ら・フランスひらがな熟す香冷く
霧つつむ 母の未使用冷蔵庫
薪で焚く いま戦闘のない国の 湯にうきしずむ 榲桲とわたし
『死にたくない』 書いて十分 神の留守
鉢割れのざくろは燃えて踊る納屋
船かえる 港の倉庫に蔦もみじ
眼球にそらを映して水の秋
休戦の十月薔薇の雨かおる
全天に星の滴る銀河は漏斗
文字というアポトーシスよ秋燕
錦秋の裳ひるがえし異聞くる
あめつちの夢よせけぶる雌日芝野
蕎麦の花 局長やさしい郵便局
いのちを月光放電する
手に掬う水に母ある今朝の秋
火祭りの火焔太鼓よ冨士燃ゆる
聖霊花キャラメル工場跡に咲く
青田道 かもめ吹かれて古書の街
特攻兵こいぬの温みにほほよせて
澤瀉はみんなさんかく田圃に死角
天空の赤い月痩せ狐跳ぶ
護符としてタトゥーを纏い海渡る
二十二歳 マヤコフスキーをポケットに
木槿花きゅっくとくちびる噛み紅
ふぉらふぁらと頷きすずろ華鬘草
海底の百万年のち火口あゆむ
霧雨の蛍のように人でいる
地球がらす透かしてひずむ晝の月
携帯の護衛のようにちいさな蛾
茅の輪くぐるふと懐かしい誰彼と
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