街角に立ち止まり雨を見送る 少女の手に二把のセロリ
泣いたって仕方ないだろ あやめぐさ
通り過ぎる猫に聞きたい 恋をしないですむ方法
君の誤字そのままでいい水中花
夏木立缶蹴りの音境内に
チアガールの天に向く足夏兆す
なぜ惚れたのか答えは 万葉集には載ってない
あと二つ鳴ったらコクる遠花火
転ぶって地球と仲良くなる ことさほんの五秒のことだけど
窓辺から眺めるだけも猫の恋
君の乗る駅で降りたよ夏木立
五秒だけ好きになってよ宵涼み
三つ指を突くうなじ見え桐の花
五話続け見逃すドラマ花氷
形いいふくらはぎあり夏木立
時刻表の三十分の空きを見て 君と話すと決めた夜です
死んだらば海に流してと 無理を承知で妹に頼む
告白を早くしろとか青田風
遠ざかる汽笛の響き佐倉炭
十年も貫く嘘さ仏の座
すぐ領収書を欲しがる ような形だけのハグ
じゃんけんに負けて あげたの水温む
右ゆけば止められる恋白あやめ
来世は雲になろうか縁涼み
ついた嘘なかったように虹かかる
あやめ草君が可愛いと いうから鴉は可愛い
ミサイルが去った とたんに地下静か 母は子を子は母を抱く
夏鷗戦と知らず湾に舞う 戦禍広がるマウリポリにて
破壊される戦車の屑を つまらなそうに鴉が見下ろす
ぱくぱくと地球の終わりを 伝えるか忙しく泳ぐ初夏の鯉
詩
俳句
川柳
短歌
アフォリズム
全種類