ご挨拶 - なぜ口語なのか

 自らを言語で表現しようとする時、それは自らが考えるときの言語でなければならない。言語がなく考えることはできない。考えるときの言語は物心ついたころから口語である。フランス語で考える人はフランス語、英語で考える人は英語での表現が本来である。言語には、匂い、臭い、湿度、温度、体温、生理、憎しみ、悲しみ、生い立ち、先祖、社会、その人を存在させるに至ったすべてが内包されている。ですから、口語の品詞による、詩、俳句、短歌、川柳、アフォリズム、を提案したい。ご自身のサーバーとして一般投稿のみのご利用の方も、新人賞、奨学生をお考えの方もふるってご投稿戴けますようお願いいたします。


目次
1. 奨学生選考結果
2. 新人賞選者評
3. 選者総評(翌月15日締切日の翌営業日に掲載します。)
 1)2020年2月選者総評
 2)2020年1月選者総評
 3)2019年12月選者総評
4. サイト概要
 1) サイト閲覧のみの方
 2)会員登録なさる方
 3)一般投稿なさる方
 4)奨学生投稿なさる方
 5)コンクール投稿なさる方
 6)月間投稿ランキング
 7)年間累計投稿ランキング
 8)月間佳作数ランキング
 9)年間累計佳作数ランキング
 10)月間投稿佳作一覧
 11)過去の作品検索
 12)結果発表
5. 2019年度 口語詩句新人賞 応募要領
6. 一般財団法人佐々木泰樹育英会 2020年度前期 口語詩句学生奨学金応募要領


1.  奨学生選考結果
  ・ 選考結果   

2. 新人賞選者評
  ・ 林 桂
  ・ 西躰かずよし
  ・ 秋亜綺羅
  ・ 杉本真維子
  ・ 龍 秀美
  ・ 選考結果   


3. 選者総評(提出順)

1)2020年2月選者総評(提出順)

◎林 桂

印象15編—2月の総評に代えて

 ●郡司和斗●
冬の鹿役の
子がとおくを見てる

*遠くを見ている子は、役の演技として見ているのか、あるいはその子自身の内面の表現として見てしまっているのか。二つを重ね合わせてながら、孤立しがちな子どもの姿を感得しているのだろう。

 ●鈴木四季●
レポートを出して駅まで歩く夜の
おそらくあれは二つめの月

*大学のレポート提出だろうか。夜帰るのだから期限ぎりぎりの提出が想像される。しかし、「二つめの月」から世界は一転する。もちろん、地球は一つの月を持つ天体である。これはいくつかの月を持つ未知の天体での出来事らしいのである。

 ●郡司和斗●
遠足にコウテイペンギンはいない

*皇帝ペンギンくらいの大きさの幼稚園児か保育園児の遠足であろう。どこかペンギンのような歩き方にも見える。動物園でペンギンを見ているのかもしれない。もちろん、この中に皇帝ペンギンが紛れていることはない。ペンギンは最後まで隔てられた向こう側のままである。

 ●なぎ●
六畳一間の部屋
何もない部屋
時々貨物列車の音が入り込む部屋

*最終行「時々貨物列車の音が入り込む部屋」が、孤独な下宿生活を的確に物語っている。

 ●藤谷眞實子●
ああ蝶ですね
こんなゴミの日に
燃えなそうな蝶ですね

*ゴミを出しに出て、初蝶に出会ったのだろう。ゴミに紛れてしまいそうな小さな体に命が宿っているかぎりは、蝶はゴミにはならない。「燃えなそうな」の否定的な表現が深い。

 ●合川秋穂●
ピンで街を
刺さないと留められない地図

*地図を壁に留めるために、街の一角にピンを刺す。刺された一角に何事かが起こるわけでないが、その中に起こらないことの危機感が滲んでいる。「めん鶏ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人は過ぎ行きにけり」(斎藤茂吉)

 ●金澤春栞●
UFOか飛行機かヘリか
ひとしきり揉めて
ラーメン食べて帰った

*部活の帰りに、仲間と夜空に不思議な光を見たのであろう。ラーメン店での話題はその光の正体でもちきりになる。さて、激論ともなる。しかし、「食べて帰った」には、それが一過性のものであることが表現されてもいる。仲間で盛り上がれれば、話題は何でもよかったのかもしれない。

 ●郡司和斗●
早逝の一族
春の野を過ぎる

*春の野を過ぎるのが「早逝の一族」であることが分かるには、その一族に深く関わっていなかればならない。「早逝の一族」を、「春の野」と対比的に描く。

 ●長谷川柊香●
きしきしと
夜を鳴くキャベツ刻み飽き

*キャベツの千切りを作り続ける。「きしきしと/夜を鳴く」に、作者の心は共鳴している。これも学生時代の下宿での一コマか。

 ●阿部圭吾●
校庭のずれた時計はずれたまま
さよならだけの春が近づく

*時間がずれたままの時計は、ついに修正されないまま卒業の日を迎える。中村草田男の「校塔に鳩多き日や卒業す」は祝意に満ちたものだが、作者のこの眼は醒めたままである。

 ●長谷川柊香●
ベランダで春雨に指揮していたの

*幼いときのひとり遊びの記憶を甦らせたものだろうか。春雨は自分の指揮に従って降り続けているのである。子どもの孤独は必ずしも寂しさに満たされている訳ではないのだろう。

 ●うすしか●
ベランダに息子が作った雪の飯
煙草の灰を落として溶かす

*ベランダに降り積もった雪で遊んだ息子が残した「雪の飯」。ホタル族の作者にとっては、ベランダは喫煙場所である。煙草の火を「雪の飯」で消す。作者は息子との関係性を炙り出そうとしている。

 ●うすしか●
あたし六さいでりこんしてん

*ママゴト遊びは大人社会の縮図を反映してもいる。離婚経験者と自身で設定した六歳の女の子の身近に、そのような大人社会が存在しているのだろうと思わせる。「まま事の飯もおさいも土筆かな」(星野立子)のママゴトから現在は遠くきている。

 ●森山芳衣●
このひとは看護師なの
このひとは営業マンなの
このひとはアンパンマンなの

*これも子どもの世界観を描いている。看護師と営業マンとアンパンマンは、何の不思議もなく境界のない同じ世界の住人である。

 ●郡司和斗●
だぼだぼのたましいを着て
凧あげる

*これも子どもを描くが、子どもを通り過ぎた大人の視線である。「だぼだぼのたましい」は子どもの心の有り様を喝破したものだろう。しかも「着て」である。その心も自分自身のものになりきれてはいない借り物のようである。

・月間二千編を超えて、審査にも多くの時間を要した。それでも出会うのが楽しみとなって来ていた。抄出作品は、子どもに寄り添ったものや、孤独な生活を描いたものが多くなったが、偶然かどうかは分からない。心に残る作品を選んでみたらこうなったのである。
 名前のないデータから十五編を選び、総評を書いてから、改めてネットで作者を検索して、その作者名を入れたが、複数の作品を選んでいる作者が多いことに、自分ながら驚いた。逆に作者名を知ってしまえば、思わず要らない配慮をしてしまったかもしれないとも思う。いまは敢えてこのままとする。


◎西躰かずよし

 新人賞の締め切りと言うこともあって今月は応募数が多かった。応募数の増加もあって、従来はコメントをなるべく入れるようにしていたが、今後は総評でかえさせていただこうと思う。現在新人賞の選も同時に行っているが、作者毎に一定集まった作品をみる場合と、匿名でそのなかから作品を選ぶ場合では私自身の見方も異なっており、いっそう選の難しさを感じる(匿名か否かは別にして短詩の場合は一定数その著者の作品が集まらないと、置かれた状況によって価値や意味が変わることもあって評価が難しい。これは尾崎放哉の作品「墓のうらに廻る」といった作品などを思い起こしていただければ分かっていただけると思う。)。
 今月は安定した常連の書き手の中に、独自の作品世界をもつ力のある作品が並んだ。 以前から注目している阾邻さんの作品をはじめ、うすしかさんやうらん238さんの独自の作品世界に惹かれた。これらの作品は、従前からある文学的であったり俳句的であったりする叙情をいったんリセットして、そのうえで作品世界を形づくっているようにも見え、困難ではあるが貴重な試みであると改めて感じる。
 是非これからも書き続けて欲しいと思う。

ぶらんこでいいまるをかく
夕べ
    いるかがきている     阾邻


あたし六さいでりこんしてん    うすしか


窓際に寄り添って、
海が聴こえるのを待ってた。    うらん238


◎中山俊一

こうもりの数え方ってなんだっけ
恋人というながいて遊び

髙良真実

こうもりの数え方は一羽なのか一匹なのか。こうもりは鳥類ではなく哺乳類である。しかし、辞書には両方示されていて、専門用語では頭と数えられていることもあるらしい。だからなんだっという話かもしれないが、だからなんだっという部分が下の句に作用してきている。恋人との会話の他愛なさや無為なものとして「ながいて遊び」に繋がってくる部分が良い。暗闇の中で探るような会話が情景として浮かんだ。

手で作る蝶をゆっくり崩すとき
まぼろしの夏草が光った

阿部 圭吾

手遊びの歌としてもう一つ良いなと思ったものである。ほんとうに手元の蝶を逃がすような所作が美しい。まぼろしの夏草とあるが、蝶に至っても現実のものではなく空想の作り上げた蝶である。ひとつのまぼろしが崩れて、また新しいひとつのまぼろしが浮かび上がる。よってこの一首には現実としての現象は一切描かれていない。残っているの蝶を崩した手触りだけというところが、この一首の幻想的な魅力を際立たせている。


◎秋亜綺羅

 この口語詩句の投稿欄も始まって1年になる。思いがけずコロナくんが頑張っていて、それを作品に反映させている人もいる。35文字以内というルールの中で、パラドックスやナンセンスの修辞をきちんと使える人の作品には、自然にユーモアがたっぷり含まれて、しかも深い。
 2月に傑作と思った作品たちを紹介したい。

手を繋いで
眠ったはずなのに
いつのまにほどけて
しまったんだろう 


地球儀は
すこし傾いている
真実はすこしだけ
嘘くさいものだ


ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ

毎回こころは新しいの


末本転倒
さてこれで
正しくなったかというと
そうとも言えない?


仕事辞める辞める詐欺と
結婚するする詐欺が
何年も続いて今も同じ会社にいる


無料で読めるところまでしか
君のことは知らないけれど
大好きだよ


思い出は過去の事なのに
稀に未来の出来事が
混じってたりする


一瞬で一生分の
夢が見れそうな時
君はきっと
肩を叩いて
僕を起こす


楽しみはいろいろあって結局は
炊飯器開ける瞬間が好き


虫捕りの時も秘密基地の時も
一応不法侵入だった


世界とは
ロープでも
おさらばできるが
ただカーテンを閉める
という手もある


だらだらと延命治療してるのは
生まれた時からずっとそうかも


 など、うなるほど面白かった。新人賞とか奨学生とかと、こだわらずに、ことばの楽しさを自分の中でどんどん大きくしていってほしい。それは、世界の文学を大きくすることでもある。最新の文学は、連関や行間や文字間や余白に、跳躍や飛躍だけでなく、毒や破綻も求めている。
 今月もこのほかに、心が動いた作品は多かった。また1年間、書き続けてもらいたいと思う。
 とても楽しく読ませてもらっています。


◎ 浦歌無子

 一年を通して、詩のなかでとりどりに甦る風景、時間、感覚に立ちあうことができました。
 いろんなタイプの作品がありましたが、自身の<生>にかかわる切実な表出として受け止め、同じ書き手として言葉と真剣に向き合いました。
 新年度もさまざまな作品との出会いを楽しみにしています。
 以下、印象に残ったもののなかから。

私のうなじに住み着く兎は
ただじっと
雪が降るのを待っている         花厳

 「うなじ」に「住み着く兔」が、ただの奇想ではなく存在感のあるものとして息づいているのは、自分で直接は見ることのできない「うなじ」が、「ただじっと/雪が降るのを待っている」「兔」が「住み着く」場所としてふさわしく、それぞれのはかなさが響き合っているからでしょうか。

家族がなくて
手袋を愛している            藤谷眞實子

 指一本一本を家族に見立てた手遊び歌がさみしく響いてきて、鋭い孤独感が伝わってきます。 

何が私の道に隠れているの
肉眼では見えない
遠いほしの
隕石が一番怖いの            永恋

 自分をおびやかすものはいつどこからやってくるのかわからないという理不尽な現実を思いださせる作品になっています。

冬の鹿役の
子がとおくを見てる           郡司和斗

 幼稚園のお遊戯会の一場面でしょうか。日常の光景が、深さを持った静けさとして伝わってきます。本物の鹿、鹿だけに限らず動物たちは、長い時間じっとしてどこかを見ていますよね。その不思議な時間感覚が思い起こされ、よりいっそう静けさを深めてゆくようです。

ステラの震える夜に
ひとつきりの可燃物は
二十二年目のボクです          がらす玉の透

 「ステラの震える夜」とはいったいどんな夜なのか、「ボク」が「ひとつきりの可燃物」であるという不穏さ、謎が謎を呼び印象に残りました。

死ぬまでに必要な量の白昼夢        中野奈々恵

世界に対する違和の表現として読みました。
 死ぬまで世界になじむことはないけれど、「白昼夢」で乗り切ってみせるという気概も感じられます。

マッキーで「夏」と書いた
親指の付け根に
夏は滲み始めて              阿部 圭吾

丸まった背中に骨を浮かしつつ
君が学んでいる博物誌           阿部 圭吾

 どちらの作品も、平面のもの(書かれた「夏」、「博物誌」のなかの「骨」)を、奥行きを持ったもの(「親指の付け根に」「滲み始め」る「夏」、「君」の「丸まった背中」の「骨」)として立ち上がらせ、確かな手ざわりを感じられるものとしてとらえたいという意識を感じました。

靴下に穴が開いていて私
足の先から消えてくみたい         金澤 春栞

 靴下を履こうとしたら穴が開いていたというような日常のささいな出来事から、自分が「消えてくみたい」な心もとなさを感じてしまう心の動きには覚えがあります。

あの地は きっと誰かの故郷
高速道路上
3秒間ノスタルジア            なぎ

 「高速道路」を通過中に車窓から見えた一瞬の景色を「きっと誰かの故郷」であると心動かされた「3秒間」の意識の流れが鮮やかに切り取られています。

弓を引くようにひらいた
長傘を濡らして
おとなしく歩きだす            高良真実

 射貫きたいなにかを抱えて、雨のなかを歩いている<私>の姿が、くっきりと見えてきます。

君がリップクリーム塗る音に

は要らない
るるる
るるるる                うすしか

 発想の面白さ。繰り返される「る」の音が楽しい。塗るという動きにも一筆書きの「る」のほうが合っていますね。

長い廊下を鳴らして歩く
私が来たと知らせるために
この静寂を進んで汚す          アキラ

 「この静寂を進んで汚す」潔さ。「汚す」に自分に向けた刃物のような痛みを感じますが、同時に「私が来たと知らせる」ことからはじまる未来も感じさせます。

湯船につかって
きゅうじゅうよんまで
数えて気づく
親父はいない              うすしか

 「湯船につかって」数をゆっくり数える様子が、ひらがな書きの「きゅうじゅうよん」によって伝わってきます。
その流れからの「親父はいない」という着地に意表をつかれ、まるで湯あたりしたような目まいと数えることのとりかえしのつかなさを感じてしまいました。

わたしさっきまでのことを
押さえつける文鎮です           藤色

 「さっきまでのこと」はなかったことにはできないけれど、せめて「文鎮」になって「押さえつけ」たいという切実さ。

散る花の裏も表も死にたてで        長谷川柊香

 「散る花」を「死にたて」ととらえる発想が新鮮で、ある種の衝撃を覚えました。

手になじまない万年筆で
今日を細かく切り刻む           村上 陽香

 「細かく切り刻」みたくなる「今日」。本来切り刻むためのものではない「万年筆」。しかもそれは「手になじまない」。重なり合うよるべなさ。


2)2020年1月選者総評(提出順)

◎林 桂

印象1 0 編— 1 月の総評に代えて

● 阾邻●
遠くへ行けたウィルス
行けなかったパンジャンドラム

* 人間の警戒対応を難なくすり抜けて拡散するコロナウィルスには、身軽な身体がある。一方の「パンジャンドラム」は、第二次大戦時のイギリス軍の地上地雷で、有用な戦火をあげることはできなかった。ホビン型の身体( 構造) は敵陣へ転がることはなかったのである。同じようなことは日本軍もしている。風船爆弾である。爆弾を提げた大型の風船を偏西風に乗せて飛ばし、アメリカを攻撃するという構想である。対句表現はウィルスに及ばない人智を嗤う。

● アニアン●
私の部屋は
月の匂いがしてる

* 人気の薄い一人の部屋を想起させる。ひとけモノも多くはなさそうだ。孤独な部屋に月の光が匂いとなるまで差している。

● 長谷川すらむ●
あした金返すから
雪だるま壊しといてくれ

* 親しい友人への伝言風。近くに住むか、共同生活者だろうか。身近な生活の中で、その友人には借金がある。大きな額ではないだろう。日常生活の支出の範囲内に違いない。二つの伝言はまったく違った文脈だが、近しい生活が結びつけている。金は明日返す。アパートの玄関か庭かに作ったままで出かけてきた雪だるまを処分して。

● アキラ●
降り積もる雪の上で
ぐっぽこぐっぽこ
沈めては上げる
感触を忘れてしまいそう

* 深い雪を漕いで歩く様子をあらわす「ぐっぽこぐっぽこ」が秀抜。小学生の頃、入院した友だちのお見舞いに、担任に引率されたことがある。帰りは一人で帰ることとなった。4 キロの山越えの道には小学生の膝を超える雪があった。夕闇の中を泣きそうになりながら帰った記憶が蘇った。今から思えば遭難してもおかしくなかった。「ぐっぽこぐっぽこ」

● 門野あおい●
まだいとけない顔、
焼くために紅をさされる

* 幼くして亡くなった女の子だろう。紅をさし、化粧をして、送る。生きてはまだ化粧も経験していなかっただろう幼さが、一層悲しみを深める。

● アキラ●
通夜の酒
叔父と誰かはずんだ餅を語り
父は一人で線香みてた

* 何かを話し合おうために集まったのではない通夜の席の話題は、結局四方山話になる。故人の話題がないことはないが、悲しみを深くしないように微妙に避けられていたりする。叔父と遠縁の親族でよく知らない人は、ずんだ餅の話に及んでいる。あるいは通夜の席に出されていたのかしれない。父は誰との話にも加わらずに、線香の煙を見ている。それは故人との距離をあらわしているだろう。故人は母なのだろうか。

● 郡司和斗●
よく笑うおとうとに雪ふるつもる

* 子どもは無条件に雪を喜ぶ。降る雪の中に出て、顔の上に雪を受ける遊びをしている幼い弟の姿。雪は次から次へと、弟の上に降ってくる。弟は笑い声をあげている。

● 宇田リンゴ●
三月は
狐の嫁入り紅色の
雫滴る
貴方のうなじ

* ここでの「狐の嫁入り」は、俄雨のことだろう。「狐の嫁入り」という言葉が喚起するイメージを美しく展開している。2 行目に「紅色の」を配したのも、計算されたものだろう。文脈からは、改行して3 行目に持って行くべきものだろうからだ。強いイメージを消すように2行目にぶら下げることで、かえって印象的な表現を獲得している。

● 門野あおい●
椿の花を
伏せて置くように病んでいる

* 「椿の花を/ 伏せて置くように」までが「病んでいる」の比喩。それを考えれば、文脈からは「椿の花を伏せて置くように/ 病んでいる」のように改行するべきものだろう。その改行を敢えてずらすことで、「椿の花」のイメージを強調する効果を得ている。花びらが散らずに纏まって花ごとおちる椿が、伏せられた位置にある。それが病の比喩なのだ。

● 門野あおい●
喪中
ただあたらしく口紅を買う

* 「喪中」の心の佇まいと「口紅」の色彩の対比が強い印象となって心に残る。「口紅」は心のバランサーの役割をしているのだろう。

・投稿作品が一気に増えた。また、熱心な新たな投稿者も加わっている。レベルも高まっていると思う。その中で敢えて言えば、5 行という行空間をもっと活用する表現の工夫があってもよいだろう。どこで改行するか。空白の一行を挟むか、空き字スペースを活用するか、などなど。深く考えずに書き流しているように感じられるものも散見される。最後の一行の表現で、佳作とするものもあれば選外と判断するものもある。もう一度見直してから投稿を。


◎西躰かずよし

 今月もかなり多くの投稿があった。今月は抽象的な言葉が実在につながるような、そんな書きぶりの作品に惹かれた。たとえば、次の作品の中の「真っ黒な夜」だとか、「月曜日の隙間」の「あなたの味」だたとかは物として存在するのではないんだろうけれども、実在するかのような手触りが感じられる。

あなたが好き、
口の端からこぼれるとき
真っ黒な夜が来る              門野あおい

月曜日の隙間に
あなたの味がする              アニアン

 その他、選んだ中には次のような十代の方の作品(それぞれ十五歳、十七歳)もあった。書き手の年齢に関係しているかも知れないが、言葉のみずみずしさを感じる。

この指止まれでやっと
悲しむ事ができる
僕は未来に
希望をもてないんだ。            黒川凜也

えとるりあじん
っていいにくい
にんげん
でいいのに                  はすた

 最後に、私の選の数のボリュームからいけば、今月は様々なアプローチで作品を書かれた門野あおい氏の作品が多くなったが、寡作の私が言うと説得力に欠けるけれども作品の寡多はあまりおおきな問題では無いと思う。選の時は名前が見えないので推測にはなるものの、阾邻氏は常に一定水準以上の作品を書かれていると思われるし、藤田山永氏の作品については独自の世界観が感じられるものだった。

      冬の底
  仄明るいビニール傘のかぞく          阾邻

  雪の光のみ写経する一人           藤田山永


◎秋亜綺羅

 寒い季節。恋の詩も多かった。「夕焼けは美しい」と書いても「ほんものの夕焼け」を見るほうがずっと感動する。描写をスケッチするのなら、絵を描けばいい。瞬時をスクラップしたいのなら写真を撮ればいい。絵具やカメラや楽器ではなく、ことばでしか表現できないことってなんだろう。それを見つけようとしている作品には、惹かれるものがある。感動できる「ほんもののことば」を探そうとしている作品、35文字以内というフレームを自由に跳び跳ねる詩句を、わたしは選んでいるつもりだ。
 1月に傑作と思った作品たちを紹介したい。

  またねと手をふりながら
  しっぽだけはさまって
  子どもみたいな大人のわたし 

  リフレインって何ですか、
  リフレインって何ですか。

  いまどきの鬼なら
  桃太郎を銃刀法違反で訴え
  その家来たちは
  保健所に突き出す

  息子よ、現状で第一志望に
  合格できたなら
  「睡眠学習術」の
  本を出しなさい

  闇にも質量がある
  今日の夜はようかん並み

  サバ
  そんなに私を見ないで
  美味しいってちゃんと言うから

  『成人の日を祝うつどい』
  これって成人は祝われていますか

  電車、人身事故
  「飛び降りたら死ぬのに
  バカだねぇ」
  自殺を知らない娘。

  もとからの孤独
  言葉は誤読も愛す

  一夜だけ
  街を魔法で 時を止め
  眠った時に 私も寝たい

 など、ユーモアあふれる作品を採った。このほかにも、心が動いた作品は多かった。
 とても楽しく読ませてもらっています。


◎中山俊一

辞書めくる手つきだ
どこかにあると信じる
合川秋穂

あの所作の美しさ、その根源に触れているような詩だ。
欲求と心許なさが漂う所作で作者は何をしたんだろうか。

この町に「時間」はなくて
ただ吹雪
長谷川柊香

吹雪は壮大な現象にもかかわらず何故か空白めいたものがある。
すべてを覆いつくす白い世界。はじめから何もなかったように思える。
それが時間にまで及ぶこと。

ささくれをシンシンと名付け
冬の暮
青野 椰栄

つまらないものに愛称をつけるのは詩そのもの行為にも似た部分がある。
どこか深々と降り積もる雪を想像させ、その行為の愛おしさと孤独感が浮かび上がってくる。


◎浦歌無子

 皆さんの投稿に接することで、言葉とは…詩とは…と改めて考えさせられています。
 今月は特に言葉の切り詰め方に秀逸さを感じる作品がたくさんあったように思います。

  トイレ流し冬夜隅から壊れゆく        長谷川柊香

「トイレ流し」という言葉によって、「隅から壊れゆく」「冬夜」の寂寥が、体感として伝わってきました。

  ささくれをシンシンと名付け
  冬の暮                   青野 椰栄

どんなに小さくても気になってしまい、あまり歓迎したくない「ささくれ」が、「名付け」ることで親しみを感じられるものとなる不思議。「シンシン」という音によって「冬の暮」も深まってゆくようです。

  らりるれろって舌がもつれて
  寄り添いたくなるね             いけだいまり

もつれた舌のうえで「らりるれろ」が「寄り添」っているようでもあり、おかしみを感じる一篇です。

  生きものに空洞のある冬の雨         郡司和斗

「冬の雨」がそそがれることで露わになったあらゆる「生きもの」にある「空洞」。欠落感が巧みに表現されていると思いました。

  一滴の雨粒に似た心臓に触れ
  「ここに全てはありません」         合川秋穂

透明感と寄る辺なさが感じられる言葉の表情が魅力的。

  冬の朝
  辞書【落鳥】に赤引いた
  彼は失踪者と認められ            合川秋穂

「彼」が「【落鳥】に赤」を引くことで、「失踪者」になったのか、「彼」を失踪者と認め」るために<私>が「赤」を引いたのか。
「冬の朝」と「落鳥」と「失踪者」の取り合わせにより深まる詩の世界。

  折り畳み傘が
  捻れてしつこくノックして
  春風が来たぞと僕を騙した          アキラ

「折り畳み傘」と「僕」とのどこか親密さを感じさせる関係性が楽しい作品です。

  月の光しずかに
  いつかは焼かれる躰に            門野あおい

死を内包した生、「いつかは焼かれる躰」という切り口でとらえられた身体にそそがれる「月の光」は果てしなく優しい。

  喉仏の解説で
  へぇと一斉に言う
  課外授業みたいな納骨            金澤 春栞

“死”にまつわる一場面。悲しみが直接語られないことで、かえって読み手に深く届けられるものがあります。

他にも、

  都市ひとつ焼きつくすよう寒椿        郡司和斗

寒椿の存在感。

  胸の痛みは春の穴
  覗き込むにはまだ早い            アキラ

未来の傷口。

  渡されて紙は手紙に秋の星          阿部 圭吾

もしかしたらレシートやチラシかもしれない「紙」が手渡されることで「手紙」になるという物語性。

  待ち受けに
  光
  家族の写真燃やす              合川秋穂

白い喪失感。

  今さら雨が降って
  地面が冷たくなっていく
  私の記憶が嘘になる             アニアン

謎と余韻。

それぞれ印象に残りました。


3)2019年12月選者総評(提出順)

◎林 桂

印象19編—12月の総評に代えて

 ●阾邻●
メキシカンミイラ
ヴァギナに真白な布一つ

*ミイラ展の所見か。ミイラとして残す、残るということの意味を「ヴァギナに真白な布一つ」は示しているだろう。白い布は、生きてあるときとは違うまったく違った意味として身体を覆っている。

 ●夏●
口紅を並べて一人過ごす夜
ここは世界 ここが世界

*「は」と「が」を変えた「世界」の繰り返しの中に、孤独に生きる世界が見えてくる。溢れる情報の世界にいても、個人が持ち得る世界は、口紅を並べて鏡の前で自分と対峙するスケールの中にしかない。

 ●青野椰栄●
さようならを言った跡の
靴底にわたしが香っている

*「靴底にわたしが香っている」がどのような別れであったかを語っている。「靴底に」の着眼に惹かれる。

 ●照屋典一●
うぇらうぇら漂う

漂う
うぇらうぇら

*「うぇらうぇら」と漂っているのは、一体なにものなのか。正体不明ながら、想像の埒外にあるものに違いないと思わせる。

 ●照屋典一●
ドラえもんは
のび太を欲している

*のび太がドラえもんに依存しているのはよく分かる。しかし、ドラえもんも、のび太に頼られることで存在する。ドラえもんもまたのび太に依存し、その存在を欲しているのだ。

 ●門野あおい●
このきれいなつつみ紙の
チョコレートを
毎日かじって
そうして春がきたらいい

*最後の一行が不思議と心にしみる。「そして」でない「そうして」、「くるといい」でない「きたらいい」。何でもないような言葉遣いの中に秘密はあるのかもしれない。

 ●鳴海幸子●
出鱈目書いて
今日は雨。
魚の目掻いて
白い花嗅いで、

*「書いて」「掻いて」「嗅いで」と脚韻を踏む。二行目に挿入された短い言葉の「今日は雨。」が与える変化も絶妙。最終行の言い止しでの終り方も。「、」で終える? ここで「雨。」の「。」が生きてくるから不思議。

 ●かなっぷ●
カバンちぎれた
学校いかない

*学校に行かなくなる、行けなくのは、ほんの些細な切っ掛けかもしれない。「カバンちぎれた」は、そんな切っ掛けを想像させる。

 ●加藤美紀●
年の瀬は夕市に行った
請戸港
発音してみる崩れた思い出

*請戸は、福島県浪江町の漁港。年の瀬の市場に新年の食材を買いに行くのが恒例だったのだろう。日常生活の場面では声に出していた地名だろう。今は思い出の中にある。その地名を敢えて「発音してみる」行為は、その日常と連絡しようとする行為であろう。切ない。

 ●高良真実●
自転車に
ひづめはなくて撫でている
都市へまもなく花冷えの夜

*最終行「都市へまもなく花冷えの夜」のイメージの美しさに惹かれる。都市交通が馬から自転車に代わっても、花冷えの夜の美しさは変わらない。山口晃の馬とバイクが一体化した絵を思い出した。

 ●茅園彰●
聴く曲すべて
なんでぼくを歌うんだ
駅で孤独なぼくがいた

*楽曲の中に、詩歌の中に、小説の中に、自分を発見することがある。自分の内面をいち早く言い止めた人がいる。その思いが、楽曲、詩歌、小説の入り口になる。

 ●秋山聡子●
イチゴサンドって
春のたべもの
白さが
むずがゆいもの

*三行目、四行目が美しい。イチゴの朱色に映えた白いパン生地へ眼を向ける。「むずがゆい」に「春」はある。

 ●阿部圭吾●
とびら、って言うとき動く肋骨の

どこまでが夏の入り口

*「とびら」の選択の妙。他にも「動く肋骨」の世界があるだろうが、「とびら」の意味性をぎりぎりまで責めることで成立させようとしているようだ。

 ●走らないうさぎ●
冷蔵庫だまれ
父さんが母さんに
何て言ったか聞こえなかった

*子どもが父母の密か事を隣室で聴いているというような設定だろうか。冷蔵が発する音が邪魔になるほどの音声。

 ●秋山聡子●
カッコウは
この夜のどこにいるのだろう

*もちろん、カッコウのみならず、自分は夜のどこにいるのかという思いと連なっている。そして、夜は世界に通じている。

 ●都築或●
視界に切り取られた世界は
そのまま私を閉じ込める檻で

*私達は生涯自分の視界の外にでることはできない。その視界の中で生き、死んでゆく。それをしも「檻」と言えば、檻かもしれない。

 ●亀山こうき●
雪しずり
祖父の愛したZippoの火

* 祖父の代には、男の愛するものとして、万年筆や時計、ライターなどの定番があった。祖父を思うことが、その時代を思うことに繋がっているようだ。

 ● 秋山聡子●
おばあちゃんが作る
栗の渋皮煮には
ちょっと塩が入っていたのよと
母が言う

* 隠し味としての塩。母の言葉は、祖母からの家の味を伝えることでもあろう。

 ● 夏●
おいしいものを食べても
もう思い出さなくなったよ

* 死別か生別かは不明ながら、別れた人への心のつぶやきだろう。「もう思い出さなくなったよ」と、少し心の傷が癒えてきたことを告げる。しかし、告げるという行為は、まだ心の中に止まり続けていることをも意味する。

・次々と新たな投稿者が登場して刺激的な月であった。息の長い投稿者も相変わらず健在で、難しい選の作業となった。


◎西躰かずよし

 全体的に、技巧的に安定した作品の割合が高くなってきたと感じる。演奏でもそうだが、それが洗練された技巧に基づくものであったとしても、時に、既視感が拭えない演奏や面白みの無い演奏といった印象を受ける場合がある。逆に技術を超えて感動を与えられるような演奏も時に存在する。この受取り方の違いは聞き手が何をその演奏に求めているかによるところが大きい。これは作品を読む場合についても同様で、一定水準以上の作品が並ぶとそれは顕著になる。技術の巧拙か、それともまとまりか、新たな試みか、感性の鋭敏さか、そういったことを悩みながら選ぶことが増えた。
 今月は日常の中に浮かぶ非日常的な光景を詠った作品に特に惹かれた。
 印象的であったのは次の作品。

  小米雪私の首が落ちる朝       亀山こうき

  ニューロンに錆びつく秋思夜夜夜   長谷川柊香

  色鬼を美術館でした夢       走らないうさぎ

 あと、新たに目にとまるようになった書き手についても少し触れておきたい。秋山さんは短詩の方法を駆使して作品を書かれているような印象。夏さんは短詩と短律の方法を用いて書いておられる印象。いずれもその作品から作者のみずみずしい感性を感じることができる。長谷川柊香さんの方法は俳句の技巧をベースとした、様々な表現の模索であり、手堅い作風といった趣がある。従来からの作家とともに、今後が楽しみである。

  苺サンドって
  春のたべもの
  白さが
  むずがゆいもの    秋山 聡子

  おいしいものを食べても
  もう思い出さなくなったよ     夏

  雪の原吐息は立って天の青   長谷川柊香


◎秋亜綺羅

 12月はクリスマスや、冬休み、年越しなど、歳時に関する内容も多くなっているような気がした。35文字という名の檻に閉じ込められたかのように、暗くなってしまっている作品もある。また、35文字では結果しか書けないと考えるためか、道徳とか教訓とかいった、標語みたいなことばに陥っている作品もある。だけど、35文字という制限はけっして短いわけではない。自由を獲得するのには、ルールが必要だ。35文字以内というのは、自由のためのルールだと思ってほしい。
 12月に傑作と思った作品たちを紹介したい。

  サンタはね
  Amazonでおもちゃを
  発注し
  魔女が配達してるという子

  拡散される呟きと
  誰にも届かぬ叫び

  目に見えない
  暗い光と明るい闇

  8とSと∞
  ほんの違いで
  別次元

  この夜景の中に
  幾つの命がある?
  ゴジラは知る必要もない

  そりゃあ
  不死鳥だって
  大量発生したら
  駆除されるよ
  きっと

  ミツバチで
  刺してあなたと
  無理心中

 など。それから、アフォリズムで、ユーモアもある、

  努力はわりと裏切る
  努力しないことは裏切らない

とかも、いい。
 このほかにも、逆説(パラドックス)を使った、鋭い刃先をもつ作品は多かった。
 一度でも投稿した人は続けてほしいし、一度も投稿したことがない人も、まだまだ間に合うので、作品を作ってほしい。
 とても楽しく読ませてもらっています。


◎中山俊一

わたしがうまれるまえの
とけいのねじをまきます

わたしのよるがあけるため 山田洲作

とけいのねじをまくのは誰なのだろうか。
それはわたしがうまれるまえのわたしなのだろうか。それは一体誰なのだろうか。
死後と生前は同じ夜の事かもしれない。時を超えて、長針と短針が重なる夜に、わたしがわたしに重なる時をおもう。

深夜のマック
ひとりでいるのと
ともだちといるのと
どっちも好きだと思う  走らないうさぎ

言い切るということは詩の切れ味を生むが、言い切ってしまうことで失われる何かがあると思う。
なんの変哲もない詩のように思えるが、言い切らないことによって妙なリアリティを獲得している詩だと思う。
深夜のマックという状況もこの詩に説得力を与えている。


◎ 浦歌無子

 今回も言葉によってひろがる景色や感覚を、さまざまな気持ちを感じながら受け取りました。
 以下、印象に残った作品のなかから。

  ケシゴムを探して四つ足の夕暮れ     藤色

 床に落とした「ケシゴム」をひざまずいて「探して」いただけなのに、途方もない時間が流れ、いつの間にか「四つ足」のケモノになってしまったかのような、異化された光景が魅力的。魔と出逢う時である「夕暮れ」という時間もポイントです。

  自分でアクセル踏んで
  妻として死に行く夜道          遊歩道

 「妻として」と書かれることで、夫の存在が背後に立ち上がってきます。
そこに物語の深まりがあり、この作品の緊迫感を高めています。

  すすきってすきがゆれる
  みたいだね               走らないうさぎ

 ゆれるすすきを、言葉の響きから「すきがゆれる」ととらえることで、存在としてのすすきにも「すすき」という言葉にも新しいイメージを与えていて新鮮です。
 誰かと大切な時間を過ごしているときにゆれるすすきを目にし、ふっと口にしてしまったかのような、誰かを想う<私>の内面も感じられます。

  食べきれなかった食パンに
  寂しそうな皺がある           ペン太郎

 食べきれず残してしまったというちくっとする罪悪感から「寂しそうな皺」が見えてしまう。繊細なまなざし。

  爪先で雲を弾いて朝を呼ぶ        百合

 「爪先で雲を弾いて朝を呼」ぼうとする行為に、これから朝を迎えようとする<私>のまさしく弾けそうなエネルギーが伝わってくるみずみずしい作品。

  月にいちどは花を買って
  あなたが訪れるかのようにしたい     門野あおい

来ない「あなた」のための「花」を「月にいちど」「買」う祈りのような行為がせつなく胸に響いてきます。

  蝋燭を灯した記憶はふっと消え
  三割引のケーキの甘さ          はすた

 過去の時間が、さみしさを感じる「三割引のケーキ」にしのびこんでくるような、「甘さ」という感覚にいろいろな感情が溶かし込まれているような、人の感覚の複雑さ、深さを思います。

  きみの横顔に睫毛はひかりを集め
  今、この夜だけを指す羅針        吉見遥

 「きみ」を一心に見つめる<私>の表情まで見えてきそうな一篇。
 二度とやってはこない「この夜」が「睫毛」というささやかな身体の一部に凝縮されており、二重のはかなさが感じられます。

  檸檬をください 
  舌先がもう
  忘れたがっている           治川敦也

 <私>は檸檬に柑橘系の持つさわやかさよりも舌を刺す刺激を求めているようです。
 大切な記憶がゆえに、その記憶に振りまわされることをおそれる気持ちが伝わってきます。きっとそれは檸檬の刺激でも忘れることはできないのではないでしょうか。

  父のだけ崩れたクリスマスケーキ    亀山こうき

 取り分けるときに失敗して崩れたケーキを、お父さんが引き受けるという家族像が見えました。でも、もっと複雑な物語が秘められているようにも思えます。
 亀山さんのこちらの作品だけではなく、私が勝手な解釈をしているものもあるかもしれず、作者や他の読み手の方には全然別の風景がひろがっているのかもしれません。
 そのときどきや、読み手によって、違ったとらえ方ができるというのも詩の魅力のひとつではないでしょうか。



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一般投稿に発表の作品の中からお応募することが出来ます。
不定期でコンクールを開催いたします。コンクール毎に応募要項が変わります。
佐々木泰樹育英会のサイトで応募要項をご確認ください。

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9)年間累計佳作数ランキング
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5. 2019 年度 口語詩句新人賞 応募要領

1.応募資格 次の各号の全てに該当する者
(1) 口語による詩・アフォリズム・俳句・川柳・短歌に対する創作意欲がある方
(2) 優れた作品を通じて、文学の発展に寄与するという熱意を有する方
(3) 2019 年4 月1 日時点で大学生以上35 歳以下の方、もしくは作品創作開始(作品創作ブランクが20 年以上の場合は再開後)より10 年以内の方

2.賞金
新人賞 金100 万円
優秀賞 金50万円(新人賞該当者なしの場合)
奨励賞 金10 万円
詳細は、当財団口語詩句新人賞規程によります。

3.スケジュール
口語詩句投稿期間:2019年2月~2020年2月
選考期間:2020年3月11日(水)~3月17日(火)
選考通知:3月18日(水)
受賞手続期間:3月23日(月)
選考結果開示日:3月25日(水)
受賞通知書交付兼表彰式:3月30日(月)
賞金支給日:3月31日(火)
新人賞および優秀賞は受賞通知書の交付にて受賞者が決定されます。新人賞受賞通知書(または優秀賞受賞通知書)は、原則として、受賞通知書交付兼表彰式にて交付します。同授与式を欠席する場合には新人賞受賞(または優秀賞受賞通知書)が取り消されますので、必ずご出席ください。

4.作品要領
・詩性を表現しようとした作品
・口語による作品
・1 点につき、6 文字以上、35 文字以内
・漢字1 文字は1 文字とする(読みがな文字数ではない)
・5 行以内とし、1 行15 文字以内
・句読点、分かち書き、行を空けることを可(空白行も1 行)
・なんらかの賞を受賞された作品は対象外とします
※投稿は、文語による作品ではなく、口語による作品のみとさせて頂けますようお願い致します。
(や、かな、けり、等の切れ字は文語とさせて頂きます。)

5.応募方法
①2019 年2 月20 日~2020 年2 月末日の期間中に作品を当財団運営の口語詩句投稿サイト72h
(http://kougoshiku-toukou.com)に継続的に計36 作品以上投稿された方の中から一次選考させて頂きます。
注意事項
・1 名につき複数応募は出来ません。
・なんらかの賞を受賞された作品は選考対象外とします。
・選考作品チェックで他作家の既発表作品との類似性が認められた場合、選考対象外となる場合があります。
・上記につき、後日かかる事由が判明した場合、選考対象外となり、賞金は返還して頂きます。
②選考者で受賞を希望される方は、選考通知確認後、2020 年3 月23 日(月)までに下記(1)~(4)の書類を当財団宛(jimukyoku@sasakitaijuikueikai.or.jp)にEメール添付にて提出して下さい。
(1) 当財団が指定する申込書
(2) 住民票記載事項証明書(本籍地記載、個人番号非記載)
(3) 大学生の場合は在学証明書
(4) 証明写真(縦36-40mm☓横24-30mm、縦横比率4:3)
※書類応募にあたっての注意事項
・応募方法と書式・様式が異なる応募書類は選考対象外とさせて頂きます。
・応募前に、当財団WEBサイトに掲載している「口語詩句新人賞に関する規程」(「口語詩句新人賞規程」という)を必ずお読みください。口語詩句新人賞規程を承諾の上応募下さい。
・受賞された場合、当財団から提示する誓約書を提出して頂きます。
当財団は、氏名、学歴(最終在籍)、年齢、プロフィール写真または動画(当財団にて撮影)、出身地(都道府県及び郡市区まで)、現住所(都道府県及び郡市区まで)、作品、受賞歴等を当財団WEB サイト(http://sasakitaijuikueikai.or.jp/)に公開することができるものとします。
・応募頂いた作品の著作権は作者に帰属しますが、当財団にて作品集の出版等で作品使用を行う場合、当財団に対する著作権使用料を予め免除するものとします。
・受賞者は、当財団事務局の指示に従い、必要な手続等は怠りなく行い、当財団にて開催するイベント等には原則として参加して頂きます。
・応募者の個人情報は、法令の定めるところに従い、適正な取扱を行います。
・ご提出いただいた応募書類は返却しません。
③選考者で受賞を希望されない方は、前項の(1)~(4)の書類は不要となりますが、ペンネームと作品は口語詩句投稿サイト72h に掲載させて頂きます。なお、掲載を希望されない方はメールにてご連絡下さい。

6.選考方法
書類選考のみ。
口語詩句投稿サイト72h 佳作一覧(月次)に3回以上選出された方は無条件で一次選考通過とします。
ほか、佳作一覧に選出歴のある方のなかから一次選考者を選考します。
・選考委員(読みがな順・敬称略) 秋亜綺羅(詩人・日本現代詩人会前理事長)、浦歌無子(詩人)、中山俊一(歌人。映画監督。脚本家。)、西躰かずよし(俳人・鬣TATEGAMI 同人)、林桂(俳人・鬣TATEGAMI 代表同人)、ほか

7.後援  現代俳句協会 思潮社

8.選考結果通知方法
選考結果は当財団WEB サイト(http://sasakitaijuikueikai.or.jp)にて発表します。
※選考理由については開示しません。

9.お問合せ先・応募書類提出先メールアドレス
一般財団法人佐々木泰樹育英会 事務局 担当:羽部浩志
Mail:jimukyoku@sasakitaijuikueikai.or.jp
※応募書類はメール添付にて提出して下さい。※電話でのお問合せは受け付けておりません。
〒104-6591 東京都中央区明石町8 番1 号 聖路加タワー40 階
©2019 佐々木泰樹育英会



6. 一般財団法人佐々木泰樹育英会 2020年度前期 口語詩句学生奨学金応募要領

1.資格 日本国籍を有し、日本国内の小学校・中学校(中等教育学校を含む・以下同じ)・高等学校(高等 専門学校を含む・以下同じ)・大学(大学院を含む・以下同じ)に在籍もしくは2020 年4 月より進学予 定の学生(通信教育生は除く)であって、次の各号の全てに該当する者
(1) 口語による詩・アフォリズム・俳句・川柳・短歌に対する創作意欲がある方
(2) 優れた作品を通じて、文学の発展に寄与するという熱意を有する方
(3) 2020 年4 月1 日時点で28 才以下の方

2.給付金額
小学生 年額3 万円(月割・給付型)
中学生 年額5 万円(月割・給付型)
高校生 年額10 万円(月割・給付型)
大学生 年額50 万円(月割・給付型)
当財団の奨学金は給付型であり、奨学金給付規程第9 条第2 号、同条第3 号、第4 号又は第6 号の各 規定に該当する場合を除き、原則として、返済義務を負いません。

3.スケジュール
口語詩句投稿期間:2019 年4 月~2020 年2 月
作品応募期間※下記4 応募方法②に定める作品の提出期限:2020 年3 月15 日(日)中
選考期間:同16 日(月)~同22 日(日)
選考通知:同23 日(月)
応募書類手続期間:同23 日(月)~同26 日(木)
選考結果仮採用決定開示日:同27 日(金)
奨学金給付通知授与日:同30 日(月)
初回奨学金支給日:2020 年4 月30 日(木)
※奨学金給付通知書の交付により、奨学生が決定されます。奨学金給付通知書は、大学生においては、 原則として奨学金給付通知授与式(兼交流食事会)にて交付します。同授与式を欠席する場合には奨学 生の採用が取り消されますので、必ずご出席ください。小学生・中学生・高校生は郵送します。

4.応募方法
当財団運営の口語詩句投稿サイト72h(https://www.kougoshiku-toukou.com/)に投稿された作品から、 以下②の点数を奨学生応募作品として口語詩句投稿サイト72h に投稿して頂きます。
②応募作品 下記の点数とします。高校生以上は題名記載のうえ一編とすること。複数編応募は認め
られません(すべての応募について選考対象外となります)。
小学生 3 点
中学生 3 点
高校生 5 点(題名記載)
大学生 5 点(題名記載)
③作品要領
・詩性を表現しようとした作品
・口語による作品とします
・1 点につき、6 文字以上、35 文字以内とする
・漢字1 文字は1 文字とする(読みがな文字数ではない)
・5 行以内とし、1 行15 文字以内とする
・句読点、分かち書き、行を空けることを可とする(空白の行も1 行とします)
・なんらかの賞を受賞された作品は対象外とします
※投稿は、文語による作品ではなく、口語による作品のみとさせて頂けますようお願い致します。(や、 かな、けり、等の切れ字は文語とさせて頂きます。)
④作品注意事項:全国商業誌に掲載された作品及びなんらかの賞を受賞された作品は対象外です。ま た、選考作品チェックで他作家の既発表作品との類似性が認められた場合、選考対象外となる場合が あります。これらにつき、後日当該事由が判明した場合、選考対象外となり、支給済奨学金は返還し て頂きます。
⑤選考者 2020 年3 月23 日(月)までに当財団事務局より応募者登録メールアドレス宛に選考結果を 通知します。奨学生に選考された方のうち、奨学生採用を希望される方は同26 日(木)までに、下記(1) ~(5))を当財団宛(jimukyoku@sasakitaijuikueikai.or.jp)にEメール添付にて提出して下さい。
(1) 当財団が指定する申込書
(2) 住民票記載事項証明書(個人番号が記載されていないものに限る。)
(3) 在学証明書(2020 年4 月より進学等で在籍教育機関が変更となる場合、入学予定の教育機関の発 行する入学許可書を応募時点でご提出のうえ、奨学生となった場合に追完手続を要します。)
(4) 創作活動に関する受賞歴がある場合にはそれを疎明する資料の写し
(5) 証明写真(縦36-40mm☓横24-30mm、縦横比率4:3)
⑥応募にあたっての注意事項
・応募方法と書式・様式が異なる応募書類は選考対象外とさせて頂きます。
・応募前に、当財団WEB サイトに掲載している「口語詩句学生に対する奨学金給付に関する規程」 ( 「口語詩句奨学金規程)という)を必ずお読みください。口語詩句奨学金規程を承諾のうえ応募下さい。
・奨学生に採用された場合は、当財団から提示する誓約書及び保護者承諾書(18 歳未満の応募者のみ) を提出して頂きます。当財団は、氏名、学歴(最終在籍)、年齢、プロフィール写真または動画(当財団 にて撮影)、出身地(都道府県及び郡市区まで)、現住所(都道府県及び郡市区まで)、作品、受賞歴等を 当財団WEBサイト(http://sasakitaijuikueikai.or.jp/)に公開することができるものとします。
・応募頂いた作品の著作権は作者に帰属しますが、当財団にて作品集の出版等で作品使用を行う場合、 当財団に対する著作権使用料を予め免除するものとします。
・奨学生は、当財団事務局の指示に従い、必要な手続等は怠りなく行い、当財団にて開催するイベン ト等には原則として参加して頂きます。
・応募者の個人情報は、法令の定めるところに従い、適正な取扱を行います。
・ご提出いただいた応募書類は返却しません。

5.給付期間
2020 年4 月から1 年間(当財団指定の投稿サイトへの定期投稿をしなければいけない)
定期投稿は、小中学生月1 点以上、高大学生月2 点以上とします。

6.募集人数 小学生最大30 名 中学生最大20 名 高校生最大10 名 大学生最大5 名

7.選考方法 書類選考のみ。

8.選考結果通知方法 選考結果は当財団WEBサイト(http://sasakitaijuikueikai.or.jp)にて発表します。
※選考理由については開示しません。

9.後援
現代俳句協会(東京都千代田区外神田)
思潮社 現代詩手帖編集部(東京都新宿区市谷砂土原町)

10.お問合せ先・応募書類提出先メールアドレス
一般財団法人佐々木泰樹育英会 事務局 担当:羽部浩志
Mail:jimukyoku@sasakitaijuikueikai.or.jp
※応募書類はメール添付にて提出して下さい。※電話でのお問合せは受け付けておりません。
〒104-6591 東京都中央区明石町8 番1 号 聖路加タワー40 階

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