水仙が咲いて芭蕉が旅へゆく
冬の星かくれて 誰か居る夜道
レポートを出して駅まで歩く夜の おそらくあれは二つめの月
夕顔の花濡れている朝の露 君のデスマスク作ると決めた
ショベルカー項垂れたまま 年を越す
冬の季語 うまれるまでの 二万年
詩句投稿サイトの 意味不明な 投稿エラーの 鬣 年を越す
送られたネカマの自撮り 秋の空
にしびスルドイ 産まれてこのかた耳がある
ドガの画集に落書きをした 男子たちを秋の端まで おいつめる
しあわせの原義墓石と蝶と空
ありよりのありの俺たち花火降る
日想のクリムトじみた鷺はゆく
かき氷融けてひとかけ兄の語尾
苺シロップとっぷり垂れて赤不動
夏の雨まゆ毛を抜いて庭に撒く
紫陽花の裡まで身投げの血が届く
貯金箱に貝殻混じる 夏至は夜
梅雨寒の兄の右腕届く朝
タチアオイ 猫が轢かれた方を向く
紫陽花だ 笑窪で骨はうごかない
紫陽花やポパーの非決定論
コンタクトレンズの狂女梅雨の星
失踪の 夜の国道濡れる梅雨
なで肩の人が刺蛾を叩き落とす
梅雨寒や金色夜叉をつれ歩く
桜桃忌落ちた椿は変色す
梅雨寒の妊婦の腹も総毛立つ
短夜や整形前の右まぶた
レモン水 兄がときおり自慰をして
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