だぼだぼのたましいを着て 凧あげる
首吊りの影のびてゆく春の暮
早逝の一族 春の野を過ぎる
遠足にコウテイペンギンはいない
死にたての小鳥の ようなホッカイロ
うららかに帰宅部の列ながくなる
春の水 精巣を交換したい
しんしんと破裂するよう雪柳
入学の、豆腐のような教室に
団地というさみしい楽器春の宵
人工呼吸器しんと外して春の蝶
冬の星 松屋に行くかいま死ぬか
あるだけの鈴を抱えて春の海
パンクしたままの自転車 うららかだ
冬の鹿役の 子がとおくを見てる
水瓶にしずむ譜面よ笹井の忌
ぶつかり合うラガーの おしりおしりおしり
雪の降るたびに睫毛に魚うまれる
雪ちぎりあって 揺れない銀のピアス
海にきてうみの匂いの日記買う
サンタクロースの服のまま眠る朝
バイトすぐやめるし庭の雪食べる
生きものに空洞のある冬の雨
よく笑うおとうとに雪ふりつもる
停電のまだ一時間 雪女
都市ひとつ焼きつくすよう寒椿
心臓をつくる毛布にくるまって
ぽこぽこと煮て ぽこぽこと食う雑煮
まだ明るい空手道場小夜時雨
電車で眠りきみの部屋でも眠る冬
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類