羊歯 はにかむ 貴方の綺麗な歯の並び やわらかそうな言葉を選ぶ
折りかけの 折り鶴みたいに 忍ばせる 退学・休学届けの薄さ
夏は薄命 しなかったことばかり 数えあげてるあなたの隣
虹 形而上に触れたい試験あと
あどけない友の居眠り眺めては 信じてみたくなる性善説
本抱え図書館でれば 止まってた時間が動く 濁流の蝉
夏休みの三番線に立つ妖怪
満たされぬことへの希求 山盛りにいつも入れちゃう お鍋の具材
良い人でいるのは罪だ 嫌いだと言えず半分捨てる大福
雨音に問いかけられる Que sais-je? 答えも出せず踵は濡れる
世界から 採用されない心地する 何通目かのお祈りメール
人はきっと学ばなければ人を殺す 『荀子』抱えて登る階段
紫陽花は幾何学めいて 詩不要論 話す後輩の手の甲あたたか
もう誰も許したくない 透明なビニール傘に 張り付く葉脈
七変化私は滅びるまで私
雨粒のひとつひとつに世界あり 友の誤解を解きかねている
自らを偽った日の 脇役に添えられるための 千切りキャベツ
夜の空切り分け君にひとかけら 渡すかのごと 羊羹を食う
くだらねえ 言葉ばかりを紙魚にやる
若者は明るく生きてゆくべきだ こんな世界でどうやって 紫陽花
学校は病院のよう 白塗りの校舎に白き腕の少年
越えられない壁は確かにあり 君の触れたことない臓腑の熱さ
首斬りのように 差し出す首シャワー
つまんない自説の男生ビール
青葉闇ゆく誰しもが持つ無言
優しさと弱さは似てる ストールをさらってゆけない はつなつの風
再検査する心電図つばめ来る
素朴って 個性がないってことかなと 履歴書かけず 食う焼きプリン
町中に広まる噂しゃぼん玉
いつの日か 訛り忘れる寂しさは まだ青い実の桜桃の違和
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