窓に時雨 ホテルの廊下に終わりなく
夜にヘタを付けたら 茄子となりました
朝焼けの大きい蒸気の町に住む
幽霊が羊を数えてくれて雪
冷たさよ 陶磁の天使の内は洞
明日葉をみずとひかりのお浸しに
台風の夜の独白よ 馬眠る
トタン、段ボール、新聞紙 たった一人と一匹の
死ぬための 下見の時点でもう負けよ
空澄んで キャリーケースに腰掛ける
ふらここに ここと呼ばれて 陽の在り処
春めいて この街ももう終わりだね
脊椎のカーブに絡まりたがる蔦
冬蜘蛛に寂しさを教えてしまった
汲み上げて水の重心ここに夏
鹿の眼にひかり 緑茶の澄むように
冬の蝶 すべての机上に花瓶あり
ぬいぐるみと世界一周してて春
胎内の記憶彼方に春の星
肋骨はひらく蓮華のように朝
夕立来て影はひかりを指す言葉
キャラメルのとこだけ 食べてごめんね 来世は蜂でごめんね
胸骨は巣箱 祈りの来たる場所
新聞に位牌くるまれ 小鳥くる
飛花落花 次のページで国滅ぶ
小鳥くる 地球儀のある喫茶店
ババロアを掬うぬくさよ破水して
クレヨンで描きなよ 花野なんだから
芒野にトロッコ問題の答え
露草に蛍光灯のくらさだけ
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