夜景から零れつづける揚羽蝶
恋人にならずに芍薬でいたい
ジェラートが混ざって 夏の雲になる
本物の紫陽花だけが知る合図
黒鍵を選んで歩きたい白夜
花びらになってしまった感情を かき集めたら何色の海
貝殻のようにあなたに拾われる
押し花になって気持ちを整える
桜雨 来世のための連絡帳
道を行く人みなそれぞれの 春の額縁を大事に抱えつつ
苺には嘘を吐けない人が好き
木蓮の私は私である覚悟
私から見えたあなたは風船で それでも綺麗な色をしていた
菜の花の苦み いつかは片恋も 春のまどろみから目覚めるの
色付きの夢にアイリスの香り
雪解けに虹の双子を思い出す
広すぎる春の空には 観覧車いくつか足せば 怖くはないよ
私小説だから椿は美しい
眠らない理由にきみを呼び出して 金平糖の数をかぞえる
雪柳 魔法少女のいた世界
冬眠のあとのあなたを抱きしめて 小川のような告白をする
花びらは涙のための洋食器
ガラスペン夢に指先だけ触れる
雪原に言葉を拾いに行く朝の わたしは冬の楽器になるの
いつか燃える本の箔押しが綺麗
少しずつ膨らむ気球を抱きしめて 若草色の約束をする
私から離れられないたましいに アップルパイを焼いてあげたい
塩漬けの桜 あなたの優しさが 早生まれの性質を持つこと
雪うさぎ最初の口づけの淡さ
引き出しに冬の切手を入れておく
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類
完全一致