冷凍庫に沈んで凍る新作の アイスクリーム小人が運ぶ
抱きしめて手のひら沈む背の肉は 固まる前の光るセメント
手に余るあなたのからだ 掻きわけて静かな浜へ 泳いでいきたい
嘘っぽいあ行を連れてバスボムを 溶かした風呂に髪まで浸かる
春の川へと溶けていく雪みたいな 音をさせてオーブン光る
酸欠になって拡がる炎とか 去っていくとき喧嘩はなくて
月を踏む君のつま先 水滴で ひかってわたし迷子にさせて
夜が手のひらから溢れそうになる うずくまってるこうもり拾う
ピアス穴ふえた耳たぶがさびしい 底に溜まった砂糖を舐める
海にあるブランコひれのある人が 漕いでおおきな波が生まれる
終バスの三本ぐらい前に乗り 命をあずけてゆられています
甲を撫で沖へ帰っていく波を 蛍光ピンクで囲っておく
見知らない人へ手を振る人がいて 振りかえしたくなる観覧車
太陽と月が一瞬すれ違うのを 見届けてカラスも黙る
袖口のほつれた毛糸から 身体ほどいていった終章間際
掌の縫い目の先に喝采は 表情のないまま立っていた
拡がっていく無意識の水面に 白鳥ボート眠りを運び
目の上を蛇がみっちり這う 温い乳房を裂いて満ちる海水
聴いている ひずめが土を蹴る音を 索引ページ指で追いつつ
肉体のありかは秘密 ゴム毬のように 弾んでいる影だけが
目の中にあるひまわりを束にして くれる人なら結婚したい
前腕に天体のせて身体ごと 銀河になってトウシューズ履く
やまびこの響きが雨に溶け やがて牡鹿の喉にとろりと交じる
感情をミルフィーユにして 店頭に置く、悲しみの 売れ行きがいい
ベランダにある水溜まり足先で 混ぜればそっと月釣りあげる
手の中に木霊する声、広がって 喉奥にある鍾乳洞へ
花柄のソファに服を投げ捨てる 生々しさの一番遠く
花びらの点々とする歩道橋 鼓膜が少し腫れぼったい日
キッチンの雨上がりの 日射しを飲む桃は もうすぐ死んでしまうね
アイラインどこまでも引く 社会からわたしだけ 切り離されるまで
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