春愁にまどろむマルドロールの朝
桜満開ゆびに棘あり乱歩する
雪しずり犬とポトフに光の法則
紙縒よる手の父に似て春を綴じる
花朧はがきは龍のあいまいな消息
なめくじの蝸牛となる日退化論
花だより檻の竜にも父のこより
孤独死もデフォルトってか花筵
クオヴァディス春泥の陽に囁く声
はだれ野の烏は母音でつれを恋う
カルメ焼きつもる大雪いきぬいて
青麦よ雪いちめんの反駁よ
いぬねこと舫枕の大寒夜
春吹雪あおむ銀波の菜切り研ぐ
冬あかつき銀器に金の林檎盛る
春の昼ただ手であるを手にゆるす
いきてるのなんだか後ろめたい春
初包丁うさぎの蒲鉾耳ながく
青を青とだけよび愛した母の 青いハンカチたずさえる春
音もなく帰還不能点を証す雪
寒柝の星ふるわせて満ちる年
冬薔薇 この十字路に母すてて 何者でもなくなりもどろか家に
冬薔薇の十字の坂にコギト脱ぐ
香箱に光あつめてかじけ猫
つくすもうらぎるもむねの血潮 柘榴をぎやまんに盛れば昼の月
しらじらと泥土に眠る葱の純潔
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