凍るナイフで林檎をむいた十七時
指先と塩水が息苦しい記憶反応

どうしても
相性の悪い人がいる
そういうとき
私は
ペッパー君になる

今日は何でもない日
ただ二匹の
よく太ったネズミが
道路をかけぬけただけ

正方形の亡骸を
ただひっそりと見ている
深呼吸の合間に

窓の外は暗かった
窓の内はあまりに明るかった
窓の境界は荷物の中だった

シャボン玉なら
割ったのに地球かよ

よはんって君が言い間違えてから
　よはん
どこかへ飛んでくみたい

追い剥ぎされたんだ
週末課題の努力と時間を
カロリーメイトは
はっきり黒ずむ

どっちこっちと
ウィンカーが
エンジン音と戯れた
運転テクは
おっつかっつだね

故人の死に悲しみの眼差し
礼はいらない
私達の涙は
全部ナイロン製だから

石臼に
目覚め続ける
貌
　　　　　　　　蚕

にわとり忌
山へ行きたい森へ行きたい

　　船酔い
満月

見かけたくじらの卵

透明になるまで煮込む
青梗菜
無害な人と言われ続けて

茄子の背に
入れる切れこみ
愛されるために
傷つく必要のあり

桜蘂降る信じたくなる死後のこと

カーディガン
ずぶ濡れにする雨だけが
私に優しい午後の面接

LAの友眠る昼時計草

いつの日か
訛り忘れる寂しさは
まだ青い実の桜桃の違和

町中に広まる噂しゃぼん玉

再検査する心電図つばめ来る

つまんない自説の男生ビール

さびしさの
住所がちがう
ハグをする

星の海を
握りしめる
ちいさな胎蔵

半矢の雉鳩が
枯れ草のかげに
屹立する

奥付の元号変わる毒鈴蘭

欲界のざる蕎麦旨し春のどか

春機械
夢に出てきた大根畑

芍薬の海馬を鈍器と思うまで

十二使徒ストローに飲むアイステ
ィー

レモン水
兄がときおり自慰をして

暮れていく空が好き
悲しいだけじゃない
移ろう季節が好きで
少しだけ怖い約束

かけがえのない存在
いなくなっても大丈夫
愛は永遠って
一生の宝物という意味

生まれたての本音と
死にたての嘘
幾層もの感情に
矛盾する意味はアンサンブル

リバーシブルの肌を着てるから
裸じゃないって王様になりたい
年中祭のＳＮＳ

文字滲み
茨となって絡みつき血管
呼吸を支配され本
めくられて白
仄かな香

ここに１行目を入力して下さい。

凍るナイフで林檎をむいた十七時
指先と塩水が息苦しい記憶反応

今日は何でもない日
ただ二匹の
よく太ったネズミが
道路をかけぬけただけ

正方形の亡骸を
ただひっそりと見ている
深呼吸の合間に

窓の外は暗かった
窓の内はあまりに明るかった
窓の境界は荷物の中だった

音漏れにリズムを刻むは夏の雨

すっかり作り物だね
体に文字が浮き出てる
声の出し方も知らないの？

潮風をたどれば海に着くらしく
着かなくたってかまわないけど

シャボン玉なら
割ったのに地球かよ

よはんって君が言い間違えてから
　よはん
どこかへ飛んでくみたい

故人の死に悲しみの眼差し
礼はいらない
私達の涙は
全部ナイロン製だから

石臼に
目覚め続ける
貌
　　　　　　　　蚕

東京
貌貌
　　　　　　　　とおくで死ぬわ

さんさんと郊外平野恐怖症

耳と口たがいにあてて
電話機のこちらには
逆立ちのゴースト

花束を
抱く人波にのみこまれ
令和元年のニュースの中に

透明になるまで煮込む
青梗菜
無害な人と言われ続けて

もうずっと迷子であったそんな気がしているスーパーでポン酢を探し

茄子の背に
入れる切れこみ
愛されるために
傷つく必要のあり

純白の躑躅の小道
たましいを
攫ってくれない人ばかりおり

桜蘂降る信じたくなる死後のこと

美しき地獄だこの世の何もかも綺麗に洗って食うプチトマト

カーディガン
ずぶ濡れにする雨だけが
私に優しい午後の面接

何処かへ行きたい
何処までも行きたい
何処にも行けない
鉛筆がない

再検査する心電図つばめ来る

優しさと弱さは似てる
ストールをさらってゆけない
はつなつの風

青葉闇ゆく誰しもが持つ無言

さびしさの
住所がちがう
ハグをする

雨あがり
まびかれた
いっぽんの樹

風が海面をわたる
とおい人の
けはいのように

半矢の雉鳩が
枯れ草のかげに
屹立する

菓子袋に
小さな君を
閉じ込めて

菜の花の茎三千の切断面

黒人のハーフパンツや花祭り

鉄仙がひらいてひらききって悪

欲界のざる蕎麦旨し春のどか

芍薬の海馬を鈍器と思うまで

総統の痔の話する
自決
夏

暮れていく空が好き
悲しいだけじゃない
移ろう季節が好きで
少しだけ怖い約束

かけがえのない存在
いなくなっても大丈夫
愛は永遠って
一生の宝物という意味

リバーシブルの肌を着てるから
裸じゃないって王様になりたい
年中祭のＳＮＳ

文字滲み
茨となって絡みつき血管
呼吸を支配され本
めくられて白
仄かな香

コメントは
告白の返事みたいだ
読まずに寝る

ここに１行目を入力して下さい。

ありがとう
伝えたくて
地下鉄に乗る

どうしても
相性の悪い人がいる
そういうとき
私は
ペッパー君になる

正方形の亡骸を
ただひっそりと見ている
深呼吸の合間に

制服のしわを伸ばすや夏初め

よはんって君が言い間違えてから
　よはん
どこかへ飛んでくみたい

東京
貌貌
　　　　　　　　とおくで死ぬわ

おしりくらいまでは
　　　　　にわとりだろう

にわとり忌

　　船酔い
満月

見かけたくじらの卵

さんさんと郊外平野恐怖症

嘘ばかり
ついてる私を責めるよう
口開けたまま売られる鰯

桜蘂降る信じたくなる死後のこと

カーディガン
ずぶ濡れにする雨だけが
私に優しい午後の面接

何処かへ行きたい
何処までも行きたい
何処にも行けない
鉛筆がない

町中に広まる噂しゃぼん玉

つまんない自説の男生ビール

さびしさの
住所がちがう
ハグをする

あぶら絵の
裸のさびしさが
動けない

雨あがり
まびかれた
いっぽんの樹

伸ばす手にのがれる風船春の風

鉄仙がひらいてひらききって悪

はるさめを待つ美術館る･こるびゅじぇ

車窓見る人のうなじの雷の予感

風薫る額のあたり怒っている

わけのわからん詞書かよ髪洗う

レモン水
兄がときおり自慰をして

ミニギターつい買っちゃった
初夏の旅

ありがとう
伝えたくて
地下鉄に乗る

胸に碇
そこをはるかな海として
出港しないまま朽ちる船

潮風をたどれば海に着くらしく
着かなくたってかまわないけど

シャボン玉なら
割ったのに地球かよ

よはんって君が言い間違えてから
　よはん
どこかへ飛んでくみたい

石臼に
目覚め続ける
貌
　　　　　　　　蚕

東京
貌貌
　　　　　　　　とおくで死ぬわ

にわとり忌
山へ行きたい森へ行きたい

おしりくらいまでは
　　　　　にわとりだろう

にわとり忌

　　船酔い
満月

見かけたくじらの卵

さんさんと郊外平野恐怖症

花束を
抱く人波にのみこまれ
令和元年のニュースの中に

透明になるまで煮込む
青梗菜
無害な人と言われ続けて

もうずっと迷子であったそんな気がしているスーパーでポン酢を探し

世の中の
レシピの多くが二人前
深夜に啜るカップラーメン

嘘ばかり
ついてる私を責めるよう
口開けたまま売られる鰯

桜蘂降る信じたくなる死後のこと

美しき地獄だこの世の何もかも綺麗に洗って食うプチトマト

カーディガン
ずぶ濡れにする雨だけが
私に優しい午後の面接

何処かへ行きたい
何処までも行きたい
何処にも行けない
鉛筆がない

LAの友眠る昼時計草

素朴って
個性がないってことかなと
履歴書かけず
食う焼きプリン

再検査する心電図つばめ来る

優しさと弱さは似てる
ストールをさらってゆけない
はつなつの風

青葉闇ゆく誰しもが持つ無言

つまんない自説の男生ビール

さびしさの
住所がちがう
ハグをする

あぶら絵の
裸のさびしさが
動けない

風が海面をわたる
とおい人の
けはいのように

菜の花の茎三千の切断面

黒人のハーフパンツや花祭り

鉄仙がひらいてひらききって悪

柏餅噛む

密告をした人のこと

鼻筋の油ぬぐえよ朔太郎忌

芍薬の海馬を鈍器と思うまで

十二使徒ストローに飲むアイステ
ィー

車窓見る人のうなじの雷の予感

若楓揺れる投げ入れ
スクショする

風薫る額のあたり怒っている

往路来て旅行記おわる杜若

レモン水
兄がときおり自慰をして

ここに１行目を入力して下さい。

ふさふさのくさ

石臼に
目覚め続ける
貌
　　　　　　　　蚕

さんさんと郊外平野恐怖症

嘘ばかり
ついてる私を責めるよう
口開けたまま売られる鰯

桜蘂降る信じたくなる死後のこと

霜柱聖観音の指のごと

優しさと弱さは似てる
ストールをさらってゆけない
はつなつの風

花と葉と 八艘飛びの 雛雀

菓子袋に
小さな君を
閉じ込めて

伸ばす手にのがれる風船春の風

あじさいが
ポッ　ポッ　ポッ
とさきはじめ

正方形の亡骸を
ただひっそりと見ている
深呼吸の合間に

制服のしわを伸ばすや夏初め

よはんって君が言い間違えてから
　よはん
どこかへ飛んでくみたい

石臼に
目覚め続ける
貌
　　　　　　　　蚕

東京
貌貌
　　　　　　　　とおくで死ぬわ

透明になるまで煮込む
青梗菜
無害な人と言われ続けて

もうずっと迷子であったそんな気がしているスーパーでポン酢を探し

再検査する心電図つばめ来る

青葉闇ゆく誰しもが持つ無言

つまんない自説の男生ビール

風が海面をわたる
とおい人の
けはいのように

寂しいと
ブランコ揺らす
夜の風

黒人のハーフパンツや花祭り

柏餅噛む

密告をした人のこと

芍薬の海馬を鈍器と思うまで

はるさめを待つ美術館る･こるびゅじぇ

レモン水
兄がときおり自慰をして

ここに１行目を入力して下さい。