人生の壁の乗り越え方
全部ネットが
教えてくれる　はず

懸賞でお肉があたった
ダークだった気持ちが
一気に
パステルカラーになった

雪だるま
雪がなければ
高値（たかね）もの

ハンドクリームのように
脳みそも
吸収してくれたらいいのに

受験用の証明写真
初めてロミオの顔を見た
ジュリエットのような表情

目覚まし時計が
子守歌になる朝

平等のうしろで
袖をつかんでいる
だれかのふびょうどう

わたしときみの
文明の利器で
「　　」を共有する

鳥飼ってそうと言われて
そうかなあ
まぼろしの鳥横切るばかり

年越し免れた人
挙手  ノノノ

わざと迷子になった
知らない道が知ってる道と
繋がってるって驚きたかった

よく笑うおとうとに雪ふりつもる

生きものに空洞のある冬の雨

あの人を見たことがある
セーターの頭を通すところで

夢や希望を丸呑みにする
アレの名前はゲンジツという。

ＡＩの外科医はきっと
「病巣を摘出します」
と脳にメス入れ

辞書めくる手つきだ
どこかにあると信じる

断片のままつなげてく
地図にない地名

一滴の雨粒に似た心臓に触れ
「ここに全てはありません」

六人家族で
時計を一つしかもってないから
壊れてしまう

冬の朝
辞書【落鳥】に赤引いた
彼は失踪者と認められ

もとからの孤独
言葉は誤読も愛す

欲望のかたち
言葉ではない体

枯原
０には何をかけても０

世界が並走する

作りかけのエレベーターを

見るおばあちゃん

美味しいおでんの店が
駅から遠い悲劇

そもそもラーメン屋なんだが。

息子よ、現状で第一志望に
合格できたなら
「睡眠学習術」の
本を書きなさい

ちょっとした
嘘を共有した人は
会うたび視線が
共犯者のそれ

下の子も
ひとりで寝るように
なった今
夫婦の真ん中に犬が寝ている

電車、人身事故
「飛び降りたら死ぬのに
　バカだねぇ」
自殺を知らない娘。

靴跡が付いた
紙飛行機の気持ち

昨日提出の
「公立高校最終希望調査」

今日の午前二時に起こされた。

行進をやめて
ひとりで歩くとき
新しい風が
背中を押すだろう

私の配送料は私より高い。

初雪が痛む子烏赤い喉

恋をして詩人になり
成就して言葉をなくす

サバ
そんなに私を見ないで
美味しいってちゃんと言うから

『成人の日 を祝うつどい』
これって成人は祝われていますか

愛嬌ふりまく未来予知
外れて泥のごとく寝る

エロ下着で乗り切る説教

大掃除からの解放は
排除の論理

友達はいらないから
恋人をください
クリスマスの
お願いしなきゃ良かった

汚い部屋にいる君を責める
そしてわたしの部屋も汚い

生まれてしまったので

 サルベージ
   温度
  言葉
 感情
においの

ブッシュドノエル
それは私に呪いをかけた
その時は魔法だと思ったのに。

冬
分母が孤独なら
分子は存在するもの全て。

夜風
激しい夜風
私の味方
連れ去って
そう夜風にお願いした。

お金を
頂いた
けれど灰をもらった気分
燃えてしまったのは、
私の心。

心臓の無駄遣い
毎日繰り返してること。

咲くことを
諦めた花の方が
より美しいのかもしれない

人間は
悪魔よりも
悪魔的になれる

竜宮城は
忘却のために存在した
かめは悲しみを
誰よりも理解してる

一番理解して欲しい人に
一番理解してもらえない
私達は悲しい動物。

失ったものだけが
私を私にさせる。
そして
私は私を知る。

鈍行でさえ
止まらない駅

恋は種
愛は花

佳い事と
佳いと思う事と
佳いと思う事を言うことが
余りに違って途方もない

愛はいったいどこにある？
探していたら　負け戦
捻り出すんだ　借り物競走

逆に、皆してこれだけ
スマホいじっているんなら
もっと色々　できんじゃね？

あんなに欲しかったのに
もう気持ち悪いって
わたし気持ち悪いな

皆で同じ方向に突き進む！
新幹線ってワンチームなのでは

人生最後の日が
曇りだったら嫌だなあ

参道に並ぶ
団子屋のどれが
寅さんの実家だろう
と迷って結局
はしご団子

船が狭くなったら
帰っておいで
港も縮んでいるだろう

思い出や記憶は
必ずしも
ノンフィクションや
ドキュメンタリー
ではない

家と学校や会社
以外の場所が
実は地球の
九十九パーセント
なんだぜ

恐竜がすでに
絶滅していて良かった

人間もいつか
そう思われるのだろうか

いまどきの鬼なら
桃太郎を銃刀法違反で訴え
その家来たちは
保健所に突き出す

事実
言葉はすべて当て字で
文章はすべて引用で
できている

押しつけられた情熱ほど
ひとの熱を冷ますものはない

息切れしたころ
スタートラインが
見えてきた

バットと包丁は
誤用されすぎた

非常階段で一息つく
ジャズピアノが空に響く

夢で会えたら良いな
けど
一緒に夢を見れたなら
もっと良いなぁ

負けず嫌いの愛が誕生した
その翌日に
恋は死んだらしい。

血を吐く思いで
思い出を
縫うのがそんなに
好きなのですか。

愛を叫ぶのには
海底がおすすめらしい。

ビビットカラーの殺人予告
見知った貴女は殺人犯
僕の、僕だけの殺人犯

水、私、あなたと
もう一度
泳ぎたかっただけ。
星雲、私。

アスファルト
制服ひらり
きみふわり

メメント・モリ
より、深淵で、窮屈な、
外。
詩人と檻

下駄箱にラブレタァを
入れるみたいに
簡単にだれかの
心に侵入してみたい。

あなたには裏切られても構わない

曖昧さにときめいて
知らない人と話したくなる

初夢。
死んだ友人から手紙をもらう。

この星がでかいメロンパンなら
こんなに悩んだりしなかった

闇にも質量がある
今日の夜はようかん並み

くしゃみしてあいつも故人

つぎの語で詩を作りなさい
春・あなた・わたり鳥

「すべては悪い夢。
もうお眠りなさい」

書けない詩を猫がよこぎる

世界がほろびる前の日
猫の爪を切ってやる

生まれてはじめての
恋なのです、
わたしはいま生まれたのですよ。

鏡の私とリンクしない　
心が追いつかない　
少し駆け足すぎたかな

あの人混みを　
見事に交わした
今日、或るアリの伝説を見届けた

もうこの気持ちは　
沈没船に積もう　
地球の正反対の　
見ず知らずの海の

またあの子が
私の夢で彷徨ってる
長い尻尾があるのに
なかなか捕まえられない

あの猫は
小さな街に迷い込んだ
兵士みたい
強そうだけど、本当はきっと弱い

この道をずっと歩いたら
一体幾つの
小さな劇場を、覗き見できるかな

コツコツと響く
その足音でわかる
ちょっと速い
いいこと、あったかな

きっとこの落ち葉は
鈴虫のための絨毯

君の作る　
不思議で
ちょっと暗い森に迷い込む
本当に夜明けなんて来るのかな

あなたが
公園でくれたタンポポを
まだ信じる私

悲しいけど
僕たちは人間だから
言葉で伝えることに
慣れすぎてしまったんだ

たまには月が嘘ついて
間違った帰り道を
照らしてくれてもいいのにな

もっと踏み込んで欲しい
私の心はシャボン玉じゃない

木の間から見える月
風と私が
運命を左右してる
素敵な夜遊び

庭一面の土には
耳があるから
声に出ない私の想いも
深く沈めてくれる

月が私の髪を引っ張る
まだ帰れない。
書物に書いてないことも
あるんだから

あなたは野良犬でないし　
私も名もなき猫じゃない　
一緒に布団に転がろう

一夜だけ　
街を魔法で　時を止め　
眠った時に　私も寝たい

人気のないこの場所の　
明け方なら　
迎えに来ていいよ　
遠い星の宇宙人さん

見え透いた満月と嘘家遠く

別れ話かケーキ残して片時雨

わだかまり解けなかった
スクランブル交差点に時雨

同じ世界の同じ時間に
私は私の沈黙と手を繋いだ

わたしはちいさく呼吸して
海としずかな話をした

ここにいるだけで
私の願いを叶えてしまった君は
遠くの花を散らしていた

またねと手をふりながら
しっぽだけはさまって
子どもみたいな大人のわたし

背中合わせにもうひとつ
別の世界があればいいのに

わたしはわたしが作り出した
わたしの中のあなたに
好きと言った

好きの置き場所に困っています

リフレインって何ですか、
リフレインって何ですか。

まんまるだよ、ほら
夜空をなぞった友の指先で
うさぎが跳ねる

タオルも持たず
座り込む私の前を
胸を隠した四、五歳の女児が
駆け抜けて行く

貴方が嫌いよと溢した彼女
無農薬の微笑み

夢の中に出てきた男
ちゃんと愛してもらった筈なのに
顔も名も覚えていないの

数式の横の自堕落落描き
Ｘの答えは踊るうさぎ？

恋をする歌と、失恋する歌
二曲しかないプレイリストを
延々と聴いている

急行で来てね、のメールに
各駅停車で行くわと返した

心に消しゴムをかけて
それで落ちた消しカスが
たぶん涙なのだろう

縫い物をしていると
宇宙を思う
世界を裏返したり
繋げてしまうんだもん

どちらが正しいかなんて
あみだくじで決めればいい

らりるれろって舌がもつれて
寄り添いたくなるね

ごめんね
優しくしてあげることしか
考えてなかった

だんだんと愛していって
だんだんと分からなくなる

あなたが帰ると
言わないように
いつもより早口で
接続詞をいっぱい

僕のポケットは
君の左手しか
温められない
両手一緒だと
一緒に歩けないから

あなたが空を 
褒めすぎるから
嫉妬してしまうけど
片思いだから
許してあげる

聞かれてないよね
胸がキュンって
鳴った音
バレるまで
見つめていていい？

どう思うなんて
聞かないで
私の目を見て
目の向こうを
感じて

テレた顔が見たいから
あなたの袖を
引っ張るの
右はもう伸びたから
次は左を

その先を曲がったら
私は降りてしまうから
ここで止めて
一緒に
月を捜して

放っとかれるより
放っとく方が
悪いよね
ねえ
聞いてる？

君の蝶々は
ゆらゆら飛んで
シャボン玉に止まると
一緒に消えた

ずっと付いてくる満月は
君に似ていて
角を曲がればすぐ消えて
僕に捜させる

上目遣いは
ずるいなぁ
小さなウソも
大きなホントも
言えなくなってしまう

あなたの真似して
珈琲にミルクだけ
でもあなたがいないと
苦いよ

やっぱり
分からないな
君の気持ちは
君の中にも
ないんだろう？

僕が四分半
君の膝で眠る間に
早く起きろと思ってた？
夢の中で起こされたから

あなたの為に
涙は流さない
これはあなたを消す為の
水性消しゴムだから

いっつも同じ
ドーナツを選ぶね
ここで浮気してくれてる方が
気が楽なんだけど

この懐かしい曲は
誰との思い出？
次は私も知ってる
新しいのをかけて

寒かった？
ほっぺが赤いよ
形状記憶の手だったら
頬のラインを
思い出せるのに

おっきいね
私の手は小さいから
幸せつかめない
なんて言ったら
合わせてくれた

私のどこが好き？は
愚問だし
全部。は
白紙だね

また来ちゃった
来てすぐだけど
また来ていい？
ダメなら今日が
最後になるから

あなたの大好きなそのシャツは
もうヨレヨレだから
私のパジャマに
していい？

君のサンドイッチ
どうしてこんなに
好きなんだろう
今度挟まれてみようかな

また一緒に
ケーキ食べたいね
今度は最後の苺をきっと
君にあげるから

女は群れると強いよ
と言った君はいつも一人で
そして誰よりも強かった

海に終わりがないのはね
海に聞いてみないと
分からないよ

君は忘れた頃
昨日の僕に手紙書くから
ずっとずっと
最初の言葉が書けない

チョコレートを
食べ過ぎたみたいに
僕らはもう
離れられなくなっていった

夢追い人が
羊を数える

正義の押し売りアンパンマン

戦闘機のプラモデル越しに
ニュースを見る

季節に哀愁は不必要なので、
ぼくは隕石が落ちないかな
なんて考えている。

「週末と終末は同義だと思うの」
四苦八苦たちは、もう、
埋葬しましたからね

果実になる前の思想
丁寧にラッピングされたわたし

シャーデンフロイデと
呼べなかったのは
成り損ないの他人でいたから
、です

呪いでも呪いでもいいのだけれど
（まじない／のろい）

それはきっと
眠りに落ちる寸前だけに見える
つじつまの合わない世界

さよならをかたどって
閉じた君のくちびるに
静寂の蝶がとまる

君の思い出をつなぎあわせて
蝶になって
つぎはぎの美しい羽根で
飛んでくよ

夕焼けの音色はオルガンの響き
待たなくていいよ

静かな夜のさざ波に
月が音も立てず堕ちていく
光るクラゲが泳ぐ空

夢を諦めないで
泣き顔を隠そうとして
机に突っ伏した君の
背中に白い翼

想いがつのって
ピンクの花ばかり咲く

賞味期限が切れたから
大きいオムレツ作ろう

誰もいなくなった心には
コウモリが棲みつく
けだるい満月の夜

受験生の代わりに滑ってくると
雪山に行く君
切られてくると美容院に行く私

雪の光のみ写経する一人

二度しか着てないあの喪服
分割払いはあと一回

唄う小鳥と瞳が合えば
二人は同時に舞い上がる

胸の痛みは春の穴
覗き込むにはまだ早い

あなたが海なら
私が空ね
遠目に見たらそれなりに
仲良さそうに見えるでしょ

あなたの林檎の写生にうつる
私の影は永遠になる

眼鏡を掛けたり外したり
そのうち君は俯いて
アスファルトを宇宙と説いた

畦道坂道
懐かしさはどこを通るか
電車自転車
青春をなにが運ぶか

橋の上から街路樹に影をかける
背徳
誰かの木漏れ日を殺している

パネルにタッチするのも
慣れたというが
餃子六皿を祖父と二人で

始発で向かい合わせの
君に朝日が差し込んだから
私は朝日を見逃した

五年前の私みたいな顔をして
人体模型が隅っこにある

記憶、あなたの声と匂い、体温
どんどん薄れてく事実か夢か
、
分からなくなる

寝起きのセックスってどうして
他人事みたいなんだろ

私自身にもよく知れないことを
空に尋ねても
返事はおろか
風すら無かった

にゃーって鳴いたらあなたは
「ウン。俺も好き」
って答えた。

世界中の他人を
同一人物に仕立て上げて
その唯一の人生さえ否定する

遺影のあなたに
ブラックで良いかと尋ねつつ
一応ミルクも添えておく

その訛りは好きだけど
遠くに感じるから
いっそ私に移してほしい

言葉を管理できません
＋心を管理しましょう
＝完全欠陥ロボットです

紙ひこうきのとぶ教室で
くるくる回る視線はきみで
もっとかわいくなっていて

でもこれは
あなたのための言葉じゃないから
疑えばいいよ好きなだけ

ジグソーパズルの最後のピースが
見つからない幸せ

何度幕が上がっても
最後の台詞はいつも同じ

受験用の証明写真
初めてロミオの顔を見た
ジュリエットのような表情

わたしときみの
文明の利器で
「　　」を共有する

渡されて紙は手紙に秋の星

鳥飼ってそうと言われて
そうかなあ
まぼろしの鳥横切るばかり

年越し免れた人
挙手  ノノノ

誰かに
あけおめことよろ言うたびに
心の中で
餅が膨らむ

　　　　ユニットバス



氷魚集まってくる首筋

　　　　　　冬の底

仄明るいビニール傘のかぞく

鱈の身の
層をひとつひとつ外す
君の生い立ち
ひとつひとつ聞く

冬空にその身晒せば
「あ、これがさみしさ」
名前のわからない鳥

どこへもいけない思い
文字を連ねて
それが詩と呼ばれたとき
何かを失った

わざと迷子になった
知らない道が知ってる道と
繋がってるって驚きたかった

心臓をつくる毛布にくるまって

都市ひとつ焼きつくすよう寒椿

よく笑うおとうとに雪ふりつもる

生きものに空洞のある冬の雨

サンタクロースの服のまま眠る朝

ささくれをシンシンと名付け
冬の暮

灯油屋のオルゴールが
父の部屋と繋がる廊下を
暖める

あの人を見たことがある
セーターの頭を通すところで

歩道からギリ見える部屋で
昨日まで明滅していた電気が
切れた

辞書めくる手つきだ
どこかにあると信じる

少しずつ
注げば溢れない
からだ

母の固い結び目をほどく
開戦前夜

穴だらけの
生き物に吹く
風もある

一滴の雨粒に似た心臓に触れ
「ここに全てはありません」

六人家族で
時計を一つしかもってないから
壊れてしまう

冬の朝
辞書【落鳥】に赤引いた
彼は失踪者と認められ

もとからの孤独
言葉は誤読も愛す

待ち受けに
光
家族の写真燃やす

死に顔が俺に似ていて冬雲雀

狐火となるまでアクセルを踏んで

春の月タトウーを告白されている

満員電車
君が溶けてしまう気がして
こわい

野心が身近になって嬉しい



川に石でも投げに行こうか

これから

粉雪がとけていくのを見てる
ラーメン屋の赤いカウンター

高速バス十時間かけて
闇を切り
里から娘を連れてくる夜

ゆずスライス
氷砂糖を重ねては
シロップを作る
まじないのように

靴跡が付いた
紙飛行機の気持ち

母よりも長い睫毛の新生児
灯油ストーブの香りに眠る

丑三つに咥える乳の温かさ
遠くで道路工事をしている

今夜まだ人に成れない

 サルベージ
   温度
  言葉
 感情
においの

もう一度立ちあがるために
燐寸擦ったゆびさきに雪が
空まで昇りました。

殺されるつもりで歩く夜の街

船が狭くなったら
帰っておいで
港も縮んでいるだろう

だれもいない
廃ビル一面の窓
そのがらんどうに
閉じ込められた
曇天とカラス

透明や
永遠は
プロパガンダ
だったのか

次の噴水が上がるのを
ただ待っていた
夕焼けが
きれいだったから

晴れたけど
寒くなった
人生うまくいかない
スニーカーは乾くだろう

むかし部屋に貼ったポスター
いつ剥がせばいいのか
わからなくなってしまって

えとるりあじん
っていいにくい
にんげん
でいいのに

瞼のうらに
飼っている雷鳴が
眠りにつく直前に
忘れないで、と囁き泣く

夕陽　染まっていた
手押し車を
ゆっくりと押して歩く祖母
紺色のセーター

愛を叫ぶのには
海底がおすすめらしい。

隣で泣いている僕を
慰めてもいいですか？

下駄箱にラブレタァを
入れるみたいに
簡単にだれかの
心に侵入してみたい。

アスファルト
制服ぐしゃり
君ぐにゃり
(陽炎みたいな夢を食んでいる)

言葉を研いで、
あなたの隙間に入り込みたい

ことしは良い年になるように、
伏せられた睫毛の
その重さ。

悲しみにはただ速度がある。

喪中
ただあたらしく口紅を買う

春はさかり、
花を摘むごとく
君の骨をひろう

啓蟄　猫を捨てに行く

病み上がり髪を梳く
いのちの凄まじさ

病む娘は口紅をぎゅっと握る

初夢。
死んだ友人から手紙をもらう。

この雨を、
わたしと同じように
どこかで浴びている人がいる、
ただ
それだけで