寺の子に人見知りなく山つつじ
花野あちら 心療内科はこちら
私から虹はじまって素数の そ
囁きの家に自画像すべて百合
春ショール巻かれ地蔵に五円玉
ティーン誌の実家に積まれ入社式
国道に宙吊りでいる不眠症
春吹けば まみこ先生に胎動
重力に負けて生まれて春の雷
林檎抱く カウンセリングの日を忘れ
天の川 森に墓石の廃棄場
夜半の春 留守電「ごめん」で始まって
木の芽晴れ 抜けたばかりの歯を投げる
カーラジオ 死体を埋めにゆく晩夏
海水が体温となり明けの月
幻肢痛 僕らに羽根があった頃
芒野を抜けて 獣になっていた
春服を猫の陣地にされて昼
故郷かつて巨人の漂着して西日
英字型マカロニ掬い HARUとする
乱切りの「乱」ができない曇の春
芒野にひとつEXITの扉
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