さみしい と掠れる波と砂の音
夏の空置きっぱなしでプール閉め
夏の果て貴方が風になった日が 混ざってしまいそうな涼しさ
摘んでから気づく綺麗な物だけを 君に見せたいひとりぼっちに
ひまわりが空にぶつかる 生きている間に解ける 呪いはいくつ
柔肌を魚が泳ぐ熱帯夜
薄皮で残る石鹸 優しさは永遠じゃないと いつも忘れる
教室の窓を震わす チューニングしたての 笑い声と夕立
父の日に墓参る背の丸い父
売り払う車に乗ったまま去った 子どもの頃のやさしい寝息
春霞アルバム捨てて歩く道
六月のト音記号がツノを出す
雨の中歩くと少し安堵する 自分の音がひとつぼやけて
色の輪郭が濃くなる 駆け足の雨と逃げても 捕まる、夏に
好きだった だったにすると今日決めた 抜けない棘は今から皮膚だ
身勝手に違う季節を生かされて 悲鳴すら透き通る氷よ
ふりがなをつけて優しい言葉こそ
日記からはみ出す線は拾えずに 落としたままの夢の残響
夜道行く足にくれないつつじ花
足早に春の鱗は剥がれ落ち 怖くてももう外れる補助輪
上を見る青が弾ける雨も海も 地球にいればどこも水際
約束は破れ桜に混ざる白
恋だった いちごゼリーはきらきらと 易く崩れる記憶のかけら
晴れ空を千切る 明日咲くネモフィラに
目を閉じる 君にまつわる孤独なら 夜ごと全部夢に拐うね
新品の花も人にも春の雨
菜の海を泳ぐ蝶々に岸の指
自転車と帽子旅立つ春一番
瓶詰めの白い海などかけられて 卵はさみしい体になって
耳たぶの穴は塞がる跡ひとつ 残さず雪が雨に変われば
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