年玉やって 倉庫の神輿ちょっと見る
銃声にこの街はまた白くなる
バファリンの表にBが彫られ冬
インクにじむように初雪の頭痛
日本語の溝に檸檬を置きて去る
砂かつて 風の 文字なり 砂時計
大佐手をばさりと挙げる残暑
白杖の先秋雨の地を探る
未発見の惑星いくつ檸檬切る
ラジウムを呑みこむ炎秋の雨
人妻を少し傷つけ冬の花火
丸っこい子犬かさばりつつ歩く
文明は砂に喰われて流れ星
悪友らスーツに着替え卒業す
空躰の内 びっしりと アメジスト
月光 ダンサーの しなりの 無音
雨後の森 すこし 暗くて 母胎めく
段ボール持つ りんごの重心を集める
老星赤く 暗い冷蔵庫に 卵
さえずりは ひかりのみずを注ぐように
結局は手押し相撲をみる花見
夜の桜今更男女になれぬ二人
梅雨時の 霧雨の中の 逃避
犬は 雨に痩せ ふらここに 吠える
手の はなびらを 風の中に もどす
指先に 部品の金属臭 遠雷
人は 木から ことばを奪い 紙に書き継ぐ
冬の 満員電車に 血液の 何万リットル
救いなき過去へ ジャズは逆流す
春の雪 黒板に文字のかけら
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