新幹線窓際に頬杖つけば海月 寒夜の海に漂う
踊り場の壁にもたれていて夕立
いつも君が忘れてる傘といって 渡す流星が降る夜の貴方は
晴れの日の葡萄に海のような色
終電を逃した秋が君の家に
初夏のハーバリウムの底に砂
夕立去って烏は少し寂しそう
夏の夜の丘の天辺までゆけば 空へと昇る階段がある
聴診器を胸に当てれば きこえる 星がぶつかり合う音
夕方が来るから窓を開けなさい
水蜜桃ほどの透明感で泳ぐ
琥珀流し朝から攣ったままの脚
背泳ぎの天井の高さに気付く
南部鉄器の風鈴だれもいない家
包丁を貸し借りしても涼しい星
逢わないことがふつうになって ポプラ並木に影がある夜
ピアノって冷たい海だって思う
ベネチアングラスの花瓶夏の朝
病院の中にローソン花の雨
玄関を開ければみどり映り出す ピアノがあってキッチンに雨
コンサートホールを出れば夏の月
薔薇の雨シナモンロール温めて
数学と別れて水羊羹を切る
コンタクトレンズを ひとさし指に載せ さわさわ窓に揺れる新緑
二人称としての先生春一番
桜蕊降る自転車を停めていく
初夏の湖に切ない風が吹き それを未来の鳥と見ていた
透明な水がふりつもった海の 磯巾着に訪れる 夜
ドライヤーの音が聞こえて胡蝶蘭
旅客機として朧夜をやり過ごす
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