じゃすみんの風
に
ねぐせをそよがせて
きみはイドラをおしえてくれる

ろっこつのかたち
に
鳥をまもるとき
けやきの喉はよくしなる　弓

野ばら
たおる
手つきできみを攫うとき
たたずんでいるヤハウェの微笑

ちきゅうから
落下してゆく夜に焼く
レモンマフィンはすみわたる星

絵日記をひらけば
夏至はあふれでて
すいかのたねのうすあかい跡

なつに至る、までの
むげんのあぜ道を
たゆたう えふぃらくらげの君だ

抱きしめて
　みれば
あやうい自我に棲む
ちょうがいこつはがらすのひつぎ

こと切れた電球を揺りかごに置く

繭として老後を過ごせなくもない

宇宙また始まりさうな銀河ですね

星迎え、ガスライティングという
支配

帰宅拒否の二歳に並び
寝転んでみる。
空が青い

かつて子供たちを育てた器官を

失う日が来た

留め具がみつからない
氷枕みたいに
くちをぼんやりあけている

桜桃忌もう鉄棒をまわれない

水鉄砲を売ったお前に分かるかよ

熊、マジか
熊、火事、マジか
熊、マジか
熊、熊、マジか
市からのメール

ジャンケンの
パーが太陽
グーが雲
チョキが虹だよ
夏休み来る

飛行機の中は消灯して
きみの寝息を星空の中に聴く

レバーを倒して生ビールを注ぐ
何かを忘れたような気がして

引かれ合う痛みを
知れば褪せていく
さんすうセットの花型磁石

咎められ押し黙る母蟬の声

烈日を抱き返しまだ泣いている

恋々の情を沈めて水中化

何者も傷つけながら背を伸ばし
大きな栗の木の下を出る

真夜中を振り払おうと
冷蔵庫を開けて月の光をめくる

通過電車で眠る誰かのために　
初夏、美しい駒になりたい

熱を持つ嫌われ者になりなさい

低温の駅でロボットよく喋る

ドライヤーにも伏線があるだろう

ドーナツの穴は神さまの抜け道

夏　脳から植物園がはみ出す

体躯に囚われて
震えるたびに解けてゆく
青い鬼灯として

生きてゆきたい

海も空も母も深い青になる

ビー玉は羊が眠る丘になる

どうすれば
上手く生きられるのだろう
柔らかい桃を冷凍してみる

母は実家で深海魚になっていた
どんなに照らしても
もう明るい海には戻らない

今はもう思い出すしか
できなくなった
プールの後の国語の眠気

彼岸西風吹く
朝焼けと夕焼けが
同じ色だったような気がして

悪口は嫌いだけれど　悪口を
言わない人とは仲良くなれない

噴水に遠い渋谷のハンバーガー

リズムプリンは
なにをたくらむ

うんていがうまい友達　古い雪

心が空っぽだから
足音が響く

暗闇に子らを泣かせて
なまなまと動く恐竜の動かない足

かすがいにもうならなくて
いいからね
お魚焦がしちゃってごめんね

お迎えを待つ交番の少女へと
ザトウクジラは歌を続けて

ぱいなっぷる抱いて
地下鉄
すこし泣く

魔法瓶の呪いをときに海へ行く

真夜中のアクアリウムを歩くよう
ひとり怒りをしずめるときは

欲しかったものは
輪郭から消える
アップルパイに盛りあがる傷

あやまちはあやまちのまま
花柘榴
みるみる象の舌をあふれて

やる気出せ思考回路のダンゴムシ

恩賜の雑巾が乾く保育園

遠縁の遠さよ烏瓜の花

明るさが影を圧倒する夏に
西友の影を信じて歩く

水の秋
絵を見ていても
むき出しの器官をぬらしつづけて
人は

花だけを水面へ出す水媒花
しずめばもっときもちいいのに

ネクタリン齧る
博愛
夜は淋しく

節約が限界らしく憤る母へ
鰻の松を届ける

生きるのは少し苦手な方だけど
私のことはちゃんと好きだよ

丸文字は地下茎だったに違いない

黄雀風
サイドバングをふかく巻く

半夏生ざわざわ満ちる
日盛りの
人影にふとあやうい淀み

緑陰にわたしあるいは火の余裔

のしかかる朝へ日傘を
さすときの
指に
クナイのような鋭さ

行くあてのない自転車の
そのままを海へ漕ぎ
どうして月がある

午後の街に水は身体を横たえて
そのまぶしさは川と呼ばれる

のむヨーグルト
方舟くらいのワンルーム

吐く息のほっとけえきに似た部分

花眠る夜は真っ暗じゃないこと

外側のカトラリーから使われて
私の羽は最初に消えた

盆礼を貰わずとも良いひとり住み

ふぉらふぁらと頷きすずろ華鬘草

二十二歳
　マヤコフスキーをポケットに

砂っぽい風が
まつ毛に触れていた
夏の朝は引き潮
忙しくすれ違う蟹どもの街

ごぼう切るときだけ思いだす童話

　　　　　　　
地獄だろうさ

泣いて産まれた

ガクチカにしたくて
隕石受け止める

胎動の一音を聴く母となるひと
駅の屋根にまるい光が落ちる

干からびた蝉退けて
夏の部品のような
ラムネ瓶を運ぶ

湯の町の石段濡らす宵の月
夢二のキスもきっと不器用

遠方の地でのお祈りを抱えて
サケみたいに帰宅

トラックの助手席で
陽を浴びながら
来世の追憶にさしかかる

左手にSuicaを持ったまま
通れる駅を最寄駅にしたい

二度と味わうことのない
夏休みの
ぬるいプールみたいな日

迫り上がる入道雲
ラムネ瓶の底の青
キラキラ去ってゆく光
拾い集めて夏

にんげんが泣くのに三十一音で
じゅうぶんなのだテトラポッドよ

花冷えに銀器を磨く
こんどこそ
ゆうれいの子に生まれなおせる

月光を束ねた躰 蝉生る

代償も正義もいらない水鉄砲

気の抜けた炭酸を飲む日曜日
人混みの中君を探そう

親友とは呼ばないけれど
風鈴が風にこたえるように
振り向く

服のタグが痒ければ掻く半夏生

蟻塚を壊しもうすぐ百日目

せきじつ
に帰る電車で光るのは君の
真珠のやうな鼻筋　

サイドミラーに映る夜桜

瞬きの度に他人に移る神

あほの坂田というポエジー

エスカレーターの
手すりが濡れていて
わたしは誰のものでもないが

眩しくてチキンライスは眠れない

全米も詩人も朕も泣いてゐる

父が好き
という理由で嫌ってた
丸亀製麺に寄っていく

進学もわがままだったと
いまわかる
百均のブレスレットがきれい

ますかっとを
しっていますか
ひせいきこよう
の頃の

夕焼を見に合宿の人　海へ

心音になってしまって
流れゆく星の速さを確かめている

夕陽から生まれたような影だった
ゆるやかに加速する自転車

てのひらで心臓を聴く初夏の日に
あなたは遥かなる飛行船

羊水を漂うときのかたちして
大声で泣く

水没したい

ケチャップを押し出す力沈丁花

溜息のように磯巾着あるく

遠くから声で呼ばれて岸の夏

吊り革を握るあなたが突き上げる
拳のような訣別だから

サクッと切る水の固まり
滴り始める赤くて甘い
無邪気

蜩落ちて蟻も来ない通夜

濡れた土のにおいがして、
居たたまれなくなって、
傘の柄を強く握って居た。

春先に項垂れている扇風機
母は記憶のなかでも老いて

流氷は
遠いところで運ばれて
冬の終わりを僕は知らない

蘭鋳は溺れず通夜に人は来る

アッパッパー着て太陽まで歩く

背負つてきた老父投げ捨て昼寝覚

夕焼のかみさまいなければいいな

Ｕ字磁石を
（きみのために星があったら、
　どこまで行ける？）
はがす

ひとしずくの光が落ちて 
夜がはじまる  
掌の奥で  
星がまだあたたかい

夜の駅　影を連れて帰る
切符の裏に眠る銀河を
指でなぞれば
遠く犬が鳴く

水族館で子供が
魚に名前を付ける
遠くの町で誰かが
名前を忘れる

きっぱりと
役所の白い蛍光灯
離婚届は予備に一枚

月の店路地から路地へ越えてって
本題ではない話をしている

あふれ、る。あふれて、る。
冷たさの匂い、鳳仙花の音、
言葉遣いの色、の。

リハビリで市民プールを歩く人
故郷の土に愛猫埋める

ろっこつのかたち
に
鳥をまもるとき
けやきの喉はよくしなる　弓

野ばら
たおる
手つきできみを攫うとき
たたずんでいるヤハウェの微笑

ちきゅうから
落下してゆく夜に焼く
レモンマフィンはすみわたる星

絵日記をひらけば
夏至はあふれでて
すいかのたねのうすあかい跡

抱きしめて
　みれば
あやうい自我に棲む
ちょうがいこつはがらすのひつぎ

コール音二つで切れた梅雨晴れ間

おやすみしっぽのぽになって路地

フォルダーの家族写真の少なさを
見るとき３は素数と分かる

桜桃忌もう鉄棒をまわれない

レバーを倒して生ビールを注ぐ
何かを忘れたような気がして

夏蜜柑味を選べば飛行機は
もうすぐ天の川に近づく

夕暮れの海に潜るのさようなら

手を引かれ蛍の人に付いてゆく

咎められ押し黙る母蟬の声

ドーナツの穴は神さまの抜け道

優しさを咀嚼するとき
さくらんぼ
みたいにさっぱりすぎて切ない

海も空も母も深い青になる

ビー玉は羊が眠る丘になる

安産と繰り返す人缶ビール

今はもう思い出すしか
できなくなった
プールの後の国語の眠気

短夜は映画の広いトイレです

イヤホンを外して降りてゆく人の
はやい手つきをいいと思った

うんていがうまい友達　古い雪

お迎えを待つ交番の少女へと
ザトウクジラは歌を続けて

ぱいなっぷる抱いて
地下鉄
すこし泣く

魔法瓶の呪いをときに海へ行く

真夜中のアクアリウムを歩くよう
ひとり怒りをしずめるときは

生返事にあふれる日々の
だし巻きの
余生のような黄色がきれい

あやまちはあやまちのまま
花柘榴
みるみる象の舌をあふれて

めくってもめくっても雪
果し状

黙祷をするたびに来る
心臓が
ちいさな港となりゆく時間

水の秋
絵を見ていても
むき出しの器官をぬらしつづけて
人は

緑陰にわたしあるいは火の余裔

のしかかる朝へ日傘を
さすときの
指に
クナイのような鋭さ

行くあてのない自転車の
そのままを海へ漕ぎ
どうして月がある

午後の街に水は身体を横たえて
そのまぶしさは川と呼ばれる

吐く息のほっとけえきに似た部分

水無月のブルーシートでできた海

そうですよね、と
ひとりごとを
言っては
すいかをきる母がいて

外側のカトラリーから使われて
私の羽は最初に消えた

二十二歳
　マヤコフスキーをポケットに

胎動の一音を聴く母となるひと
駅の屋根にまるい光が落ちる

干からびた蝉退けて
夏の部品のような
ラムネ瓶を運ぶ

森の中から汽笛が聴こえる
私は小さくなって
赤い点になる

にんげんが泣くのに三十一音で
じゅうぶんなのだテトラポッドよ

月光を束ねた躰 蝉生る

せんせいがすきでわたしは青田道

星座は誰にでも姿を見せて
寂しいんだろうね　音が後

眩しくてチキンライスは眠れない

海を臨む小学校の
ささやかな
わたしはいつも満腹だった

進学もわがままだったと
いまわかる
百均のブレスレットがきれい

ますかっとを
しっていますか
ひせいきこよう
の頃の

夕焼を見に合宿の人　海へ

大切なものは誰かが取りだして
出口ばかりでできている箱

夕陽から生まれたような影だった
ゆるやかに加速する自転車

少しずつ逃がして欲しい
彷徨えば残ってしまう窓枠の砂

てのひらで心臓を聴く初夏の日に
あなたは遥かなる飛行船

羊水を漂うときのかたちして
大声で泣く

水没したい

夕焼のかみさまいなければいいな

ひとしずくの光が落ちて 
夜がはじまる  
掌の奥で  
星がまだあたたかい

冷蔵庫の灯りに青い魚が泳ぐ
不揃いの乳歯をみせながら

水族館で子供が
魚に名前を付ける
遠くの町で誰かが
名前を忘れる

リハビリで市民プールを歩く人
故郷の土に愛猫埋める

ろっこつのかたち
に
鳥をまもるとき
けやきの喉はよくしなる　弓

野ばら
たおる
手つきできみを攫うとき
たたずんでいるヤハウェの微笑

抱きしめて
　みれば
あやうい自我に棲む
ちょうがいこつはがらすのひつぎ

こと切れた電球を揺りかごに置く

巧いことやってキリンの右に出る

きうりが好き
どうせハッピーエンドだし

宇宙また始まりさうな銀河ですね

国変へるためと
ばつたが跳ねてゐる

夏の巷(まち)他人(ひと)を逸
らすに故郷(くに)訛り

　ミラボー橋

川は国境を連れて来る
鐘の音は投身を誘う
残された人に夜が来る

細長いバッタと並んで座ってる。
良ければご飯に行きませんか？

さようなら　さようなら
っていうときのモンシロチョウ
のことばのかるさ

フォルダーの家族写真の少なさを
見るとき３は素数と分かる

水鉄砲を売ったお前に分かるかよ

肛門がかつて唇であったことを
恐れて俺は糞っ垂れが言えない

熊、マジか
熊、火事、マジか
熊、マジか
熊、熊、マジか
市からのメール

飛行機の中は消灯して
きみの寝息を星空の中に聴く

レバーを倒して生ビールを注ぐ
何かを忘れたような気がして

夏蜜柑味を選べば飛行機は
もうすぐ天の川に近づく

給食のトレーを運ぶ手の感じ
熱のわたしを連れてく朝は

プリン掬うように上京して桜散る

神童だなんて言われたことないな
ダブルワッパーチーズをかじる

イヤホンの外の音にもいるぼくの
首を絞める親指から小指

許してくれよんは鈍色
みんな嫌いな空の色

少女性に点を打つはるかな時間

真夜中を振り払おうと
冷蔵庫を開けて月の光をめくる

熱を持つ嫌われ者になりなさい

夕闇が来る前にさらしてよ喉

水鏡むかえにいくよ灼けた手で

幻肢痛  桃の果肉をちぎるとき

ドーナツの穴は神さまの抜け道

白桃はまだ目覚めない眠り姫

優しさを咀嚼するとき
さくらんぼ
みたいにさっぱりすぎて切ない

体躯に囚われて
震えるたびに解けてゆく
青い鬼灯として

生きてゆきたい

海も空も母も深い青になる

どうすれば
上手く生きられるのだろう
柔らかい桃を冷凍してみる

オービスに日焼けの顔の
いくつある

母は実家で深海魚になっていた
どんなに照らしても
もう明るい海には戻らない

今はもう思い出すしか
できなくなった
プールの後の国語の眠気

掬われぬ金魚に雨の降り続く
夜にあなたと手をつなぎたい

夏風邪を過ごす
バランスボールです

ぶらんこは月面にゆっくり揺れる

心が空っぽだから
足音が響く

極楽のほうを向きつつ食むすいか
味覚は解夏ののち澄んでゆく

さみしくて
ぱらぷりゅい静かにたたむ

目の端で雲が崩れて夏が来る

真夜中のアクアリウムを歩くよう
ひとり怒りをしずめるときは

生返事にあふれる日々の
だし巻きの
余生のような黄色がきれい

あやまちはあやまちのまま
花柘榴
みるみる象の舌をあふれて

恩賜の雑巾が乾く保育園

匙ハコワス蜜豆世界観コワス

遠縁の遠さよ烏瓜の花

黙祷をするたびに来る
心臓が
ちいさな港となりゆく時間

水の秋
絵を見ていても
むき出しの器官をぬらしつづけて
人は

灯台を身体の比喩にした以上
一夜わたしが灯台守に

どうやって伝記にならず
生き延びよう

夏草の名も知らずなお歩をやめず

太平洋側の愛され方だろう

違法でも夢枕に立つことにした

半夏生ざわざわ満ちる
日盛りの
人影にふとあやうい淀み

緑陰にわたしあるいは火の余裔

のしかかる朝へ日傘を
さすときの
指に
クナイのような鋭さ

解凍に葉物は透けて駄目になる
そのとめどない回想と似て

行くあてのない自転車の
そのままを海へ漕ぎ
どうして月がある

沈み顔の君が社会に袖を通す

星を産む
からだの暗やみ満ちてゆけ

そうですよね、と
ひとりごとを
言っては
すいかをきる母がいて

あっぱっぱあっぱっぱよと
母の言う

工場でつくるみたいに頬で笑む

あの女子は質量をもつ稲光

火を口に含めば照らされる喉だ

　　　　　　　
地獄だろうさ

泣いて産まれた

過ぎ去りし預言萎びた鰹節

湯の町の石段濡らす宵の月
夢二のキスもきっと不器用

「俺」と「僕」の間ぐらいで
生きたかったんだけどね

トラックの助手席で
陽を浴びながら
来世の追憶にさしかかる

君は月を内包している
確かめるようにさわった
プールのぬめり

森の中から汽笛が聴こえる
私は小さくなって
赤い点になる

すべてのわたしは一過性
惑星の模型の中をひとり巡った

二度と味わうことのない
夏休みの
ぬるいプールみたいな日

透明な躯体ほどけて心太

このような
カーブを人は曲がれずに
田んぼに刺さっていくんだね、夜

炎天の消毒槽の抜け殻に
溜まる昆虫だったものたち

プリズムの煌めき遠いところから
ひかりをあてた石は輝く

にんげんが泣くのに三十一音で
じゅうぶんなのだテトラポッドよ

覆水が盆におかえりなさい

所与のものではないうすだいだい

もたもたということばさえ
かわいくてともだちは
恋人となってく

蟻塚を壊しもうすぐ百日目