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雨垂れが穿つ
大仏様の白毫

憧れの人まで数十センチ
それを隔てるのは
砕かれたバベルの塔の破片

梅を見上げて
今年も桜がきれいね
と微笑むあなた

合理的
説得力ある
その言葉
隠れ蓑にする
私の意地よ

空回りし膨れ上がり
やがて萎んでいく

私の自尊心
まるで綿飴のようね

斜に
　構えてみた
　　　　　ところで
　　結局真人間　

羊を数えている途中に現れた
キツツキから逃げる
深夜二時

行間はスペース

等速直線運動で駆け抜ける言霊

モノリスに線を刻む
猿人たちの夜明け

曖昧な境界線上の蛹
自分で決める自由を夢見る

引退の日
もらった寄せ書きを
鞄にしまう
漏れだすあくび

葬式中
足が痺れて苦しむ私を
遺影のあなただけが
笑って見ていた

私を埋めれば
うちの庭の木も満開になるかしら

雨音の間隔に合わせて
タイピングする
明日の晴れ舞台のために

二月だけ殿を務めさせられる
二十八日に想いを馳せる午後

後ろ向きだったり
下を見ていたりしても
ネガティブとは限らないんだよ

雨降って地固まる
その、まだ固まりきらない
ぬかるみの瞬間が
愛おしいのです

とんとしらないことを
　とうとうとかたる
　　とうへんぼく

寒波襲来を告げるテレビ
見ながら頬張る黒はんぺんフライ

まっさらなアイスの表面に
スプーンで刻む
人類にとっての偉大な一歩

あの光る星は
もう存在しない過去の残光
ならば私も
誰かに映る残像になれる

鴉が一羽こちらを見てる
ねえ
"Nevermore"って
鳴いてみせてよ

カップ冷やしぶっかけうどん
茹でて冷水で冷ます

面倒くさくて、もう一月

暖房の効いた部屋で
霊安室に横たわる夢を見る

ネコとびだし注意
今日で2回目

目の前剪定中の花壇
足元にトカゲが一人
睨まないでよ
僕のせいじゃない

雑音に急かされながら
あと五分
もう数秒だけでも
また孫でいさせて、朝

ずつう持ちも
極めてしまえばつうな奴
この心意気で生きている