歌えば歌うほどに丸くなる夜
はめ殺し窓に殺されていた夏
雨天決行の星空観望会 瞳の中を廻るひとと
ベランダの花火が一階まで落ちる
七月が生えたね 青いね
このマンションで 一番みどりのドアに入る
たくさんの魚の骨が 私にささったまま
白びかりした証明写真をはる今夏
長い目で見るときみは蛇
波打ち際まで来た 海から
蝿が首元を通り過ぎた 光はあっち
身長計に沿わない背骨を すこし怒られた
れんがの隙間の モルタルみたいな目を砕く
魚肉ソーセージをきたなく開けて 中で割けた、ゆっくり
ストローの反対側でまってるね 溶けた氷で薄まる日差し
君が落とした名前を回収している
春だねだったか針金だったか 言いのこして消えた
今は型から外れるため 縁をなぞっているところ
おおかみがいなければ わらの家に住みたかった
地下鉄の中で始まるイグアナの話
影が散りきるまえに帰る
夜のチューリップは 非行少女の目をして
素麺の素の字に惑わされて私たち
忘れ物した子が 校門の格子を抜けていく
しりとり、の次はりんごの帰り道
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