前までは答えが牛だと思ってた

町中華つくるところが見えて好き

立ち漕ぎを
するとき
チュールスカートを
ねおんてとらとしてなびかせる

めさいあの花のくちびるごと齧る

大西日振れてパノプティコンの鐘

ひだりききのわたし
が
塔に立っていて
かがみのらせんかいだん割れる

炎天の底
の
小部屋の海にいて
ねこのゆたかな寝相見ている

くもを撮る
とき
ぜんしんで背のびして
天のあわいへ吸われゆく友

悲しみのやがて球体生ビール

六月の終はりの風の色は銀

　　ヴェッキオ橋

旅人は渡る
回廊の鼠は絵を齧る
翼あるものも死は免れない

檸檬水風が止んだら帰ります

ひとつだけ
明かり残して呑みに出る

蟻のように列をなして群がって
砂糖一キロ百十八円

私はしばしば、
食べるために生きていたり、
生きるために食べていたりする。

とおい海の写真を
レコメンドされる日に
ふたりっきりでなびかせる布

はみ出した初夏の光が餌を喰む
草食獣の首筋を這う

さみしさと呼ばれるものの輪郭よ
空を鳥から奪うのは雨

海を容易く脱ぎ捨てるトビウオの
胸びれは光で濡れている

職安に赤ん坊だけ抱いていく

首長だがブランコ待ちの列にいる

紙コップ以北のやけに白い手だ

黒南風に粘土像めくインド象

未完成の友情として暮らしたい
あなたの白詰草の冠

笑うたび廊下に海が落ちてくる

水馬の匂い捕らえる初老の父

梅雨明けて手前の卵から使う

髪洗う懐かしい宇宙のにおい

メルちゃんのミルク空っぽ夏座敷

金魚になれば許してくれる？
おかあさん

フラット35   組んじゃった
　家の吹き抜け窓から
流れる　雲

うっとりと
過ごす真昼のドトールの
ひかりのほとんどが自然光

夕映えのさなかのカウンター席で
食べている桜のドーナッツ

嘘だって笑ってなさい
つむじから
ずっとミルクの匂いをさせて

ネクタイを緩めてボタン外すこと
躑躅のめしべおしべのあらわ

永き日のひかりを波に運ばせて

妹を開けるのがこわい

病室のマーガレットの香が嫌い

鳥のみる夢にかならず降っている
光の雨の名前を知らず

ひとりでは取りにいけない
鍵のこと
夜明けの桃の傷の甘さに

枇杷食べて
ネクタイのこと忘れきる

夜襲からするかわいい夢のにおい

身代わりに
戦車のくぼみらしくある

六月　死神を連れてきた　青蜥蜴

茉莉花のお酒に喉をさらしつつ
人と花瓶はよく似ているね

星の沈黙
透明な
空を
花合歓

優しい人
遠くまで麦秋を雨

花あかしあ
昨日の夢の
沖の閃影

兄ちゃんの貯金箱から
五百円もらい
募金に行ってきたって

自生する三つ葉が
去年より伸びて
祖母が冷夏と予言している

韮川のあじさいは青　自由の青

風車からからからっぽのそら

水色のゆめに沈めるゆすらうめ

雅歌だけで育つ鸚鵡に騙される

カフカ忌の無人レジ
追い越されてる

夏霧にさらし
泣きあと糖衣めく

ゆっくりとたたんでゆけば
便箋のすみれは
ひかりを追って俯く

雪解けの川のひとつが
（借りていた本、返そうか）
合流をする

さみだれの切れた光に洗われて
水槽みたい駅ビル泳ぐ

陰影をふわふわにする洗濯機

菱の花換金所にさす蛍光灯

あたらしい黒子に気づいた日
雨がやんだ日

くちぶえや
はなうただった頃のゆめ

廃線をたどっていけば
竹藪の暗がり
蝉しぐれ

俺は巨大魚だ
ゆるりと川を泳ぐんだ
たまに顔などだして
子供達を驚かすのさ

雨の日が
ぱちゃぴちゃ王冠
作るから
ずぶぬれみんなは
ぱれぴかきらりん

カウンセリング、服薬
そうか
詩を書くことも
治療なのか

ほととぎす故郷ょ故郷とききなす

光游ぐおはじきの溝の谷あいに

三角コーナー磨き半球の夏至匂う

古書運ぶ影の短い駐車場

感情の骨をさわっているときの
雨の広場のしずけさだった

天気雨のあとの街は
レタスみたいだから
空が緑色に見えたっていいだろう

あくびにも二種類あってこれは春

保育器にさしこむ指は
月光に濡れて
ハープのまばゆいたわみ

深海によばれるように
スロープをゆっくり降りる車椅子

あの日の傷を生き延びて
今年もリラの花に逢う

五臓六腑をHIPHOP

愛された金魚は
九九を唱えられる

校庭で息を整える
足元に忍び寄る鯨の影

火星にも水があるならあんぶれら
ふるものすべて明るいといい

アーケードを抜ける瞬間風はくる
街にわたしを捧げるように

苔生した五百羅漢の欠けた貌

やせ細る無月大腿四頭筋

私の独り言は
結構いい事を言っている

今夜また
あなたがミントの丘を来る
いちばん涼しいひつじの顔で

ビー玉とは握手だけの関係で

相槌が減った頭を撫でてみる

嘘をつくのが仕事です
またすぐに濁る眼鏡を丁寧に拭く

十五分
鼻を啜る音　換気扇
蛹のような母の手を握る
ただ握る　ただただ握る

ビー玉の皆均等で夏痩せる

幽霊の生活向上委員会

磨りガラスの向こうで
何が起きようとキュビスムは
なんとなくかっこいい

深海で開くビニール傘　おいで

キッチンに母の指紋ばかりある

生きるほど死にたい訳も
増えていく
日々に
ナイフのような月光

留年はしっくり来るよ
木蓮が崩れるところ
もう一度見る

大阪をおそらくは去る
きさらぎの
これはそのとき捨てていく皿

ケチャップが二本もあって
恥ずかしい

あぶらぜみはもう浮いている

蚊帳のなか
にしょっこだけが
咲いた夜

きみの行くすべてが日向
もう合わぬ麦わら帽に
宿ったひかり

肺胞を摘まれるように
やさしさを褒められている
明るい水場

心臓は林檎のかたち
酸性雨溢れるように散骨をした

神様の売店だから気まぐれで
売り切れだった梅雨のフラスコ

怒られるにしても天気が良すぎる

お気に入りの傘を濡らしたくない

わたしからこぼれる声の
牛乳のような白さがまだ許せない

俗世でも生きられますか
入水など知らない鶴が白く光って

切りたての桃に子犬の息速く

閉店の日の白菊を買ってゆく

掻き分けて祖父母のように
うっとうしい草の匂いの
濃く高くなる

虫の闇百済観音ひび割れて

町中華つくるところが見えて好き

性欲をやめて
ひかげに見つめれば
ましろいサラダボウルのきみだ

立ち漕ぎを
するとき
チュールスカートを
ねおんてとらとしてなびかせる

めさいあの花のくちびるごと齧る

ひだりききのわたし
が
塔に立っていて
かがみのらせんかいだん割れる

半夏雨途中でやめた私小説

落書きは君のイニシャル夕蛍

六月の終はりの風の色は銀

　　ヴェッキオ橋

旅人は渡る
回廊の鼠は絵を齧る
翼あるものも死は免れない

色で韻を踏んでいくわたしは景色

檸檬水風が止んだら帰ります

聴診器外す音色を取り戻す

いた場所をわすれて海にもどる人

適当なことばでいてねわたくしが
しずかに決壊するすぐそばで

点滴が海に溢れて
一人乗り用の観覧車で眠ってる

職安に赤ん坊だけ抱いていく

天国のリンゴは少し小さくて
これもあなたのための教科書

水馬の匂い捕らえる初老の父

ボールプールに魂の二つ三つ

金魚になれば許してくれる？
おかあさん

白南風は
パンタグラフをすり抜けて

初夏の流星群系女子帰宅

うっとりと
過ごす真昼のドトールの
ひかりのほとんどが自然光

夕映えのさなかのカウンター席で
食べている桜のドーナッツ

ぼんにゅいと言えば夏木になる獣

妹を開けるのがこわい

鳥のみる夢にかならず降っている
光の雨の名前を知らず

放課後にト音記号の逆上がり

空の色をうつして水の冷えわたる
海がひとつの眼であることを

星の沈黙
透明な
空を
花合歓

優しい人
遠くまで麦秋を雨

ガソリンが生きてた頃の五月雨

韮川のあじさいは青　自由の青

ゆっくりとたたんでゆけば
便箋のすみれは
ひかりを追って俯く

さみだれの切れた光に洗われて
水槽みたい駅ビル泳ぐ

陰影をふわふわにする洗濯機

菱の花換金所にさす蛍光灯

あたらしい黒子に気づいた日
雨がやんだ日

祝祭としてきみの名前の音がすき

雨の日が
ぱちゃぴちゃ王冠
作るから
ずぶぬれみんなは
ぱれぴかきらりん

古書運ぶ影の短い駐車場

雨がまだ継続中のときにする
会話があったからいまは雨

Landとは廃工場の建つところ
Seaとは鳥を追い越すところ

感情の骨をさわっているときの
雨の広場のしずけさだった

天気雨のあとの街は
レタスみたいだから
空が緑色に見えたっていいだろう

深海によばれるように
スロープをゆっくり降りる車椅子

カンカンとこんにゃくないた

別れたと泣き出す君に頼られて
喜ぶぼくはクズなともだち

それ以上しない話のあとにある
湖面を見つめるひとだ　あなたも

線香と醤油の匂いが混ざるなら
懐かしいと初めて思う

今夜また
あなたがミントの丘を来る
いちばん涼しいひつじの顔で

瘡蓋がある砂浜が来る

子育てと介護は同じ緯度にある
夕日のような黄身を潰した

捨てられたごはんの放物線に虹
後頭部だけが冷たさを保つ

冷麺をすすって笑うあのひとの
歯並びだけがきれいだったな

白い余剰をはじきだす
互除法のはやさに
春は砕けていける

ケチャップが二本もあって
恥ずかしい

お化粧はうっとりとして雨の音

蚊帳のなか
にしょっこだけが
咲いた夜

水無月
三日月
潦

肺胞を摘まれるように
やさしさを褒められている
明るい水場

心臓は林檎のかたち
酸性雨溢れるように散骨をした

わたしからこぼれる声の
牛乳のような白さがまだ許せない

閉店の日の白菊を買ってゆく

立ち漕ぎを
するとき
チュールスカートを
ねおんてとらとしてなびかせる

めさいあの花のくちびるごと齧る

大西日振れてパノプティコンの鐘

ひだりききのわたし
が
塔に立っていて
かがみのらせんかいだん割れる

炎天の底
の
小部屋の海にいて
ねこのゆたかな寝相見ている

くもを撮る
とき
ぜんしんで背のびして
天のあわいへ吸われゆく友

半夏雨途中でやめた私小説

悲しみのやがて球体生ビール

蝿生れる「青の時代」は遠く去り

全くの他人に比べ、
家族には
私を殺す理由が多い。

灰皿の煙草のように寄り添って
灰がこぼれるのを待つばかり

もうおじさんのヤクザではない刺
青に電気パルスが当てられ続け

良い子だと持て囃されて
良い子では生きてゆけない
世に屠られる

いた場所をわすれて海にもどる人

適当なことばでいてねわたくしが
しずかに決壊するすぐそばで

とおい海の写真を
レコメンドされる日に
ふたりっきりでなびかせる布

真っ白な平均台を踏み外し
少し遠くに七月が咲く

さみしさと呼ばれるものの輪郭よ
空を鳥から奪うのは雨

点滴が海に溢れて
一人乗り用の観覧車で眠ってる

海を容易く脱ぎ捨てるトビウオの
胸びれは光で濡れている

職安に赤ん坊だけ抱いていく

首長だがブランコ待ちの列にいる

紙コップ以北のやけに白い手だ

黒南風に粘土像めくインド象

心臓に国旗があって眠れない

水馬の匂い捕らえる初老の父

梅雨明けて手前の卵から使う

メルちゃんのミルク空っぽ夏座敷

メルカリに天の羽衣夕立晴

人型の
扉をどれも開けられず
鳩は静かに雲へ溶けゆく

口笛に君は楽器の障子です

永き日のひかりを波に運ばせて

妹を開けるのがこわい

鳥のみる夢にかならず降っている
光の雨の名前を知らず

空耳のまま
暮らしてもいいですか
餃子の並ぶスターバックス

ひとりでは取りにいけない
鍵のこと
夜明けの桃の傷の甘さに

爆撃と混ざるテーブルクロス引き

放課後にト音記号の逆上がり

枇杷食べて
ネクタイのこと忘れきる

何事も
終わってしまえば
楽なもの
コロコロ焼かれて
偶蹄目

建物の
中にいるひと
思い出の
中にいるひと
一時保存の

リカちゃんが
靴を残して消えちゃって
お礼参りで神隠しかも

自生する三つ葉が
去年より伸びて
祖母が冷夏と予言している

水色のゆめに沈めるゆすらうめ

雅歌だけで育つ鸚鵡に騙される

計算が不得意だからせめてもと
スノードームを生真面目に振る

雪解けの川のひとつが
（借りていた本、返そうか）
合流をする

あたらしい黒子に気づいた日
雨がやんだ日

くちぶえや
はなうただった頃のゆめ

廃線をたどっていけば
竹藪の暗がり
蝉しぐれ

雨の日が
ぱちゃぴちゃ王冠
作るから
ずぶぬれみんなは
ぱれぴかきらりん

カウンセリング、服薬
そうか
詩を書くことも
治療なのか

三角コーナー磨き半球の夏至匂う

肉体を町と交換してしまい
瞬きのたび点く街路灯

Landとは廃工場の建つところ
Seaとは鳥を追い越すところ

感情の骨をさわっているときの
雨の広場のしずけさだった

あくびにも二種類あってこれは春

深海によばれるように
スロープをゆっくり降りる車椅子

隣りの椅子に脚載せて
「戦争」というカクテル
注文してみる桜桃忌

生きかえる針の上だと思い出す

五臓六腑をHIPHOP

公に性別を着て行く
ことがなかった、
けど　今日から、
手を繋ぐ　なら、

別れたと泣き出す君に頼られて
喜ぶぼくはクズなともだち

火星にも水があるならあんぶれら
ふるものすべて明るいといい

川沿いの道をえらんで帰るとき
わずかに延びる夏のゆうべは

線香と醤油の匂いが混ざるなら
懐かしいと初めて思う

私の独り言は
結構いい事を言っている

ポイントを利用せぬまま
燃やされる
ドナー申請する間もなく

今夜また
あなたがミントの丘を来る
いちばん涼しいひつじの顔で

想像の斜め上からかがり縫い

相槌が減った頭を撫でてみる

贈られた指輪を薬指につけ
金環蝕とこれから生きる

心太とうぶん俺は虎になる

子育てと介護は同じ緯度にある
夕日のような黄身を潰した

白い余剰をはじきだす
互除法のはやさに
春は砕けていける

チョコレートパフェにアラザン
　　　　　　　　　　　　宇宙葬

生きるほど死にたい訳も
増えていく
日々に
ナイフのような月光

留年はしっくり来るよ
木蓮が崩れるところ
もう一度見る

大阪をおそらくは去る
きさらぎの
これはそのとき捨てていく皿

ケチャップが二本もあって
恥ずかしい

お化粧はうっとりとして雨の音

軍艦が騒ぐ　鯨の眠り場所

きみの行くすべてが日向
もう合わぬ麦わら帽に
宿ったひかり

怒られるにしても天気が良すぎる

わたしからこぼれる声の
牛乳のような白さがまだ許せない

閉店の日の白菊を買ってゆく

おはようと
声をかければ笑う子よ
そんなに私は眩しいだろうか

マラソンに阻まれている秋の犬

ハンガーに涙吊るしてなお垂れる

ひだりききのわたし
が
塔に立っていて
かがみのらせんかいだん割れる

カーテンの胃の中は白
消化不良で留まる私を
仕方なく撫でる

オノマトペ
だけの会話が
二秒ほど続いて
たも網を引き揚げる

くしけずるかみのけ
櫛が絡め取る髪の毛
よるのくろいてざわり

山盛りのカレーひとりで平らげて
夢を叶えることはくるしい

五月闇雨が嫌いな傘もいる

さみしさと呼ばれるものの輪郭よ
空を鳥から奪うのは雨

「右へ倣え」の日々のなか
透明なコップは雨を溜めても裸

紫陽花は花言葉には溺れない
マイマイいつか戻っておいで

青嵐あいつが鳥の司令塔

うごうごと筍のびる雨後

泣いたあと
眼窩にはまる
フラミンゴ

天国のリンゴは少し小さくて
これもあなたのための教科書

水馬の匂い捕らえる初老の父

新しい虹に履かせる
靴下に
とても弱そうなネッシーの顔

梅雨明けて手前の卵から使う

お豆腐を崩さないよう
掬いとる
崩れたとこがわたしの痛み

ちね、と言う小鳥に
首を縦にふる