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遠蛙ときどき夜を食べている

歴戦の母の金づち夏の山

鉄刀木俺なら切れる子供の日

金槌で肩叩きする母の夏

春の鳥灰になるまでサンバする

不機嫌な鉛筆削り花の雨

花吹雪わすれるひとの傍はいい

花は散る一刀彫の顔になる

花曇り消火栓ならありますよ

滝ざくら青空になるまで待つわ

朧月パトカーの点滅寂か

大蒜に臭いを消せと言われても

ぶらんこは無敵の風に繋がれる

ポストまでゆっくり歩く春の蝿

小さめの苺をつまむ小生意気

スプーンに蜂蜜絡め春の風邪

紅梅も扁桃腺が腫れてるの

いじわるな人がいないわ祖母の春

隅にいる大縄跳びにはじかれて

なんてことないしあわせの蕨餅

春惜しむ千手観音の残光

春の雷　塩田剛三の一突き

雲雀啼くザクッと切られ黒髪よ

厳寒にぐわんぐわんと老木よ

春を待つ檻のゴリラに黒い背

冬木立根から分かれる三頭よ

オカリナのトリルに挑む春隣

ぼたん海老舌にぷつりと雪見船

七日粥葛根湯を先に飲む

泣寝入甘酒まんじゅう食う