時計ちくたくと はちみつ色になる
死にたがる国へと夏の帰還兵
君につく嘘の数だけ 深海に 月のひかりは届くでしょうか
冬の月だけが本音を聞いてくる
安売りの声にも深々と夕日
ぼくの名を忘れた祖母は 縁側へ散る花びらに 微笑んでいる
闇が公衆電話の扉を押す
心音と言う名の淡いかがやきを 抱いて貴女が目を覚ます朝
追悼のように水仙揺れている
人が死ぬビニール傘の手軽さで
いなくなることを願っている 君の 手を引く、夕焼けの教室で、
わかった、と 君が頷く夢を見た 頭蓋に海はあるのだろうか
明日の髪型を思えば 鏡台のわたしに 春が傾いている
たんぽぽ、の音澄み切って 風邪のとき かけてもらった毛布のようだ
心に色を付けるなら アスファルトがぴったりだね 母さんだけ笑っている
ぬかるみのような恋です 弾けます 気分次第で海が見えます
食パンは ぼくのベッドになりそうだ 四季の匂いが似合う、いちばん
卵焼き噛んで深夜の台所
スカートの裾を摘んで 波際のきみは 夕日に手を引かれてる
とろとろと 羊水のよな夕焼けの狭間で ひとり眠っていたい
死はよじ登って来るらしい 冬という台風の目の中で 足の小指が冷えている
折り畳み傘が息づく黒鞄
夕日と すべり台の記憶が 溢れ出して 小鳥に染み作った
ぼくの舌から 意志を持つ毒蛇が するり スープの味を批評し
門柱の薔薇にも影がない夜だ
くらやみに居れば おのれの輪郭の 夜明けの山の稜線のごと
パイさくり さくさくパイさくり さくり
菖蒲の芽から重力という名の灯
冬の匂い 花へと変わりゆくような 朝に寝癖を揺らして走る
生きるとは讃岐うどんを活気よく 啜りお出汁が目に入ること
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