お椀に缶ビール
ピンセットで柿ピー
両親は裏の顔

明日が
本当に来るかわからない
後悔しないということは
今日やるということだ

スイカ割
人気で変わる
指示の声

失敗すると
「あたしバカよねえ」
とつぶやき
そして小一時間歌う
母

おじいさんは
一生懸命だった
足りないのは
私の聞く力
フガフガを聞き分けたい

爆弾が
全部花火に
なればいいのに

緊張が楽しめるように
練習を重ねる
何十回も　何百回も

いくつもの失敗を予測し
その立て直し方の練習が
必要だ

夏草や
クレームの後
刈り取られ

相槌を
打って親身に
聞いた後
でもだってと
いう人は嫌

ハチの巣を分解してみた
中から蜘蛛が
たくさん出てきた
巣はおもしろい

ガリガリ君
当たって使う
私の運

入試説明を聞いただけなのに
わが母校を応援する気持ちで
甲子園を見る

ばあちゃんは
今日も数十回目の
初めてを
経験している

二十四時間テレビが
宿題やれよ、の合図

猫の名で
ねちねち説教するは
母

温暖化
食い止めるのは
「だれか」なの？

愛猫の首輪の反射夏の月

身体に峰あるならふくらはぎ晩夏

操舵手は不在
のままに飛ばされる
天気雨とは帆船の霊

夏は薄命
しなかったことばかり
数えあげてるあなたの隣

ヴァンパイヤ
死ねない少女の　恋

クレヨンの　
青の減りだけ　
思い出が

しゃぼん玉
名の無い雲が包み込む

りあすくってあげる
心にすくってあげる
スプーンですくってあげる
おくすりあ

溶けた輪郭
世界と思考はカクテルされ
意味が脳を貫き
不安に目を奪われ
どこ？

天の川わたしの二十年あげる

不法投棄物のみぞおち
つたう子持ちのヤモリ

息継ぎの度に沸く波に愛称を
持ち家のない家政婦に
煮物味がしみている

重なり合った線の上で生きていく

夏休み、楽しんでるか？
落ちそうな星を見た夜は
ずっと味方だ

カラオケで既存の歌にのせた愛
「永続しない」にルーム料金

暴虐な時間の神を絞め殺し
寝苦しさを暑さのせいにする

「明日の夜、花火を見よう」
予定では
光 音 音 好きだ 音 うん

感情的に喋るな
動物と一緒だぞ
論理的に喋るな
機械と一緒だぞ

意図を紡いで罠を成す

吸った分だけ吐いてください
なんて
教えてくれなきゃ分からない

高気圧
僕の猫背は
風に乗る

すいかバーが溶けて
あんたの目に入るのと
わたしが入るのと
どっちが痛い？

鳥も歩く　翼では行けない場所へ

追ってた
風と　
入れ替わって　
るんだった

人工呼吸みたいなキスはしない
初夏

風として生まれ光になりたい風

遺体のない葬式　椿落花時期

私という破片を集めて過ぎた時代

病む
貝の異物が真珠にならなかった朝

種子のない果実　貪るけものたち

犬にシャツ　僕も言葉をもて余す

種子のない果実　人が滅べば滅ぶ

太陽みたいなキミ
夜の匂いがする

僕の知らないキミ
奪い取ってしまえ

ラブソングを聴いたって
共感なんてできない

関東を動揺させる糸電話

洗面器だらけで床が見えないよ

ビスケットを
粉々にする地図記号

誕生日なら回路図書こう

晩夏遺書の余白が白すぎる

満月のダム湖の底に村がある

スコッチの銀河だったら入水する

白骨の妻白骨の俺夏の星

俺の入れぬ墓洗う

十六夜猫だったものを眺める

夏の雲君に秘密の手紙焼く

革命の後は小雪の降るばかり

あかりのないまちを
みたことがあるか

朝

つり革の円に心が泳いでる

ある女

日傘の傍から
たばこの煙が舞い上がる
交錯しない二人の人生

不意の救い

便意が悩みを押し潰す
ものすごい現実味だ

たよりの風

便箋があらゆる裂け目を
埋めていく
私の引け目なくなっていく

しおり

汗でふやけて波打つページ
そこに載る詩がお気に入り

そもそも爪の垢煎じて飲ませるな

まばたきとまばたきの間が人生だ

本当にそうか？
キスはどうなる？説明しろ

刑

ひとつひとつ
水差しで鉢に水を遣る
一万キロメートル並んでいる

より重い刑

つくしがスギナになる
動画を見てから
つくしの天ぷら千本食べろ

不安も憂鬱も憂愁も郷愁も
全てひとつの感動と分かった
怒りお前は違う

創世

二日目の空
神のいいね！を待っている

脳内で
ローソンの看板の
色を変えては笑ってる

休耕地だ
ぼくの心は

今度はぼくが農夫になって
笑って鍬を入れるんだ

森の色

日の当たる場所がライムで
当たらない場所がキウイの果肉
と覚えて

散歩から

つまり蝉は昨夜の雨に
泣かないで耐えていた
ということなのだろう

ミニチュアと人生

木枠の窓におさまって
出航しない帆掛け船

おじさんが洗車している

この世では
救いの形は人それぞれ

夏の終わりに

蔵の戸が開いている
蝉の声を納めようとしているのか

向こうを向いて
巻き尺を持った人が立っている
向こうは崖だ

カラコンで
カミオカンデを作りたい

なんとなくグルメ番組
斜め見て
いいな、の気持ちに残高よぎって

十五歳迎えた息子がありがとう
母も十五になったよ、ありがと！

夏
今しかできないことが
あるような
今さらできないことが
あるような

ステージで
タクトが降りて静寂を
切り裂き始まる
私たちの曲

大量の青南蛮を刻んでれば
涙をごまかす理由ができる

ベランダで後頭部から転倒
いしきとてのちからか
とおのいといる

脊髄損傷だねと
ことも無げにいう医者に
ぐるぐる巻きに
されている今

四角四面 真っ白な壁の病室は
脳みそを豆腐にされそうな恐怖

墓石に花を描いたのは誰？
赤いマニキュア 
縹渺と二輪

天井は木目
夕顔が這っているんだ
僕は一日
十六時を溺れている

多汗症
頑張り屋だと思われる

自販機の底から借りたジュース代

漂流の瓶の包みしラブレター

追いかけるほうが泣き出す
鬼ごっこ

可愛さをアピールしてる猿芝居

倍率の表に出ない努力の差

初恋を美化する記憶
もの忘れ

喧嘩中だけど変わらぬペアルック

愛について語ることはありません
このクチナシの花をあなたに

あなたを愛しています
私の言葉で傷ついてください

引いた潮はどこへいくの？
誰かの涙になるんだよ

服を着替える
昨日の自分を捨てる

言葉では言い表せないけど、
言葉じゃないと伝わらない

約束をしましょう
これは一種の呪いです
あなたを縛りつけて離さない

入道雲の中に入って
クリームソーダを飲みましょう

振り向くと
「昔の私」
のお墓が並んでいた

この手紙を最初に見つけた
あなたへ

もっと早く出会えていたら

泣くふりをしたら飼い犬が
心配そうに寄り添うので
本当に泣いてしまった

火がついたのは

恋心だったのか
闘争心だったのか

 パフェ①

飾られたつぶの赤いひややかさ
ひとくちのゆめ
はじまる合図

パフェ②

しあわせを縦に並べて突き刺した
それでも甘いなんてずるいわ

パフェ⑤

きづいていないでしょう
きみはさみしい
おわることのはじまりはここ

空き缶①

からんころん、
死んだ音が聞こえた夜は
どうかわたしを思い出して。

本①

ここに並ぶものは全てぼくの記憶
恋とか愛とか人殺しとか

本④

落丁・乱丁だらけの
きみはかわいい
間違い探しとアイデンティティ

アイス②

靴を脱いで飛びついた冷凍庫の
いちばん夢の詰まったところ

アイス⑤

僕が溶けて
死んでしまったときの君が
どうか泣いていますように！

朝⑤

おはようを口実に
そのままきみのこころを
奪ってしまいたくなる

夢④

こんばんは
あした地球は滅びます
各自、避難準備をするように

夢⑥

やっときみに会えたのに
顔が見えない
そうか、きみは死んでしまった

からだ⑥

彼の背中の上におちた隕石が
燃えてぼくらは朝を迎える‬

薬④

眠る前1回100錠
あしたには楽になりますように
さよなら

クッキー②
クッキングシートにならぶ
星型の惑星だけの宇宙があれば‬

クッキー④
あたたかい過去の約束の余熱を
いつまで経っても忘れられずに‬

ケーキ②
砂糖のかたまりでできた綺麗事が
ひと文字のこらず甘く苦しい

ケーキ④
フォークの突き刺さった白い遺言
いちごは最後に取っておいて

紅茶③

溶けきれず底に残ったざらざらを
すくって舌でさみしさを知る‬

パンケーキ⑤
ふかふかの「ふ」の字が
いちばんふかふか

きみはいつも
一言一句よそよそしい
わたしはいつも
悲しくなくなくなくない

秘密だよって言い合った渋谷
街も知らんぷりしてくれた

パズルみたいな詩はいらない
血の味がする文学が好い

あの人の曲の
アンサーソングつくる
午前１時過ぎ

そうやっていつも足して引いて
イコール探してたの私

くしゃっとしたくなった
いつもはなんとなく折り畳む
バーガーの包み紙を

季節はどこからやってくる？
スーツは制服の延長線上？

夜が長くて 私 夜が長くて
少し 夜が長くて 哀し

急く私に赤信号は優しい
走り出さないように
引き止めてくれる

一分一秒
メスシリンダーで計りとりて
まだ君のそばにいたくて

大地を嗅ぐ
虹の半周は
土の中につづいているという

煙草一本ぶんの休息
時間の歩測をゆるすなら
私一人ぶんの悲しみ 

声を失う

無菌室
生きものって
つまり膜につつまれた水

人類愛かなぐり捨てたあとの朝焼

名前のないものばかりに惹かれて
西瓜の皮の白いところ

レール

どこまでも平行
僕たちが出逢うのは
まだ遠い消失点

大空に
犯されすぎている
侵されすぎている
冒されすぎている

種子の充溢あやうげに
鳳仙花の火薬

すりむけた膚に超新星の消毒剤を

耳かきの白いふさふさ
だれもが飛翔願望もつ証拠

縦縞の君と
ななめストライプの君と
ピンクブラック千鳥格子の君と
交錯したい

ティッシュこすれば
ティッシュの魔人
嵐が丘まで走っておいで

君が見ていても僕は翔ぶのだから
黙ってオムライス食べていてくれ

失恋ソング熱唱してみても
扇風機こっちを向いてくれない

羽目板のはずれた笑い箱が
けたたましく階段を転がってった

苦虫かみつぶしたら
苦いの当たり前じゃん　泣くなよ

割りきれない、おもい
ななぶんのごじゅういち

音の絶滅した海岸
少年はブロンズとなる

電灯のもとに
妖精がいると母は言う
わたしは嘘つきだから見えない

読点のあっちがわとこっちがわ、

マリファナ海溝のような深淵

無機質なものの唄を聴く、
パチンコ玉ほんとうはアラザン

横腹かみちぎるアイスキャンディ
透明な身体
への
やっかみ 半分いじょう

あしゅらあしゅら何見て泣くの。
蓬莱枝にとまりきりの天稟

したたかなしたたり
しかたなしにしたり顔

鈴なりの
宛名なき愛もてあます

ショートコント「生活」

楽園そだち
ほおのそばかす

朝焼けに しわくちゃパジャマ
夜の続きを

トマトのスプラッタ②

うどんが混入
えんどう
こんどう

夏風邪メモ②

・ダンサーインザダーク
・タクシードライバー
・花とアリス

夏風邪メモ③
３７．５
３８．５
３９．５
３９．４

あのときの冷たいキスの感触を
忘れず次の恋へと進む

孤独だ、やっとの孤独だ

午前四時半に眠るあの人へライン
推敲しているうちに五時

ユーチューブで歌う色男
あんたの時代はよかった

あなたのやさしさ 綿１００％

どこかで殺されていませんか
ねえ お姉ちゃん。頼むよ

除湿機を買って、
湿度を愛していたことを知った。

おそろい、という言葉に這い回る
わたしアブラムシ

蝶がひらひら
はばたけば
遠くで竜巻のおと
僕のまばたきは
いくつの命を奪う？

罪悪感を引き立てる
自涜のあとのバタアクッキイ

A君のその中にいるB君の
そのまた中にA君がいる

死ぬのなら命を置いてゆきなさい

空の彼方に空はある

息をしていたら
一日が終わってしまった

ゆるんだ記憶に入り込んだ
君はもともとそこにいたっけ

つめたい海　さわったとき
いきもの　に　なった気がした

逃げ切れないと知っていても
少し遠くに行きたかった

湖の触り心地を訊くなんて
あなた私を知っているのね

深い闇は
体にさえ染み込んで
光は闇でしか見られない

夏の山みたいな体の線なぞり
愛しいような気がしてました

早起きし君を目当てに公園へ
皆勤賞のラジオ体操

靴箱に眠るヒールに足入れて
魔法にかかるシンデレラの夜

落ちて腐って崩れて朽ちて
それでも消えないのか

いたずらに恋に落ちるの
どんな音

シャンプーのあとより
一日頑張った髪の匂いが
好きだと言う君

こんなにも君を不安に
させたのは間違いない僕
夜ではない僕

思い出がある気がしていて
倒せない助手席
差し込む夕日は無色

あかいスカート
くるくるくる
およそ自作自演の人生

３０秒チンしてと言われたら
４０秒チンする性格

誕生日に傘
錆が嬉しくて
濡らしては
陽からにげる

お椀に缶ビール
ピンセットで柿ピー
両親は裏の顔

引き潮で
遠くになった
波打ち際
気持ちおさえて
かけぬける夏

失敗すると
「あたしバカよねえ」
とつぶやき
そして小一時間歌う
母

爆弾が
全部花火に
なればいいのに

いい夢も
夏期休暇に
入ったか

風鈴が
鎮魂と鳴る
原爆忌

満月を
背にそろそろと
貝砂利道

「すむうず」の
平仮名文字が
あたたかい

ばあちゃんは
今日も数十回目の
初めてを
経験している

千円カット②

「どこの学校に行ってるの？」
と聞かれない至福の時間

中野行
富士を探して
家路つく

三鷹行
スカイツリーも
同行す

山盛りの
抜け殻一つずつ命

えだまめに
ほしいしょっぱい
この涙

愛猫の首輪の反射夏の月

月涼し辞典の隙に意味を問う

泉まで歩いてまぼろしと分かる

春霞つぎつぎ狂う鳩時計

百均の皿割りまくる夏の果

眠らないままでここが海という
噂

紙コップに書いた似顔絵
ちょっとだけ
ゆがんで
明日には捨ててしまうのに

巨きくて
空に触れ
　　　　　ない
とこの〇

首の毛
　　　　　　　　　　嫐られ
あざみ野
の唾液

自殺してまた戻ってくる
　　　　　　　　　　夕日
　　　あざみ野

いくつかの変種は展翅板にいて
引き抜けば燃えそう
アキアカネ

操舵手は不在
のままに飛ばされる
天気雨とは帆船の霊

もうそろそろ
家出の時刻
ダリヤ咲く

荒野　の
体温　として
雨の　狂詩曲

おいたけものが
まなこをひらく
つゆのよる

滝の雨
それでも前に進む蝶

クレヨンの　
青の減りだけ　
思い出が

夏雲に
あさやけ尽きた
午前五時

錆びついた
郵便ポスト
君を待つ

小雨濡れ
寄り添う影と手をつなぐ

苺シロップとっぷり垂れて赤不動

かき氷融けてひとかけ兄の語尾

日想のクリムトじみた鷺はゆく

ありよりのありの俺たち花火降る

雨粒を吸い、雨粒は加速する

天の川わたしの二十年あげる

値引きのトマト
傷口から夏の匂い隠せない

夕陽とガラス
彼の姿を増やしてく

だるいとか行きたくないとか
言いながら家を出る僕を
睨む向日葵

きみってまるで
アメリカのグミ
色鮮やかだし
嚙み切れぬ

夏休み、楽しんでるか？
落ちそうな星を見た夜は
ずっと味方だ

７時です
今日も元気に生きましょう
「も」ってなんだよ
俺は
助けて

「明日の夜、花火を見よう」
予定では
光 音 音 好きだ 音 うん

ミャンマーは意外と遠い
地球儀は
思わせぶりなサイズをやめろ

現実なんて見ていたくないから
帰宅早々に
コンタクトレンズを外す

意図を紡いで罠を成す

吸った分だけ吐いてください
なんて
教えてくれなきゃ分からない

全部どうでもよくなった夜
チョコレートの銀紙で
世界をくるむ

こんなにも
小さな教室だったのか

夏祭り
ソーダポップは
光る雨

高気圧
僕の猫背は
風に乗る

すいかバーが溶けて
あんたの目に入るのと
わたしが入るのと
どっちが痛い？

君の名を冠す果実を砕く奥歯

常に眠いけものとして生きのびる

母国語と母語
きらきらと文字眩しい

追ってた
風と　
入れ替わって　
るんだった

脅されて豆腐百回噛む法事

病む
貝の異物が真珠にならなかった朝

自分の部屋ないまま育ち
夜を知らない

犬にシャツ　僕も言葉をもて余す

りんごの味だけが思い出せない

休みの日、
あなたはお湯の親戚ですか

八月にホタルブクロを通過する

左から風邪をひかないようにする

ストローの袋を開けて犀になる

ふれあいに
ウツボカズラを介さない

ビスケットを
粉々にする地図記号

花束を代入すれば大丈夫

発芽したのは間違いだった

というのも、
両手に釘が刺さってる