怪物を心に飼って冬木立
うつくしいお前を祝うためだけに あらゆる炎が風に吹かれる
呼んでくれればすぐに行くから 知らない街の知らない川に花筏
十月は入れ過ぎた塩戻す日々
採血後の絆創膏風に曝され少し 恨めしい行ったり来たりの秋口
それぞれに怖いと思うCMがあっ てじゃあねにまたねと返す
濃紺で犬、イヌ、いぬの帰り道 ちゃんぽんにして川また走って
ひさびさに文字書くペンの息遣い 土砂降りだ 部屋いっぱいの模倣
共食いが始まりそうなテラス席 白いものばかりを頼むから
人情にゆかりがなくて給油する
オイスター パチンと跳ねて 空の縁
犬を抱く 私の頭で折れた雷
中指を吊り革に乗せ 頬の余韻
長靴を抜き差しされてぬかるみは 二足歩行の生き物を知る