雪原に言葉を拾いに行く朝の わたしは冬の楽器になるの
いつか燃える本の箔押しが綺麗
少しずつ膨らむ気球を抱きしめて 若草色の約束をする
私から離れられないたましいに アップルパイを焼いてあげたい
フォンダンショコラだって 証明してあげる
性善説で照らされている美術館
塩漬けの桜 あなたの優しさが 早生まれの性質を持つこと
雪うさぎ最初の口づけの淡さ
引き出しに冬の切手を入れておく
スコーンを温めなおす 金色の記憶を夜へ転写するごと
透明な身体になれば哀しみは 消えるのかクラゲに尋ねたい
間違ってスノードームで飼う金魚
銀紙で夜を包んでゆく作業
いつだって鐘を鳴らして あなただと気づいて捲る 冬のカーテン
シャンパンは人魚の涙 叶わない夢の話も美しかった
初雪にガラスの靴を捧げたい
香水瓶の硝子にふれる 天国の鍵の形を知るはずの指
いくつもの夢を匿う眼裏で 点滅する夜の観覧車
人魚にも人工呼吸は効きますか
風花は紋白蝶の夢を見る
粉砂糖から革命を始めたい
山茶花を捉えて冬の解像度
どこまでがお伽噺で どこからが現実ですか 雪の結晶
最後まで スパンコールを見せつけて
触れあって針葉樹林だと気づく
天使からミトンの手袋を借りる
あなたにも夕焼けを見るための窓
ポタージュが満ちて 輪廻の果ての朝
プリザーブドフラワーだって 知っていて 我儘なくちづけをしたこと
好きじゃない果物の名を 打ち明けて わたしの胸にあるサンルーム
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