カーテンを開けるようにも 夜明けとは 寄せるばかりのさざ波である
雪かきの反動 からだ脱ぎ捨てる
降りたい訳じゃないのよ 指先の赤い少女に 雪は話し続ける
じいちゃんの寝言 「歯ブラシにはならない」
この恋はロッキングチェア 冬の月
雪が降る 生きる気力が湧いてくる
冷えてゆく手先に 雪はしんしんと 祈りのように ただ降り続く
薄汚れほつれ 私も革靴も お花畑も夜道が似合う
梟に似ている君は 目が合うと 肩を揺らして二秒うつむく
人間の独白はまだ 天も地も 揺るがすほどの力を持たず
煎餅を齧れば 海はさみしくて 私の胸の底には孤独
アルバムを開けば 米を煮たような匂い、 いっつも、どこかに貴方
暗くした部屋でひたすら フクロウの動画見ている 午前二時、冬
地球儀の絵を描く 冬の風と居る
ただ暗いだけの空にも 太陽はあって 階段二段飛ばしで
下向いて北半球は右回り
夕日に胸を引っかかれる
この身体には くらやみとしずくだけ
歩くたび ぴこぴこ音が鳴る靴のような 母さん 屋上にいる
購買の強炭酸を一気飲み わたしに春は来ないと思う
もし君に好きだと言って この地球上で 噴火は起きるだろうか
左耳に鈴虫が 住んでいる気がします
熱っぽいからだ布団に横たえて 世界じわじわ膨張してる
冬の朝車窓に雨の流星群
体調を崩すってのは 蜘蛛の糸 急に切られる感触に似る
起きがけの君には影が なさそうな 潤んだ眠気 瞼に引いて
やさしさに満ちた フルーツヨーグルト 朝、冷蔵庫、あふれる光
風味なき かつおのような日とわたし
黙祷の夏に 誰かの 背を探す
教室の窓枠に足 掛けつつも 誰かの声を期待している
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