LAの友眠る昼時計草
何処かへ行きたい 何処までも行きたい 何処にも行けない 鉛筆がない
カーディガン ずぶ濡れにする雨だけが 私に優しい午後の面接
美しき地獄だこの世の何もかも綺麗に洗って食うプチトマト
霜柱聖観音の指のごと
桜蘂降る信じたくなる死後のこと
嘘ばかり ついてる私を責めるよう 口開けたまま売られる鰯
純白の躑躅の小道 たましいを 攫ってくれない人ばかりおり
世の中の レシピの多くが二人前 深夜に啜るカップラーメン
茄子の背に 入れる切れこみ 愛されるために 傷つく必要のあり
もうずっと迷子であったそんな気がしているスーパーでポン酢を探し
透明になるまで煮込む 青梗菜 無害な人と言われ続けて
花束を 抱く人波にのみこまれ 令和元年のニュースの中に
先生と声をかければ 先生は 先生の顔しつつ振り向く
桜まじ誕生日には何を買おう
めちゃくちゃに 刻む玉ねぎ 嫌われたと わかってしまった日の夕飯に
沈黙は美徳 言いたいこと言えず アサリに砂を吐かせる夜更け
他者ばかり羨む夜だ丁寧に焼おにぎりに焦げ目をつける
生活はままごとめいて 手のひらで切り分けられてゆく豆腐たち
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