一次選考通過作品
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ほおづえをする ふりをして 手のひらにのこる シャボンの匂いをかいだ
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フィリップやボブ とかいった洋風の 名前が似合う 今日のナメクジ
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水泳の授業の後に寝るきみの おでこの丸み もう夏ですね
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よく知った夜をサンダルで歩く
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龍淵に潜み運河に段差あり
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初夏を背に君はいつでも正しくて 会うたびめくるめくト長調
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油絵のように二人を黙りたい 圧倒的な夕暮れのなか
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薄桃の肌をさわいで咬む蟻に 掻き分けられる脛の剛毛
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恋人がサンショウウオになる予感
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柔らかくなったねと言われる時の 自分は常に間違っている
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着席の前には椅子に充ちている 死後の幽かなわたしの気配
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冷蔵庫を開けると 家族の途中が 明るくなる
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年老いたうさぎを 抱き上げるように 重機が運んでいく春の泥
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分かち書きにだけある 白い銀河から やがて 風が来るのだろうか
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投函するだけの休日夏木立
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レポートを書くとき なぜか思い出す 君の頭が近かった頃
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故人には どうして会えてしまえるの 生ハム工場の月光浴
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それならば採取しましょう 咲きそうな 素足の青を忘れたいなら
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明るくて激しい夏はまだ来ない 文月になお雨が残って
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潤む目をくぐってヨット翻る
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答えが出ないことばかりで うれしい。 死なない気がする。
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はつなつの・真夏の・晩夏の ワンピース 夏のかたちは円だと思う
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夏草を選る ゆびさきから濡れていく
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この夏の矛盾をぜんぶ読み終えて 村上春樹を棚へ戻した
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トラックが美術展にも来て黒い
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パイナップルを切り離すかたちで 雲がゆっくりと う え に
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遺伝子を解いて辿り着く湖畔
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落雷にむしろ苦しみたいか木々
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背景を好きな画像に変えながら 暮らす羊はさみどりのなか
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羽化の蝉左右均しく翅ひらく
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夏雲が選んだ墓地で 水色のメゾンのメの字が つばめに見えた
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雲の峰 ラビリンスへの眩暈
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てのひらで水道水を受けて飲む 汲めるのはおよそ一人分だけ
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七か月練った企画と提携が 消えた瞬間 鹿威し で、笑って握手
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「結局誰なの、彼を殺すのは?」 「人を愛した可愛い小鳥!」
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踏切を通過する 真っ暗な回送列車から 手を振られた気がする 午後11時54分
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金木犀と火薬のにおい わたしの爪の 赤いマニキュア
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石垣の影は濃くなり 真夏日の帰路に 思い出ばかり散らばる
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答案に猿の落書き蝉時雨
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やれば終わることの、山
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