ホットケーキに押し返されて てっぺんのバターがすべり落ちる 春愁
ふたつめの信号変わり冬の星
月光が廊下を照らすボストンの 地下鉄の自販機の痛み止め
息白くここは夜空が透きとおる街
伊達巻のしゅわっとくずれゆくあ ーあ
体育館より声援を聞く今川焼
背もたれに白衣の置かれ初時雨
知らない街の冬の図書館 本棚を壁の名画のように見上げて
オリオンより遠い わたくしたちの家
雪催オートミールを温めて
銀杏並木に光さすから学校は 世界のはじまりみたいな夕べ
冬夕焼コンビニのケーキを奢る
病棟に消灯のある冬銀河
誰もいない都会の交差点で待つ 夜 自転車にまたがったまま
大通に粉雪宝石店に夜
海を見れば海へ帰っていく夕陽
休日の図書館を出る秋時雨
榠櫨の実鞄に水着のみ入れて
自転車で住宅街を突っ切って 今朝は木犀香る公園
秋風がときおり入るコンビニの お菓子の棚の前で見つかる
凩に立つ 友だちが呼んでいる
秋の虹スーツでレストランに着き
新幹線窓際に頬杖つけば海月 寒夜の海に漂う
踊り場の壁にもたれていて夕立
いつも君が忘れてる傘といって 渡す流星が降る夜の貴方は
晴れの日の葡萄に海のような色
終電を逃した秋が君の家に
初夏のハーバリウムの底に砂
夕立去って烏は少し寂しそう
夏の夜の丘の天辺までゆけば 空へと昇る階段がある
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