がしゃがしゃと君が振ってる いろはすに無数の流星が砕けて夏
落としたら吸い殻入れには落ちな くてそういうふうに傷つけてきた
全員が何かの予備軍であること 袋麺のふくろを破く
僕を知らないまま僕でいたかった 逆光の樹を切る夢をみた
感情のうつわにそっと水を張る 何かが飛んでくれば沈める
紫陽花をいっしょに見れば中学の 校歌みたいに透き通る恋
逆らっているわけではなくてそこ にいる埃のような静けさのきみ
ローソンじゃ零しきれない愚痴の ことを序章と呼んだきみの深爪
どうしたらいいのと擦ったマッチ にも光り あなたはただの光りで
みんなすき カーテンの隙間から 見る家族のお花見くらいにはすき
声帯と言葉は兄妹 あのときも 妹がたぶんたすけてくれた
うつくしいと言ってくれて ありがとう十年前の春によろしく
好きでもなく嫌いでもない人と いて硝子が喉を出られない夜
気管支のひりひりだけが正論の 潮風なんて馬鹿のやること
幸福と同じくらいに切り傷な 六畳一間眠れテレキャスター
あなたへのかなしみを詩にする ことで終わる何かをそれでも守る
雪の降る音のように壊れていく日 をあなたが縫い合わす もういい
ゆるされて眠りにつく人のことを 呼ぶ さいか 差異か 呼ぶのをやめる
間違った筋肉で微笑みながら 一昨日のティッシュがまた濡れる
木星に行ったらクッキー焼きまし ょう 果たせなかった約束が好き
ペン回し中のあなたを後ろから 抱きしめている夏の陽射しは
ありふれてあふれて消える魂よ 熱湯そそぐように投身
人間の体温ばかり求めては こぼれつづける醤油のひかり
カメラロールでピースする君ああ 多分これはさみしいほうの笑顔だ
インパクト重視で生きていた 君の十五年間が百合になる
はりついた髪の毛のわずかな黒が 傷にみえたから泣きそうだった
宗教の勧誘くらい嫌になる 同じ授業のあの子のくるぶし
殴らない夜は小銭で家電買う
アルペジオ頬が何かで濡れている
何しても割れてしまった花瓶かよ
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