変わらないでいてあげるから もう二度と こんな街には戻らないでね
運動会の整列みたいに美しく ぱりんと良く割れそうな漢文
あの人と生きていきたい と告げるとき 足裏にある神社の敷居
絶版の本を破いて 花占いを教えてくれた人に 怒られる
立ってれば ツインテールはなびいてて 床につかない ミクになりたい
美しいものに 素直に降られられるように 手足をもいで 流星
壁越しに初めて父の歌を聴く 二人暮らしがひと月目の夜
砕け散った私の欠片を集め 仏像みたいに胎内で眠らせる
花びらの母が見当たらない 迷子の桜前線を探しに行こう
どこにもない世界の 地図をつくりこむ この中にならきみがいるかも
「お父さんの死に際に 会えなくていいのね」 残暑のような湿り気だった
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