一次選考通過作品
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故人には どうして会えてしまえるの 生ハム工場の月光浴
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それならば採取しましょう 咲きそうな 素足の青を忘れたいなら
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明るくて激しい夏はまだ来ない 文月になお雨が残って
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潤む目をくぐってヨット翻る
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答えが出ないことばかりで うれしい。 死なない気がする。
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はつなつの・真夏の・晩夏の ワンピース 夏のかたちは円だと思う
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夏草を選る ゆびさきから濡れていく
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この夏の矛盾をぜんぶ読み終えて 村上春樹を棚へ戻した
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トラックが美術展にも来て黒い
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遺伝子を解いて辿り着く湖畔
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背景を好きな画像に変えながら 暮らす羊はさみどりのなか
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羽化の蝉左右均しく翅ひらく
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夏雲が選んだ墓地で 水色のメゾンのメの字が つばめに見えた
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雲の峰 ラビリンスへの眩暈
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てのひらで水道水を受けて飲む 汲めるのはおよそ一人分だけ
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「結局誰なの、彼を殺すのは?」 「人を愛した可愛い小鳥!」
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踏切を通過する 真っ暗な回送列車から 手を振られた気がする 午後11時54分
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金木犀と火薬のにおい わたしの爪の 赤いマニキュア
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石垣の影は濃くなり 真夏日の帰路に 思い出ばかり散らばる
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胸郭の内に仕舞った善性が セロリのように咲いてしまうよ
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みつを吸うように 羽ばたかずにせっぷん
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煩いと 殴りたくなる向日葵は 微熱以外の体温知らず
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わたくしの中には誰も居ませんと 人型AIの言うわたくし
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すりガラス越しのモナリザを じっくりと描き写すうちにまた 陽は落ちて
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消えたはずの詩を 透明な光が 差し込んで写す
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葛切りは夏をだまして
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トンネルを 潜るあいだに間引かれた 夏の光を向日葵と呼ぶ
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二口のコンロの一口だけ使う そのような人生での幸福
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濡れ衣は自分から着る野良しっぽ
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いえる過去いえない過去が ながれてく 運河にうかぶ月のきれはし
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お砂糖もミルクもなしに 空いた手で 君が時折り混ぜる珈琲
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贖罪は蒸れてダリアの渦なんだ
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むかしむかし あるところにではじまって とっぴんぱらりの ぷうで去りたい
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錆びついた箱の中には サイダーの こぼれた跡のやうに 夜です
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Tシャツの壁にすっくと地震来る
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霧が出ているから ここは海の中 アフリカとつながる ひとつの手段
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夏の果て、私は確かにここにいて 出航の感じで話し始める
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純粋な暴力として降り注ぐ プラネタリウムの偽物の星
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図書館の静けさへ 鉛筆を一本借りて帰る
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飛行機の匂いのことを私たち 空の匂いと記憶している
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