲
真っ白な海　真っ黒な雪
見たくないけど
見てみたい

海王星まで届く
エスカレーターの完成を
五十三年間待っている
少年だった老人

深夜は
流浪の民の夢幻の大地
あてのない道行が
宝物を見いだす

山里を縫って進み行く
鉄路の先にある街には
萬屋もＵＦＯの基地も
あるそうな

丘の上で見た
空より大きく
果てしなかった夢を
歳月が夕陽に乗せて
連れて行く

音楽が好きだ
歌が好きなのだ
詩を魂で感じて
メロディを心で
楽しみたいのだ

サックスの音が時を遡り
川の流れが沢を逆行したら
夢を纏った俺は野望を語る

無人駅に佇んでいるのは
いつの時代の私なのだろう

銭湯の脱衣場で
怪獣映画のポスターに
心踊らせた子ども心は
ＡＩには解らない

縁側で
花火を眺めた夜に
我が生血を吸った
蚊にはもう二度と
逢えないのだ

みかん色の雪が
降らない事には
どうにもならない
したがって
どうにもならない