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丸窓に十字の枠あるメルヒェン
永く
西のはらっぱにねそべる

力加減がむずかしい
蝿のはねを透けるだけの
ひかりのなかでねむるとき

システムにAIかを疑われる日に
はざくらになるいのちを眺める

隣の人にこえを掛けることが
できるだけでわたしも

春の美しさを担えるだろう

いいわけを竹筒にする一日は
誰のひとみも見ていられるの

鋏の先の
柔らかさに気づいたとき
ひとの矛盾を
すこし受け入れるわたしになる

ひとのむれの中で二段階進化する
わたしはつめたいはなびらだ

爪先がするどくないと
掴めないような
はるのひかりがあったね

怒りはベッドにしまわれて
いつか北の地層から
ヒトデが見つかるだろう

青春、
は思い当たらないけど、
焦りが
冷凍保存されていると気づく
日がある

あおあおとした
友達が手を振る日
わたしは単語帳をながめる

眉間にはきっと数字が浮いていて
わたしを綺麗に装うと
ひかる

朝と凭れあった夜は
いつも
細胞ひとつひとつと
かおり高く死に絶えたいと思う

哲学書をよむと
しょっぱい林檎の味
胸の奥のみかづきに流し込んで
わかる

わたしは
何処までもわたしという人間で
苦しくなるまで
コーンスープを啜る

わたしにいもうとは居ない
あのミルクの匂いになりたい昼

僻みじゃないよって言っても
トイレの時間は長くなるし
頷きのかず諦めている

わたしだって
あのてのひらが欲しいのに
雪、全然降ってくれないよ

夕暮れの淀みを全てあげましょう
かつて切り落としたおさなさへ

クロロフィルの緑だなんて
思わないでよ　わたしは未来

春隣きれいに爪をのばしたい