ぼたん雪の髪どめ
しゅわ、
三秒ルール

笑ってみたけど
ノートの隅の
死ね、
絶対見られた

チラシの裏に
単語の練習
チラシはどんどんたまり
練習ははかどらない

最近
立ったまま寝られる

留守番電話に残った
祖母の声
消せやしないよ

大掃除
なくした物が
見つかる日

食べ物と
天気と
昨日のテレビで
たいていの会話は成り立つ

コンビニで
ようやく気が付く
クリスマス

イマドキと
片づけられる
私たち

受験生
寝る子は育つ
反比例

留学したいと言ったらば
日本語もできないのにと
言われたよ

心にもないことはいわない
その約束は心にもない

言いたいことは言わない
その決意は
二行後、両手でこじ開けられる

檸檬をください
舌先がもう
忘れたがっている

[追記]
明日が来たら
ちょっとお散歩するね

頭蓋骨ごと揺らしつつ
こみあげるエンジン
バスはまれに生き物

自転車に
ひづめはなくて撫でている
都市へまもなく花冷えの夜

「御愁傷様です」に返すべき
ことば持たずに
「寒かったです」とつぶやく

詩句投稿サイトの
意味不明な
投稿エラーの
鬣
年を越す

自分へ向けるつもりで石を投げよ

愛してる
何回言えば実感できる？

主人公ほど強くもないし
敵ほどカッコよくもない
たまに見つけて目をそらす

努力はわりと裏切る
努力しないことは裏切らない

守るとは
ほかのものを捨てること

冬の象鼻打ちつける打ちつけ合う

電車で眠りきみの部屋でも眠る冬

臓器の位置が変わるほど狂い踊る
とってもいい気持ち
さようなら

猫の爪も月の真似して
不安にさせるのだから

あなたを呼んでいる
あなたを呼んでいる
あなたを呼んでいたい
こんな深夜にも

街頭の血を輸血する
迷子の張り紙に目を伏せ

そっと汚れた髪を嗅いだ

一年前、高級イタリアンを食べた
今日はホルモン
反比例の愛

最後の日に
あなたの声だけは聞きたい

そこにあると分かりすぎて
見えないふりをする

そこからが君でここから海らしい

かつて穴だった
形が思い出せない

俺たちの敵は俺たち
すぐ冷める

近すぎて見えない
君も海に感じる

聖樹

　　この世から色が消えればいい

本当は優しい人という寒さ

病院しか知らない
五年の命終えて雪

三寒四温子の骨しかない墓

わたしがうまれるまえの
とけいのねじをまきます

わたしのよるがあけるため

サンタはね
Amazonでおもちゃを
発注し
魔女が配達してるという子

ビーグルの野生を残している犬は
シェルティの被毛解くのを許さず

お兄ちゃんプレゼントまだなら
わたしがね　頼んでおくよと
図々しいヤツ

サンタはデブで年寄りで
急げないから
代わりに魔女が
届けてるんだよ

クリぼっち

この言葉を考えたやつ
ちょっと出てこい。

一年で一番ケーキが
売れる日に
ケーキを食べるのを
やめて数年

サンタの正体がバレた。
 「だから安物しか
　　持ってこなかったんだね！」

十二月は鶏の天中殺

もうひとつ
寝るか寝ないか
お正月

お父さんでもわからないこと
お母さんでもつくれないもの

頭の中今欲しいものより
欲しかったもののことばかり

私を見ないで
月なんて出なくていい

今までの
「今まで」をずっと考えて
途方もないね「今まで」って

「嫌いにならないで」って
泣いたって、泣いたって、
泣いたって、

血中ディズニー濃度の限界値低め

目に見えない
暗い光と明るい闇

吐き捨てたはずの言葉が
何故か戻ってきた

人を好きになったら
こんなにうれしいね
もうあたしいま目を閉じてもいい

ぼくが生まれても
誰も信じてくれない
人は二度生まれないなんて
信じないで

君からのトマトの絵文字
もともとはハートだったはず
はあとだったはず

すすきってすきがゆれる
みたいだね

空の奥で死んだ鳥は
きみの瞳に墜落しない

僕らの透明な罠

透明をのみくだしたわたしは
まるで小鳥のように
裁かれませんでした

天使は自ずと
この星を去る

まるで初めから
存在してないように

サンタは何も与えない
私は冬に猛烈な
後悔と切なさと悲しさを
残そうと企む

かぼちゃを食べても
私の夜は永遠に続く

サンタは遺影の中にさえ
喜びを運ぶ
キリストなんかより
もっともっと偉いの

今年は
空の上の住人達が
泣かなかった
だから
雪が降らない

｢時代のせいで｣と嘆く奴が
時代をつくれるワケがない

大抵のことは関係ねぇ
それより何より、どうするか
隣のアイツを笑わせろ

振り返ってる場合じゃない
後ろを見るにはまだ早え

もう寝た？
未読にたたみかける
勇気は無く

優しい嘘と
素敵な嘘は
違うよお母さん

この夜景の中に
幾つの命がある？
ゴジラは知る必要もない

あの辺の夜景で
夫と焼きそばが待ってる

面接で見えるのは
百ある顔のひとつで
履歴書でわかるのは
千ある話の一部だ

どんな商品の
コマーシャルも
主人公は
苦悩するサラリーマン
変な社会像

みんなそうしてるから
っての嫌いだけど
なんか
みんな生きるらしいぜ

こちら孫悟空
伸びるモップで
非常階段清掃中
天竺は遠く
次は便所と灰皿だ

呼びかけても
去りゆく相手と
気づかれぬ自分
どちらが幽霊なのか
迷うところだ

そりゃあ
不死鳥だって
大量発生したら
駆除されるよ
きっと

払込票持ちコンビニへ
なけなしの金が国税庁へ
こうなりゃやけだ
肉まんも買う

そういえば
故郷と東京
以外知らない

拡散される呟きと
誰にも届かぬ叫び

百万回の愛してるよりも
君の「嫌い」が嬉しかったよ

クリスマスツリーで
首を吊った青年は
翌朝には煌びやかな
装飾の一部となって

足早に立ち去る
まばゆい記憶
贈り物か忘れ物か

他人のスマホを覗き見る私
のスマホを覗き見る他人

約二十分間の
密集のロジック

わたしの魂は
白いノートに落ちた、青いインク
今もまだ
あなたに染み込んでる

朝の冷たさに頬を赤らめ
名無しの冬に恋をするのも
何回目になるか

人は恋と革命に生きるなら
人は何を持って死ぬべきなのか
罪か思想か

人間、ときには
手の届く天井が
欲しい時もあるの

8とSと∞
ほんの違いで
別次元

悪名は無名に勝る
というが
最下位は嫌だ

智恵子は東京に空が無いという
万里子も大阪に空は無いという

寸法
良い まぁまぁ 該当なし
シークレット・ルール

感性と現実の狭間
一生居られるような心地
でも到底淘汰される

トースターから出たパンが
私に囁くのです
「お前既に焦げてるぞ」

恋する少年

こんばんは以外の


挨拶は不慣れ

生まれる未来にたどり着く

カバンちぎれた
学校行かない

気になってない
名前も知らない
いつもの席につく彼
気になってない

犬に噛まれてから
どこに行こうと
いつまで経っても
鳴き声が聞こえる

自信も電池で
供給できたらいいのに

波の深呼吸につられ
わたしの足が
地面から遠のく

白く凍る吐息は雪になれなかった

親戚の皮肉短し夜長し

ぼたん雪の髪どめ
しゅわ、
三秒ルール

笑ってみたけど
ノートの隅の
死ね、
絶対見られた

人間は
疲労困憊になると
想像力からなくなっていく

日の出前
私の通う中学校の
正門を開ける音が
確かに聞こえる

ぎんなんの　落ちている道
息止めて　小走りすれば
冬はすぐそこ

歌いながら帰るその横を
お母さんが通り過ぎる

留守番電話に残った
祖母の声
消せやしないよ

自転車のカギを
なくした
意を決して
旅に出たにちがいない

さえずりで
わかるよきんかん
たべごろね

くつ下の
穴から見える
新世界

親族が
年末に集う
血糖値の話で
半日過ごす

ららぽーとに来ている
受験生は
あたししかいないかも
というとてつもない不安

日ごと増す
ごめんねが痛い
神渡し

言いたいことは言わない
その決意は
二行後、両手でこじ開けられる

檸檬をください
舌先がもう
忘れたがっている

とびら、って言うとき動く肋骨の

どこまでが夏の入り口

[追記]
明日が来たら
ちょっとお散歩するね

院生忌
バンザイクリフにたんぽぽ植える

頭蓋骨ごと揺らしつつ
こみあげるエンジン
バスはまれに生き物

自転車に
ひづめはなくて撫でている
都市へまもなく花冷えの夜

そうだとは気づかず靴を
濡らしては都市のくぼみに
波紋　つめたい

渡り鳥飛び立つように
テーブルの
ライター次々と灯される

ライターをつけると少し
燃えそうな毛先のことは
伝えなかった

信号は黄色
のなかを駆け抜ける
バイクは馬の
兪ではないのだ

植込みの底をすり抜けてゆく蛇
明日に障る終電帰り

方言の意味を訊ねて
しまうこと　振り返りつつ
ビルの点滅

「御愁傷様です」に返すべき
ことば持たずに
「寒かったです」とつぶやく

冬の季語
うまれるまでの
二万年

ショベルカー項垂れたまま
年を越す

からだのなか
冷たい川が流れている

指先が震えて
あなたに触れられない

自分へ向けるつもりで石を投げよ

雪で歯を磨く既読はまだつかない

朝寒に泣き顔の似ている姉妹

まだ明るい空手道場小夜時雨

活字の海にクロールで挑む
まくれどまくれど
沖合に出るばかり

臓器の位置が変わるほど狂い踊る
とってもいい気持ち
さようなら

猫の爪も月の真似して
不安にさせるのだから

パンの耳ジャム多めに塗り
ここでしか聞こえない
合言葉

手探りで靴を履いたら
はじまりの音がした
ああ
月が眩しい

ベランダで膝を抱えて見る空は
私のことなど見ずに明るむ

君が海岸の砂であったら
済んだ話を

酢飯冷やして
だんだん更けていく夜

手のひらで溶けてもいいから
雪を握る

そこからが君でここから海らしい

明日の海にかけてみる

韋駄天神
やがて君にたどりつく夜

近すぎて見えない
君も海に感じる

小米雪私の首が落ちる朝

雪しづり
祖父の愛したZippoの火

流星群ひたすら土下座する俺に

病院しか知らない
五年の命終えて雪

冬の夜の殴打のような木魚の音

三寒四温子の骨しかない墓

降る雪が痛いから遺書書き直す

父のだけ崩れたクリスマスケーキ

育て方学び形見のシクラメン

きっとや
これからが
この寒さに溶けている
肌を刺す 冬が来る

再び生きるのに理由なんてない



冴え渡るんだ 自販機の赤色

戸が開かれる
千もの手が現れては
虹色の指紋を残して

僕はいきていく

わたしがうまれるまえの
とけいのねじをまきます

わたしのよるがあけるため

理髪する

モップではかれた僕の夜

うまくいかないなぁ
毛布の中で丸くなる


今日は海に近い街に行く

わたしが主語から消えた時



奴隷の月日は終わります

サンタはね
Amazonでおもちゃを
発注し
魔女が配達してるという子

でこぼこな個性を放つ
我が子らを
見てればいびつな
野菜も愛しい

片っぽの
手袋落ちてた
十二月
イルミネーションの影で
じっと見ていた

一時間十四分で辿り着く
聖地を見つけて
走るシャーペン

娯楽ない田舎に育った
こども時代

落ちてくる雪を
ぼおっとみていた

年の瀬は夕市に行った
請戸港
発音してみる崩れた思い出

三年間ちっとも帰れぬ
街なのに
天気予報は律儀に見ている

またあした
約束通りに会えていた
青い記憶の飴玉ころがす

美味しいものを食べても
もう思い出さなくなったよ

お父さんでもわからないこと
お母さんでもつくれないもの

私を見ないで
月なんて出なくていい

今までの
「今まで」をずっと考えて
途方もないね「今まで」って

口紅を並べて一人過ごす夜
ここは世界　ここが世界

熟れたしいたけのひだから
夜の森のにおい

春を小脇に走り抜ける月

人を好きになったら
こんなにうれしいね
もうあたしいま目を閉じてもいい

死んだら君の耳たぶになる

待ってって言っているのに
聞こえないふりが上手な
君がすき

冷蔵庫だまれ
父さんが母さんに
何て言ったか聞こえなかった

君からのトマトの絵文字
もともとはハートだったはず
はあとだったはず

自転車の車輪の跡に
ダンゴムシ
だんだん暗いもう帰ろうか

飲み込んだ
言葉はどこへも出て行かず
ずっとあたしのここにあるんだ

すすきってすきがゆれる
みたいだね

ポップコーンが
買えないくらいに
自分のことを決めつけている

好きだったカフェも
いつのまになくなって

こんなふうに
人も死ぬのかな

指先から放電する


ゆめ

いたいのいたいの

飛ばなくていい

わたしの心の芯を苛め

たったひと筋の文字をなぞる
まなざしの綱渡り

まだ爆ぜない

きみの微笑みのせいではないのに
まるで光がじゃれあってるみたい

透明をのみくだしたわたしは
まるで小鳥のように
裁かれませんでした

きっと気のせいなのよ
とてもちいさな嵐
底のほうで

きみの横顔に睫毛はひかりを集め
今、この夜だけを指す羅針

生きてる限り
自分から逃れられない
だから
ミルクティーに逃避した

あなたの部屋の写真の
匂いを嗅ぐ

爪を噛まなくなれば
褒めてくれるかな
お母さんお母さん

自分でアクセル踏んで
妻として死に行く夜道

あの辺の夜景で
夫と焼きそばが待ってる

みんなそうしてるから
っての嫌いだけど
なんか
みんな生きるらしいぜ

こちら孫悟空
伸びるモップで
非常階段清掃中
天竺は遠く
次は便所と灰皿だ

呼びかけても
去りゆく相手と
気づかれぬ自分
どちらが幽霊なのか
迷うところだ

そりゃあ
不死鳥だって
大量発生したら
駆除されるよ
きっと

拡散される呟きと
誰にも届かぬ叫び

視界に切り取られた世界は
そのまま私を閉じ込める檻で

百万回の愛してるよりも
君の「嫌い」が嬉しかったよ

晴天の霹靂は明日十四時に
起こる模様。
とキャスターが言う

他人のスマホを覗き見る私
のスマホを覗き見る他人

蝋燭を灯した記憶はふっと消え
三割引のケーキの甘さ

兄と兄と僕がいること
車内に無言があること

つんりりつんりりと
海月みたいに漂った
きみのたましい
そっと呑み込む

薄い積雪の下で砂利が鳴る
見え隠れする足首が
恥ずかしく
新しい気持ちだった

とらやの羊羹が
美味しかったので
正月まで半分おいときます
と、母から

カッコウは
この夜のどこにいるのだろう

太ももの下で
潰れた
蓮華草

鳥は
どこで
死ぬの

苺サンドって
春のたべもの
白さが
むずがゆいもの

真白い空から
真白い雪が降る
その本当の理由は知らず
私は雪に降られている

ビーズを散りばめた街に
少女が弾く
ピアノの
「レ」

君の眼鏡
白くなる冬
フィンランドの
サウナで会った
おじさんの話をして

人間、ときには
手の届く天井が
欲しい時もあるの

ケシゴムを探して四つ足の夕暮れ

雲のあのへんを撫でてやりたい
きっと喜ぶ

水跳ねて
防水のテーブルクロスに
天の川

食べきれなかった食パンに
寂しそうな皺がある

智恵子は東京に空が無いという
万里子も大阪に空は無いという

あなたの シンプルな時間に
鼻歌になりますように
私との思い出が

トースターから出たパンが
私に囁くのです
「お前既に焦げてるぞ」

恋する少年

爪先で雲を弾いて朝を呼ぶ

だってあたし足が濡れて
しまったんだもの。

心は海になる
くりかえし
くりかえし
詩をくちずさむ

口紅はもうみんなとれて
しまいました。

名前はもうない。

このきれいなつつみ紙の
チョコレートを
毎日かじって
そうして春がきたらいい

月にいちどは花を買って
あなたが訪れるかのようにしたい

カバンちぎれた
学校行かない

気になってない
名前も知らない
いつもの席につく彼
気になってない

髪を結ばなきゃいけない
規則だったから
髪をほどけば
可愛くなれると思ってた

おにぎりを作るてのひら冬日和

シアワセを綺麗なままで残すから
このまま地下で眠れ終電

実験室の窓に冬が張り付いている

教室の窓秋は永遠回帰

室外機唸って炎える夏を吐く

林檎は甘煮され透き通って従順

ニューロンに錆びつく秋思夜夜夜

雪の原吐息は立って天の青

銀世界ごろんとコートの黒一つ

ぽっかりと闇立ち上がり冬の月

わたしがうまれるまえの
とけいのねじをまきます

わたしのよるがあけるため

理髪する

モップではかれた僕の夜

今までの
「今まで」をずっと考えて
途方もないね「今まで」って

色鬼を美術館でした夢

深夜のマック
ひとりでいるのと
ともだちといるのと
どっちも好きだと思う

智恵子は東京に空が無いという
万里子も大阪に空は無いという

ああ鳴らさなきゃ
自転車のベルの意味
ありゃしない

室外機唸って炎える夏を吐く

林檎は甘煮され透き通って従順

ニューロンに錆びつく秋思夜夜夜

「青になりました」
信号機時雨ている

白菜を切る　貴方は駅に着いた

ぼたん雪の髪どめ
しゅわ、
三秒ルール

笑ってみたけど
ノートの隅の
死ね、
絶対見られた

ファストフードでの
勉強もはかどらない
制服に
匂いがばっちりつくだけ

冬の花火は
何だか　せつない