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つま先であなたに触れる
１０センチの９センチ消え
１センチへと

ぜんぶ後手に回っていいんだ
生まれつき
頭突きしてみたことの無いまま

三月のシャワーヘッドを
引き寄せて
そろそろ生まれ変わってしまう

ＱＷＥＲＴＹ
歌っていながら聴こえない
わたしのための修論を書く

密やかな太陽ひとつ抱えつつ
渡るペデストリアンデッキ

冬朝に幸せを確かめている
輝く雪を掬ってみながら

選択をすれば光れるＵＩで
はさみの奥の冬糸を切る

伴侶より
おれのウィキペディアが欲しい
ゴミ箱いつも溜めたり
捨てる

ひらかれた冬の
ベンチにうずくまり
ただ音楽に怒られている

煙のないところに
火は生まれていて
ビンゴカードの１５を
潰す

十月は
バーベルを持ち上げるとき
そのためだけの誰かになれた

病院のＡＥＤに
「おちつけ」
の言葉貼られている意外性

秋風で到達できるそこまでで
いちばん美味い蕎麦屋に入る

目の玉であなたを見ます
僕だって太陽の生き写しなんです

ドラゴンに記憶はいらない
張りぼての炎をこいて
どっかを歩く

レスリングの時間ですが
ブレイキンを続けます

何かを壊すまで始まりません

あなたから嫌われようと
腋臭を強くしていた
ことになってる

みぞおちの透き間に
鹿を住まわせる

関わり合うとは
変わり合うこと

虹を見る
七色目から外側は
天国たちに分けてやってる

誰もかもラムネのビー玉
つるつると星になってく長い最中

知ってるかい
チーズバーガーの中身すら
順序があるんだ
全て儀式さ

もうみんな
プテラノドンを知っている
プテラノドンは
もうずっといない

洗濯機に背中をつけて
あ。あ。あ。あ。と
自我のむこうへ届ける
マイクテスト

ツツジには聴こえまくってる
（あたらしい
　ぞわぞわ
　ぬるい）
風の手がかり

ジオラマの片われを抱き
乗るバスで
春がキッチン台すべってく

夢でしか
逢えないあなたも
マグカップと
数学的に同じらしい

受話器から
役目を終えた語句たちが
路地の銀河へ蒸発していく

春陽が朝礼前の教室で
伊藤の机を殴っていった

浴槽のなかで栓を抜いたから
浴槽のなかで座礁を始めるわたし

バスの窓は
きゅるきゅると鳴く
仔イルカの記憶を
手放せないでいるの