一次選考通過作品
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ほおづえをする ふりをして 手のひらにのこる シャボンの匂いをかいだ
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からだとは 粒子の集合体だから 水に浸しておもくとどめる
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港には港のかたちの水、七月
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ちゃいろあおくて恥ずかしい また鳥の墓をふたりでつくる
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フィリップやボブ とかいった洋風の 名前が似合う 今日のナメクジ
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かいを漕ぐすがたで 幕をおろす手に ちゃりん、六文銭の転がる
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検索をかけてあなたを探すとき 海はどこまでひとつでいるか
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藤花の影の濃くなる山あいを ひかりはやがて燈りはじめる
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なにもないことがしあわせ 翌朝の始発電車に向かう足どり
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水泳の授業の後に寝るきみの おでこの丸み もう夏ですね
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夕暮れの狭い運河をすれ違い 二艘は ほほに口づけし合う
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雷を見ながら帰る三日前
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玄関にアサガオ観察キットの家
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よく知った夜をサンダルで歩く
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廃訳の海に眠った 少しずつあなたが海でわかること
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龍淵に潜み運河に段差あり
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笑ったあとに涙が出る日は 心が正直なんだ。
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みたらしを足の甲から塗るように 眠りについた夜がいくつか
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初夏を背に君はいつでも正しくて 会うたびめくるめくト長調
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パーティーを抜け出して ただ一人きり コインランドリーへと向かう夏
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鈴蘭は目眩く ジンジャーエールと黒胡椒
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油絵のように二人を黙りたい 圧倒的な夕暮れのなか
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半熟の黄身はあかるい沼に似て むなしさもすべて飲み込めたなら
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向日葵がこわい 夏は永遠に続くと毎年信じてる から
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ふんわりとしんでいく 煮立った鍋のほうれんそう 手を入れてもつめたそうで
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消毒液染みた白布がはためいて ポストモダン幽霊の匂い
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モンタージュとして 人間は生きている よく火事が起きるね、この世界は
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薄桃の肌をさわいで咬む蟻に 掻き分けられる脛の剛毛
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恋人がサンショウウオになる予感
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柔らかくなったねと言われる時の 自分は常に間違っている
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いつもより小さい月が明るさで 刺繍のように透かしてく雲
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着席の前には椅子に充ちている 死後の幽かなわたしの気配
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ライターのダサい飾り付け 雲は少ない方がさみしいと思うよ
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人魚のうろこを見た人は皆 母親の爪のようだと
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冷蔵庫を開けると 家族の途中が 明るくなる
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朝顔のつるが日差しを這って、 筆算は繰り上がる
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初めての朝に支給の軍手には だれかの指のかたちが残る
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歓声は聞こえず 一人水の中
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冷蔵庫にマカロンひとつ ひえびえと 小鳥のような美味しさでした
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色褪せた手帳に何色書き足す
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